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【新年度】夢に向かって、羽ばたいて
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【感情の呼び名】
入念にメイクアップ。真新しく糊のきいたスーツに袖を通して、
森篠 琳子
はおそるおそるに鏡を覗き込みます。自分が思っているよりはちょっぴり大人で、自分で思っているよりはちょっぴり子どもな、そんな曖昧な面立ちがそこには映りこみました。
もはや学生でないことは確か。通い慣れた寝子島高校がもう遠い場所なのだと、琳子はスーツ姿の自分を眺めてあらためて悟り、ふと落とし穴に落ちたような寂寥に襲われました。
さりとて生粋の社会人かと言われれば、それは違うと言い切れます。もちろん今日の入社式を経るまでは正しく新社会人とは呼べないでしょう、けれどそういう問題ではない気もします。
(そうね。でも……子どものままではいられないから)
過渡期を通り過ぎ、今まさに殻を脱ぎ去る時。そうして初めて、大人の仲間入りです。
社会へ羽ばたこうという若者なら誰しも感ずるであろう不安を胸に、身支度をすっかり整えた琳子は家族を振り返り、告げました。
「行ってきます」
と、まあ少しばかり気を張りすぎたのかもしれません。
「……早く来すぎたみたい」
入社式が始まるまで、これから働くことになる寝子島信用金庫、通称ねこしんの裏手にてしばしの待ちぼうけ。
こんな時間は、心の毒です。動じまい、焦るまいと胸に決めてきたのに、勢い任せに先へ進むこともできず、かといって引き返すこともできずに気ばかりが急いて、いてもたってもいられなくて。時間まであと何分? あと何秒? いつまでこうしていたらいいの? 私の心はどこへ置いておいたらいいのかしら?
今の琳子に許されているのは、とりとめなく思考を巡らせることだけ。
やきもきとするうち、表がにわかに騒がしくなってきて、ちらと覗いてみればどうやら、琳子と同じく入社予定の若者たちが集まってきたようです。きっと彼らも焦燥に追われ、早めに到着してしまったのでしょう。
とはいえ彼らが琳子と違うのは、もう少しだけ有効な時間の潰し方を許容する度量の広さを備えていたこと。つまり新入社員同士の雑談なり、情報交換なりを始めたのです。
思えば彼らは今後職場で接することになるかもしれない、同僚たちです。琳子も輪の中へ混ざってゆくなら、どれほど有効な時の使い方でしょう。
けれど、琳子にはできません。社交的なたちではないと自分でも分かっているし、同じように惑っている誰かがいたならその面倒を見てやるくらいはできたかもしれません。けれどそれ以上に、琳子自身も惑っていました。
身の置き場を見い出せないでいるうち、沈み込んで。なんだか泣きたくなってきて。このまま帰ってしまおうかとも思えてきて。
「あれ? あんた……」
だから、そんな時にかけられた声の柔らかな響きは、琳子の凝り固まった部分を解すにじゅうぶんでした。
「琳子ちゃん!?」
「秋沢……さん?」
するり、
カードを繰る音
が耳の後ろをなぞった気がしました。
思わずぽかんと開いてしまった口元を、琳子はきりと引き締めます。
「秋沢さん、どうしてここに……あ、就職ってもしかして、ここに?」
「琳子ちゃんも? ははは、えらい奇遇やなあ!」
秋沢 覚。ころころと転がるような懐っこい笑みと柔らかな物腰で、琳子の胸の内へたやすく入り込んだ男。初めての邂逅より、彼は拭い去れない楔を心の奥へと残していきました。
人はそれを恋心と呼ぶけれど、琳子の心にまだ形は成さず、ぼやけたまま。たゆたい続けていたのでした。
「いや、驚いたわ。なんや見覚えある顔やなおもたら、ほんまに琳子ちゃんやったんや」
「私だって……こんなところで」
会えるだなんて。
(……? あれ、私……)
初対面の印象は決して良くはありませんでした。人のパーソナルスペースにずかずかと土足で踏み込むような、無礼で不躾な男。それからクリスマスに、お正月にと幾度か顔をあわせる機会があり、そのたびに彼の印象は丸くなっていきました。
今では孤独を噛み締めていたところに彼とこうして向かい合えば、先ほどまでわだかまっていた陰鬱なんて、すっかりどこかへ逃げ出してしまったようです。
「ふふ……」
「お、笑ろた。緊張、ほぐれたみたいやね」
「えっ?」
「うん、琳子ちゃんはそっちのがええなあ。こおね、ミケンにシワ寄せてなんやニラんどるみたいな顔もね、俺は嫌いやないねんけど」
「やだ、私、そんな顔してました?」
「しとったよー、こーんなや、こーんなん」
「それはさすがに誇張してますよね?」
「ははは!」
大きな人……なのだと思います。背丈の話ではなくて、懐が。他人の不安や恐れまで飲み下して、本当の自分を思い出させてくれるような。
そんな、大きな人。
「ともあれ、今日からは同僚やね」
「ええ。よろしくお願いしますね」
「おう、こちらこそ!」
入社式のことは、正直にいってあまり覚えていません。その後のオリエンテーションや社員研修は、先輩の知識と経験を吸収しようときっちりこなしたものの……その間も頭の片隅では、琳子の奥の奥にしまいこまれていたはずのものがむくむくと、頭をもたげ始めていました。
琳子は窓口で、彼は営業で、部署は違えどこれからもたびたび、顔を会わせることでしょう。
「……あ。そうか、私」
そうして初日の帰り道。琳子はようやくにして、自分の胸に秘められていた、あたたかな感情の名を知りました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年02月05日
参加申し込みの期限
2021年02月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年02月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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