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- 00月00日生 00歳
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【新年度】夢に向かって、羽ばたいて
【バス・オペレーション！】
まるで今日この瞬間に誕生した新しい世界へと飛び込むように、花咲 夢乃の背中には確かに翼が羽ばたき風を打ったのです。
いえまあ少なくとも、気分は今にも飛び立ちそうではありました。
「さあ。今日はバスの路線を確認しましょう」
もうすぐ入学式。桜舞い散る中で校門をくぐり、希望がいっぱいな高校生活がスタートする……その直前のことでした。
夢乃はいわゆるいいトコのお嬢さんでして、どこへ行くにも運転手が送り迎えをしてくれるような家柄の生まれだったりします。けれど絵に描いたような箱入り娘で終わらないのが、夢乃のエライところです。
持ち前の好奇心や行動力でもって、実家を出て星ヶ丘寮で生活することを決めたのを皮切りに、なんでもひとりでやり遂げられるよう知識の探求に努めました。ひとり部屋での暮らしに必要なものは自分で調べて揃えましたし、分からないことはちゃんとネットで調べます。今日だって、事前に通学路を把握しておくべくバス路線図を検索の上、実際に乗車もしてみようと思い立ち、足取り軽く星ヶ丘駅までやってきました。
猪突猛進、とも言えるかもしれません。好きなことや知りたいことに向かって、夢乃は一直線！ 儚げで可憐な佇まいとは裏腹に、なんとも頼もしいパワフル少女なのでした。
「ふふ……学校が始まるのが、今から楽しみですわ。アイドル好きなお友だちができるかしら？」
意外に趣味人なところも、ただのお嬢さまではない夢乃の個性といえましょう。
夢乃は、アイドルが大好き！ イケメンアイドルももちろん好きだけれど、愛らしくフレッシュで元気いっぱいな、女子高生アイドルを応援したい！ 寝子島高校には学生にして現役アイドルがなぜだか多いと聞きつけるや入学を決めたのだから、夢乃の本気度が分かるというものです。
（まあ、本当は私自身も歌ったり、踊ったりしてみたいところですけれど……さすがに一流の皆さまにはかないませんものね）
なんて、密かな夢も心に抱きつつ。
「あら？ あの方は……？」
そんな夢乃と彼女の出会いは、ある意味運命の引き合わせであったのかもしれません。
「あの……失礼ですが、何かお困りですか？」
「はいっ！？」
びくりと飛び跳ねた、小柄な女性。ぱりっとしたスーツ姿で、いささか童顔ですけれど、きっと夢乃よりはいくつか年上でしょう。
女性はすっかり弱った様子で眉尻を下げて、渡りに船とばかりに言いました。
「えっと、あの！ 実は、バスの乗り方が分からなくて……寝子島高校へ行くには、どうしたらいいんでしょうか！？」
（寝子高へ？ 先生……にしては若いですね。先生がバスの乗り方を知らないとも思えませんし、となると転入生でしょうか）
なんにしろ、行き先も目的も同じとは奇遇です。社交性も磨かねばと思っていた前向きな夢乃ですもので、これはちょうど良い機会かもしれません。
にっこりふんわり、笑顔を浮かべて、失礼にならないよう言葉を選びます。
「実は私もこれから、寝子島高校へ行くところだったんです。よろしければ、ご一緒しませんか？」
「いいんですか！？ わあ、助かります！ ぜひお願いします！」
「こちらこそ。今年から入学する、花咲 夢乃と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。そちらは……えっと。先輩ですよね？」
「せんぱい？ あ、私は雛鶴 さゆりです！ 寝子島高校で先生をするんですよ！」
「えっ、先生？」
「えっ？」
こう見えて先生でした。なんてこったい！
「し、失礼しました……！ 先生とは知らず。あの、あまりに可愛らしくて……いえ、もちろん大人の女性の美しさも兼ね備えていらして」
いきなりの失言に夢乃はちょっぴり気が遠くなり、言い訳することしきり。だってどこの世界に、バスも乗れない先生がいるっていうんでしょう……！
けれど、当の雛鶴先生はたいして気にした様子もなく、
「いえいえ、よろしくお願いしますね、花咲さん！ もーっ、本当に困ってしまって……！ ここで花咲さんと会えなかったら、どうなってたことか！」
気が抜けたのか、すっかり油断した笑顔を浮かべておりました。やっぱり先生には見えません。
（でも……ふふ。可愛らしい先生ですわね）
なんだかずいぶんと頼りないですけれど。とはいえこの佇まいや元気で明るいところは、どこか夢乃の好きなアイドルを思わせました。
きっとこの先生のこと、好きになれそうです。
「それでは、寝子島高校へまいりましょうか。先生、定期券はお持ちですか？」
「ていきけん？ いいえ、持ってません！」
「そうですか、では今日は現金で乗りましょう。バスで使えるカードもありますし、現金でも乗れますけれど、定期券だと割安になりますわ。あ、でも学校の証明が必要ですね」
「かーど？ しょうめい？ あ、現金！ お金を出せばいいんですね、はいっ、持ってます！」
「乗車する前に、小銭を準備しておきましょう。小銭がなければ、運転席の隣にある両替機を使います」
「りょうがえ？ ってなんでしょうか？」
……前途多難！ 世間知らずにも程がある先生に、夢乃は思わず苦笑いを浮かべるしかありませんでした。
ちなみに新学期が始まった後に、夢乃はアイドル活動研究部へ入部。そこで顧問となったさゆり先生とバッタリ、再会することになるのですけれど……そのお話はいずれまた。
まるで今日この瞬間に誕生した新しい世界へと飛び込むように、花咲 夢乃の背中には確かに翼が羽ばたき風を打ったのです。
いえまあ少なくとも、気分は今にも飛び立ちそうではありました。
「さあ。今日はバスの路線を確認しましょう」
もうすぐ入学式。桜舞い散る中で校門をくぐり、希望がいっぱいな高校生活がスタートする……その直前のことでした。
夢乃はいわゆるいいトコのお嬢さんでして、どこへ行くにも運転手が送り迎えをしてくれるような家柄の生まれだったりします。けれど絵に描いたような箱入り娘で終わらないのが、夢乃のエライところです。
持ち前の好奇心や行動力でもって、実家を出て星ヶ丘寮で生活することを決めたのを皮切りに、なんでもひとりでやり遂げられるよう知識の探求に努めました。ひとり部屋での暮らしに必要なものは自分で調べて揃えましたし、分からないことはちゃんとネットで調べます。今日だって、事前に通学路を把握しておくべくバス路線図を検索の上、実際に乗車もしてみようと思い立ち、足取り軽く星ヶ丘駅までやってきました。
猪突猛進、とも言えるかもしれません。好きなことや知りたいことに向かって、夢乃は一直線！ 儚げで可憐な佇まいとは裏腹に、なんとも頼もしいパワフル少女なのでした。
「ふふ……学校が始まるのが、今から楽しみですわ。アイドル好きなお友だちができるかしら？」
意外に趣味人なところも、ただのお嬢さまではない夢乃の個性といえましょう。
夢乃は、アイドルが大好き！ イケメンアイドルももちろん好きだけれど、愛らしくフレッシュで元気いっぱいな、女子高生アイドルを応援したい！ 寝子島高校には学生にして現役アイドルがなぜだか多いと聞きつけるや入学を決めたのだから、夢乃の本気度が分かるというものです。
（まあ、本当は私自身も歌ったり、踊ったりしてみたいところですけれど……さすがに一流の皆さまにはかないませんものね）
なんて、密かな夢も心に抱きつつ。
「あら？ あの方は……？」
そんな夢乃と彼女の出会いは、ある意味運命の引き合わせであったのかもしれません。
「あの……失礼ですが、何かお困りですか？」
「はいっ！？」
びくりと飛び跳ねた、小柄な女性。ぱりっとしたスーツ姿で、いささか童顔ですけれど、きっと夢乃よりはいくつか年上でしょう。
女性はすっかり弱った様子で眉尻を下げて、渡りに船とばかりに言いました。
「えっと、あの！ 実は、バスの乗り方が分からなくて……寝子島高校へ行くには、どうしたらいいんでしょうか！？」
（寝子高へ？ 先生……にしては若いですね。先生がバスの乗り方を知らないとも思えませんし、となると転入生でしょうか）
なんにしろ、行き先も目的も同じとは奇遇です。社交性も磨かねばと思っていた前向きな夢乃ですもので、これはちょうど良い機会かもしれません。
にっこりふんわり、笑顔を浮かべて、失礼にならないよう言葉を選びます。
「実は私もこれから、寝子島高校へ行くところだったんです。よろしければ、ご一緒しませんか？」
「いいんですか！？ わあ、助かります！ ぜひお願いします！」
「こちらこそ。今年から入学する、花咲 夢乃と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。そちらは……えっと。先輩ですよね？」
「せんぱい？ あ、私は雛鶴 さゆりです！ 寝子島高校で先生をするんですよ！」
「えっ、先生？」
「えっ？」
こう見えて先生でした。なんてこったい！
「し、失礼しました……！ 先生とは知らず。あの、あまりに可愛らしくて……いえ、もちろん大人の女性の美しさも兼ね備えていらして」
いきなりの失言に夢乃はちょっぴり気が遠くなり、言い訳することしきり。だってどこの世界に、バスも乗れない先生がいるっていうんでしょう……！
けれど、当の雛鶴先生はたいして気にした様子もなく、
「いえいえ、よろしくお願いしますね、花咲さん！ もーっ、本当に困ってしまって……！ ここで花咲さんと会えなかったら、どうなってたことか！」
気が抜けたのか、すっかり油断した笑顔を浮かべておりました。やっぱり先生には見えません。
（でも……ふふ。可愛らしい先生ですわね）
なんだかずいぶんと頼りないですけれど。とはいえこの佇まいや元気で明るいところは、どこか夢乃の好きなアイドルを思わせました。
きっとこの先生のこと、好きになれそうです。
「それでは、寝子島高校へまいりましょうか。先生、定期券はお持ちですか？」
「ていきけん？ いいえ、持ってません！」
「そうですか、では今日は現金で乗りましょう。バスで使えるカードもありますし、現金でも乗れますけれど、定期券だと割安になりますわ。あ、でも学校の証明が必要ですね」
「かーど？ しょうめい？ あ、現金！ お金を出せばいいんですね、はいっ、持ってます！」
「乗車する前に、小銭を準備しておきましょう。小銭がなければ、運転席の隣にある両替機を使います」
「りょうがえ？ ってなんでしょうか？」
……前途多難！ 世間知らずにも程がある先生に、夢乃は思わず苦笑いを浮かべるしかありませんでした。
ちなみに新学期が始まった後に、夢乃はアイドル活動研究部へ入部。そこで顧問となったさゆり先生とバッタリ、再会することになるのですけれど……そのお話はいずれまた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年02月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年02月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年02月12日 11時00分
