鈴島、無人島サバイバルチャレンジ｜リアクション

鈴島、無人島サバイバルチャレンジ

●プロローグ～鈴島到着

　寝子島の南、島の形を猫に例えるならちょうど首の鈴にあたるところに、鈴島と呼ばれる無人島がある。
　背後にこんもりと緑の森を抱えた砂浜にやってきたのは１０人の男女。
　春の終わりによくある夏めいた晴天を背景に、笹川帆太ははじめるよ、とスマホの配信ボタンを押した。

「ども～っ！　大学生ミューチューバーのパンダとぉ！」

「無人島と聞くとロマンを感じずにはいられないウナウナだ」

　帆太の大学の先輩にあたる海原茂が相方を務めるかたちでリアルタイムの配信が始まる。
　『待ってた』『８８８８８』とコメントが寄せられる中、帆太は軽快に話し出した。
「見てください、この綺麗な海と砂浜！　ここは無人島。これから３日間、俺たち１０人がサバイバルチャレンジをしてその様子をリアルタイムで配信しちゃいます！　まずはチャレンジャーの紹介をしちゃうよ！」
　帆太はくるりとスマホを回す。
　突然振られた恵御納夏朝は、慌てつつも手に嵌めた橙色の布製猫パペットを動かす。

「かさ……えっ、本名名乗るスタイル！？　えみな・かーさ、です……頑張る……！」

　ちなみにスマホと秘密で飼ってる猫は双子の姉に密かに預けてきた。猫に会えないことは辛いが、それはつまり今回のサバイバルにかなり本気な証拠でもある。
「かーささんよろしく！　お次はこの方！」
「寝子島アニメーション学院声優科、落合まゆらです。めざせ賞金100万円！」
「喜矢武あいお。デュオMewTuberあいおシスターズの妹、あいおですわー！　最後まで残ってやるのですわ！」
「まゆらさんもあいおさんも声かわいい！」
　帆太はノリよく合いの手を入れていく。
　続いてスマホを向けたのは不愛想な雰囲気の黒髪ショートカット女子、椎井莉鳥だ。
「莉鳥よ。よろしく。最強のサバイバー……なれたらいいと思うわ」
「最強のサバイバーってやつになると100万円もらえるんだろう？　100万円……ってのはどんくらいだっけな、ハッキリしねぇが大金だろう！？　くれよ！！！」
　割り込んできたのは飄々とした雰囲気で長身猫背な20代半ばの女性、タスニム・アルハビールだ。
「タスニムさーん、落ち着いて」
「１００万円あったらいろいろ買えるよ。家とまではいかないけど、百円のおにぎりなら１万個買える」
　ドン引きな帆太の代りに響蒼留人が答えると、タスニムはヒャーッとやや人間離れした声をあげた。
　良く分からないなりに興奮したようだ。
「えーっと、じゃあ次は彼を紹介しようかな。ハンドルネーム『塩むすび』君でーす！」
「どうも。塩むすびです。１００万円は魅力的だと思っています。サバイバルは修行にもなるし、頑張ります」
　塩むすびと名乗った蒼留人は、剣道少年らしい生真面目さで頭を下げる。
　帆太は続いて同業者と言ってもいい檜扇舞華にスマホを向ける。
「どうも。ネコ動配信者で声優でメイドのマイカです。リスナーと御主人の期待で参戦！」
　舞華の配信慣れした様子に、帆太はほっとした様子。
「マイカさんはどうしてこの企画に参加したの？」
「リスナーから『マイカちゃん参加しないの？』とか言われまして。ネタになりますが一応メイドですし３日も離れるのはどうなんと答えてたら聞いてたらしい御主人に行ってこいと言われ。とゆわけで休暇です。給金もでます」
「ずばり有給ってやつだね！」
「そです。わーい！」
　カメラ目線でピースサインする舞華は可愛い。
　コメント欄が勢いよく流れているのをちらと見て、帆太は最後の参加者を紹介した。
「最後に紹介するのは唯一の小学生参加者でーす！」

「みっ、光村千恵です！　お兄ちゃん、みんな、頑張るから見ててよね！」

　健気な姿に『頑張って』『応援してるよ』と温かなコメントが寄せられている。

「さて。まずは持ち物を確認しておきましょう！」
　参加者は、支給物資５品に加え、私物をひとつ島に持ち込むことができる。
　各人の持ち物は次の通りだ。

　パンダ　：スコップ・ゴザ・水中メガネ・ランタン・麻袋
　　　　　　パンダの浮き輪

　ウナウナ：ナイフ・水・水中メガネ・油・ランタン
　　　　　　旅行ガイド（？）『おちこぼれ姫の無人島生活』

　かーさ　：ナイフ・ナタ・スコップ・ゴザ・水
　　　　　　橙色布製猫パペット『ハルくん』

　まゆら　：ナイフ・スコップ・油・小麦粉・水中眼鏡
　　　　　　「魔法少女ミスティックアリア」のアクリルスタンド

　あいお　：ナイフ・水・ランタン・ツル・小麦粉
　　　　　　白猫のぬいぐるみ

　莉鳥　　：ナイフ・水・油・小麦粉・麻袋
　　　　　　壊れたイヤフォン

　タスニム：ナイフ・ナタ・ランタン・小麦粉・水
　　　　　　特にない

　マイカ　：ナタ・スコップ・水・ツル・麻袋
　　　　　　顔もＯＫなボディペーパー

　塩むすび：ナイフ・ゴザ・水・ランタン・米粉
　　　　　　傘

　千恵　　：ナタ・水・ツル・麻袋・小麦粉
　　　　　　鏡

「あれっ、タスニムさん私物なし！？」
　帆太の驚き声にタスニムは片眉を上げて答える。
「こちとら身一つで生きてんだ、生きるのにいらねぇもんなんか持ってねェんだよ」
「な、なんかカッコイイ～～！」
　強欲かと思いきやサバサバ！？　どこか仙人のような達観さは男子心をくすぐるところがある。
「あのう、パンダさん。質問なんだけど、」
　千恵がおずおずと手を上げる。
「誰かと協力するのはルール違反になっちゃうのかな」
「あっ、そういうルールはないから！　情報交換しちゃダメとか手伝っちゃダメってことはないよ。サバイバルグッズ企業さんがスポンサーなんで、足引っ張ったり出し抜いたりしてドロドロっていう人間ドラマより、サバイバルって大変だけど楽しいってところ見せたいからさ。人間関係ぎすぎすしなくていいから～」
「よかったぁ」
「ということで！」
　帆太はくるりとスマホをひっくり返し、自分の顔と全員の姿が映るようにして手を振った。
「以上１０名、最強のサバイバーを目指して３日間のサバイバルに挑戦するよっ！　俺たちの様子は随時配信していくので、応援よろしくねーっ！」

このページにイラストを設定する

鈴島、無人島サバイバルチャレンジ

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧