束の間の休息、戦士達の安らぎ｜リアクション

束の間の休息、戦士達の安らぎ

　寝子島の街中。
　人々が行きかうその場所をてくてくと歩く人物がいた。
　見た目は黒く長い髪に透き通る白い肌。顔つきはどことなくイザナに似ているが彼女よりも幼い。
　赤い目で周りを見渡し物珍しそうに歩く彼女は何を隠そうイザナから分断されたイザ那海その人である。
　だが現在の彼女の姿はとても小さく邪悪そうには見えない。

「ほほう、これがパフェじゃな……だがこの世界の通貨は持っておらぬ。ふむ、どうしたものか……」
「食べたいのならば俺が奢ってやろうか。イザ那海よ」
「何奴！？　わしの名前を知っておるとは……お主、ディガードの手の者か！？」
「手の者も何も当人だ。ふふ、小さいと記憶すらあやふやと見える。さあ、捕縛させてもらうぞ、お前はまだ利用価値があるのだからな」

　手を伸ばしたディガードの足の間をくぐり、イザ那海もといチビナミは走ってその場から退散する。
　雑踏に紛れた彼女はすぐに見えなくなりディガードは頬を掻いた。

「ふむ、あれでは追えんな。まあいい。ゆっくりと探すとしようか。時間はまだ……あるしな」

　小学生程しかない小さい体で走るチビナミであったが自分の着物の裾を踏んづけてべしゃりと転んだ。

「うぐぐ……なぜじゃ、なぜこのようなことにぃ……っ！」

　涙を浮かばせながらチビナミとなったイザ那海は身を隠すように路地裏へとふらふらと逃げていくのであった。

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