鈴島、無人島サバイバルチャレンジ｜リアクション

鈴島、無人島サバイバルチャレンジ

●１日目～物資調達

「最強のサバイバーを目指して３日間を生き残れ！　サバイバル、スターーーート！」

　今回の無人島サバイバルチャレンジは３日間に渡るポイント制で、勝ち抜きバトルの要素がある。１日のうち午前中の物資調達と、午後のフリータイムそれぞれにポイントが付き、２日目の朝、３日目の朝の時点で規定ポイントに達していない人は、脱落して島を去らねばならない。
　
（数日生き延びるなら……寝床と食糧調達と、火と水が要る）
　夏朝はまず森へ向かった。まずは大き目の葉や、大小さまざまな枝、紐代りの蔦を調達するつもりだ。その途中で食用可能な木の実や山菜も探していこう。
　森の中に分け入っていくと、黙々とヘビイチゴを採集する莉鳥と出くわした。
　莉鳥はナイフで房ごと採集すると、麻袋へ入れている。
　そのほかにも枯れ木や枯枝を回収をしているようだ。焚き火用だろう。
「僕もそのヘビイチゴ、採ってもいいかな」
　夏朝が尋ねると莉鳥は彼女を一瞥して応えた。
「誰のものでもないから、許可なんかいらないわ。今時期だとベリー系は豊富ね」
　緑は深い。探せばもっと食べられる野草や実を見つけられそうだ。

　一方、砂浜での活動を先にはじめたものもいる。
　砂浜と森の境目で、柔らかい草をナタで刈りとっているのはタスニムだ。

「まずは寝床と火の確保だァな。砂浜でも寝れねぇこたねぇんだが、寝床はあるに越したことはねぇ」
　タスニムが鎌を振う姿はまるでカマキリのようだ。
　充分な量の草を刈ったあとはそれを砂浜に拡げて干し、その間に薪になる小枝や流木も探しに出た。
「お。こいつぁ丁度いい長さと太さ。銛に使えそうだ」
　タスニムはにんまり唇を引いた。

「ぷはっ！　採ったどーーー！　なんてね」

　海中から落合まゆらが顔を出す。
　濡れた前髪を水中眼鏡ごと押し上げて、海中から拾い上げた貝を陽に翳してみる。
「うん、きっと食べられるやつ！」
　アイドル顔負けのキラキラな笑顔でそう言うと、まゆらは海から上がって来た。
　着ていた衣服が肌に張り付いている。
　水着は持って来ていないので、着てきたＴシャツとショートパンツのまま潜っていたのだ。
「さすがに濡れたままじゃ着心地が悪いか」
　呟いてＴシャツを脱ぐとぎゅっと絞る。
　そこで帆太の姿に気づき、まゆらは頬を紅潮させた。
「こらっ！　今、撮っちゃダメ！」
「映してないし、見てないからっ！　それ着ちゃって！」
「わ、わかった……あっち向いててよ」
　画面には海しか映っていないけれど、声のやりとりはかえって想像力を掻き立てられるらしく、コメント欄が盛り上がっていく。
　絞ってごわついたＴシャツを着なおしたまゆらは、帆太に「もういいよ」と声を掛けた。
「はーい。では改めて、まゆらさん、今は何をしていたか教えてもらってもいい？」
「まずは食糧確保かなと思って、貝を採ってました。最初は砂浜で潮干狩りと思ったんだけど、せっかく綺麗な海に来たんだもの、潜ってみたいって思うじゃない？」
「だねー。あれ、そっちのは貝じゃないね。ビン？」
「いい感じのガラス瓶でしょ？　さっき砂浜で拾ったの。あとで湧き水を探しに行こうと思ってるからこういうのも役に立つかなって」
　海は不思議だ。遠い国からも様々なものが流れ着く。
　まゆらが見つけたその瓶は綺麗なブルーで、日本語ではない言葉が刻印されていた。
　彼女のいい笑顔が世界中に配信されていく。
　海と美少女、そんな穏やかな映像とは裏腹に――視聴者たちは心配していた。
『まゆらちゃん！　さっき獲った貝、食べられないやつーー！』

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