【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭｜リアクション

【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭

　生徒会室の椅子の背もたれに上体を預けた。水上桜は上を向いた状態で瞼を閉じ、軽く指で揉んだ。
　――学校との交渉が、ここまで難航するなんて思わなかったわ。でも、必要な予算を勝ち取り、配分も終わった。会場の受付や案内整理はあるけど、無事に当日を迎えられたことを素直に喜ばないとね。
　瞼を開けた。反動を付けるようにして立ち上がると大きな伸びをした。
「あとは」
　扉を開けて廊下に出ると一階に降りた。
「部室棟かな」
　即座の判断で歩いていった。

　部室棟の一階にある水泳部の扉をノックする。返事はなかった。
「失礼します」
　言いながら中に入ると全員が揃っていた。
「いるんじゃないですか」
「もちろんだよ。水上君を待っていたのだから」
　三年生の男子が笑顔を見せる。その行動に合わせて他の三年生達が素早く動いた。桜が後ろを振り返ると直立の姿勢で立ち塞がる。
「あの、これはどういうことですか」
「ここに部長はいないが、すでに話は通している。水泳部の伝統、部員総出の高速脱衣を講堂のステージで披露する。もちろん、そこには水上君も含まれている」
「私は生徒会役員として動かないといけません。それに今日は水着を持ってきていないので、とても残念ですが参加は見送らせて」
「そうだと思ったよ」
　目配せを交わした三年の女子が前に出た。
「水上さんの競泳水着を用意してあります」
「でも、サイズが」
「事前に調べて用意したので大丈夫です」
　女子はにっこりと笑って言った。
「それは嬉しくないサプライズですね」
　苦笑いで受け取った。
「後ろ、どいて貰えますか。着替えてくるので」
「期待しているよ。それと出番は、あとの方なのでよく練習するように」
「お気遣い、ありがとうございます。嬉しくて歯軋りしそうです」
　桜は噛み締めた歯を見せて笑った。