魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――｜リアクション

魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――

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( 'ㅅ')＜まだまだいこうか

　着ぐるみさんが負けじと木属性の『ジャングルグロウ』で相手を束縛する。ワカメや昆布、海藻類を絡ませマモルソラとサメを苛む。
　だが、そんなに甘くはない。マモルソラの下からサメが消えたかと思えば、戦場全体に三筋の海流が生み出される。
「！　『渦潮のトライデント』かなっ！」
　渦潮に巻き込まれそうになった楓たちを自分の後ろへと下がらせて渦潮から庇う黒兎都。僅かに掠めただけでも流されそうになり、彼女は歯を食いしばる。
　比較的避けやすい攻撃ではあったが、同時に別方向へと２連発放たれる大技に、冒険者たちは慌てふためく。
「油断したら流されそうだね」
「私の後ろに居れば大丈夫です」
　夏夜が歯噛みするも、Reiは夏夜が飛ばされぬよう身を挺して庇う。強力な渦潮ではあるが、回避すれば痛くもない。
「動かないでくださいっ！」
　夢乃がスピカを庇い、同時に自分の守備力を上げるスキルを使う。その間にトワが「しっかりするです！」とスピカへ『妖精の鱗粉』をかけ、己もまた攻撃できるよう身構える。
「向こうも余裕がなくなってきたみたいね」
　敏捷性を底上げする『アクセルラビット』をかけ、夏朝を庇う碧南は流れの隙間からマモルソラが硬直しているのを見た。
「今よ！」
　碧南が叫び、豪快な一撃で流れを断ち切る。解ける水流を突破し、再び真白とスピカ、アシュリーが攻撃を仕掛ける。少年の姿なら魔法攻撃の方が通りやすいが、チャンスを逃すわけがない。
「いくよっ！」
　真白が一撃を見舞い、心地よい流れが味方に伝わる。『チェイストリガー』が発動し、アシュリーとスピカの攻撃に連撃が発生！　マモルソラを怯ませることに成功する。
（サメにもダメージが通るなら！）
　アシュリーはサメに思いっきり齧り付く。『チュパカブラの噛みつき』でHPを吸収し、連撃も発生してかなり回復させることができた。
　そこへ夏夜が『シーヴスラウンド』で追い打ちをかけ、Reiも再び『雷神の怒り』を叩きつける。
「来なさい、マモルソラ！」
　攻撃の兆しを感じ取ったReiが、大きな声でマモルソラを『挑発』した。

　前衛組が踏ん張っている間に、楓は「よしっ」と僅かに表情を輝かせた。彼は密かに電磁紋を用意していたのだ。今までサメを嗾けられたりした為準備に時間がかかったが、漸く刻むことができたようだ。
　彼は前衛組の後方でうろうろしていたトワを呼び寄せ、電磁紋にて待機させる。その様子を着ぐるみさんは「面白そうなことをしている」という眼を向ける。
「まぁ、みてなって」
　楓は内心でにやり、と笑った。
「んー、ちょっと考えたことがあるんやけど……」

　今まで黙って見守っていた八代拓哉は、楓が用意した電磁紋を見てなにか閃いたらしい。彼は楓にその内容を話していると着ぐるみさんが興味深そうな眼差しを向けている。

（＞＜）ノ　＜一口かませておくれよ！

　楓と拓哉は顔を見合わせた。

・・・・・・・・・・・・・

（想像以上に強い）
　マモルソラは思った。だが、まだ何か足りない。例の女神を打ち破る何かが。
（それが、わかればなぁ……！）
　マモルソラは、ひび割れた羅針盤の姿で力を貯めた。

・・・・・・・・・・・・・

　一瞬、冒険者たちは磁力のようなものによってはじき出される。マモルソラを中心に放たれたそれは、弾き飛ばした後も冒険者たちを遠ざける。
「え？！」
　突如の事に面食らう楓だが、トワを咄嗟に抱きかかえて受け身を取る。同時に、綺麗な泡が戦場を包み込み……ぐるぐると回り始めた。

　――『深き青の極楽』