ことのはあそび　～新た夜～｜リアクション

ことのはあそび　～新た夜～

●花見で確かめてみたいこと

「とってもいいお天気なのですー」
　こんな日はお出かけするに限るですー、とゼロ・シーアールシーは寝子島散策をすることに。
　春といえば桜、と思いついたので、桜の木が多いところに行くことにした。
　たどり着くと、そこではお花見をしている人々が。
　楽しそうですー、と、その様子を見たゼロも花見をしている気分になった。
　風が吹き、桜の花びらが舞い散る。
　桜の花がいっぱいなので、ゼロはより楽しい気分に。
　それを見て、ふと思った。
　超宇宙サイズ巨大化したら、地球上の桜が見ることができるのだろうか。
　試しにやってみよう。そう思い立ち、実行することに。

「にゃーん」
　腕を高く上げ、思いっきり背伸びをするとゼロの体は大きくなってきた。
「にゃーん、にゃーん」
　もっと、もっと、と更に背伸びをすると、ぐんぐん大きくなる。
　今の大きさは、雲に頭が隠れるほどだ。
　下を向くと、寝子島周辺が小さく見える。薄いピンク色に見える部分は、桜の木があるところだろう。
「もっと大きくなるのですー、にゃあ」
　そうすれば、寝子島以外の場所の桜があるところを確認できるはず。

「にゃーん、にゃーん、にゃんにゃかにゃーん」
　銀色の巨人変身ヒーローに変身するかのようなポージングで、更に大きくなっていく。
　雲を突き抜け、大気圏を超え、気が付けば地球が小さく見えるほどに巨大化していた。
　息苦しくなるかと思ったが、呼吸は寝子島にいる時同様、問題なくできる。
　普通に話すこともできるし、動くこともできる。
　地球上の桜を見ようと思ったが……巨大化しすぎたのでできなかった。
　確認できたのは、とある宇宙飛行士の「地球は青かった」という言葉だけだった。
「つまらないですー」
　元に戻り、花見で賑わっていた場所に戻ろうとしたが……。
「戻らないのですー？」
　戻るどころか、どんどん巨大化している。
　このままだと、太陽に突っ込んでしまうと思うほどに。
「ゼロは太陽に燃やされてしまうのですー？　もう駄目ですー」
　太陽の直焼きという誰も体験したことがないことを自分が、と覚悟を決めた時、体を揺さぶられる感覚が。

　何ですかー？　とうっすらと目を開けると、花見客のおじさんが側にいた。
　おじさんの話によると、ゼロは桜の木に寄り掛かったまま眠っていたとか。
「夢だったですー？」
　残念と思うと同時に、助かったですーと安心した。

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