ことのはあそび　～新た夜～｜リアクション

ことのはあそび　～新た夜～

●夕暮れに思いを馳せる

　森篠琳子は、寝子島信用金庫の入社式の準備をしていた。
　NYAOKIでスーツを買ったり、パンプスや小物といったものは買い揃えた。
　筆記用具等も揃っている。
「後は、入社式当日を待つのみね」

　入社式を数日後に控えたある日。
　母親が休みが取れたので、家族でどこかに出かけようと言い出した。
「体は大丈夫？」
　母親は体が丈夫なほうではないので、琳子は、休みの日は家でゆっくり過ごしてほしいと思った。
　だが、母親は琳子が働き始めたら家族と過ごす時間が少なくなるからときかない。
「仕方ないわね」
　根負けした琳子は妹を呼び、皆でどこに行こうかと話し合う。
　母親の体調を気遣い、寝子電ぶらり日帰り旅行にしようと琳子は提案した。
「どうかしら？」
　提案したのはいいが、母親と妹がどう反応するか気になる。
　琳子の不安をよそに、妹は皆でお出かけできると喜び、母親も楽しそうねと微笑む。
　旅行といってもプランを考えず、行き当たりばったりなものにしようという案も２人は賛成してくれた。

　寝子電ぶらり日帰り旅行当日は天気が良く、暖かい日だった。
　妹は起きるなり、早く行こうと大はしゃぎ。
　身支度が整うと、３人は寝子島シーサイドタウン駅に向かう。

　星ヶ丘から順に楽しもうということで、まずは星ヶ丘駅へ。
　星ヶ丘ではウィンドウショッピングを楽しんだ。
　シーサイドタウンでは、妹が寝子島マリンパラダイスにできた深海生物展示コーナーに行きたい言ったので、そこに行くことに。
　一通り展示コーナーを見て回った後、妹はメンダコのぬいぐるみ。母親はエビの形をしたティーバッグ。
　琳子はカワイイ深海生物が描かれたボールペンを買った。
　早めの夕食は、旧市街の食堂で済ませた。
（就職したら、揃ってご飯を食べる機会が減るかもしれないわね）
　食後のお茶を飲みながら、そんなことを考えた。

　帰宅する頃には、日はすっかり暮れていた。
　遊び疲れた妹は、母親に寄り掛かって眠っている。
　琳子は電車の窓から、夕焼け色に染まった景色を見ている。
　景色を見ながら、楽しい旅行だったと家族で過ごした時間を振り返った。
　高校時代は夕暮れに下校していたが、就職したら、定時で帰れたとしても周囲は暗くなっているだろう。
　家族で夕暮れを見ることもないだろう。
　そう思うと、この旅行をして良かったと琳子は母親と妹を見て微笑んだ。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。

２回目の【たったひとつの言葉】から、それぞれのリアクションを仕上げてみました。
前回同様、皆様の言葉、プロフィール、イラストを参考に執筆しました。
それに加え、今回は春の要素を取り入れれています。

４月になり、それぞれ新しい生活を送ることになった皆様に楽しんでいただければ幸いです。
ご参加、ありがとうございました。

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