戦う戦士達にも束の間の休息は必要である。
どのような屈強な戦士であろうとも。
どのような勇猛な勇士であろうとも。
休むというのは必要ともいえる事柄だ。それができぬ者は一流には到底及ばないだろう。
「あひゃはっ! なかなか美味しいですねぇ、この『たこ焼き』っていうのは。ツクヨはぁ、結構気に入っちゃいましたよぉ?」
「そりゃ良かったよ。熱いから急いで食べ過ぎて火傷するなよ?」
「大丈夫ですよぉ、ツクヨはぁそんなどんくさい子じゃないんですからぁ……はむ、はふはふ」
そう言いながら露店の前に用意された簡素な椅子に腰かけ、たこ焼きを頬張っているのは金髪紅眼の女性ツクヨである。
彼女は現在いつもの衣服とは異なり、寝子島市民に馴染むような洋風の私服姿となっていた。髪は纏めてアップにしている為、いつもより活発な印象を受ける。
その溢れんばかりの乳房は健在であり、窮屈な服を嫌う彼女故に胸元を大きく開けたものを着用していた。
美味しい物を教えろとばかりに連れ出された
御剣 刀はそんなツクヨの胸元に目が奪われそうになりながらもなんとか手元のたこ焼きに視線をロックする。
ソースの香りと漂う青のりの風味が食欲を刺激したこ焼きを突き刺す竹串の速度を早めていた。
一方、別の場所では。
店舗の中でナディスは様々な服を着せ替え人形のようにとっかえひっかえ着せられている。
着慣れない服装にぎこちない笑顔を浮かべながらナディスは微笑んで見せた。
「あの、どう、でしょうか、ししょー? に、似合ってます?」
「ああ、動きやすくてなかなかにいいと思うぞ!」
聞いたこととは若干意味が違う返答をした
風雲児 轟の背中を
尾鎌 蛇那伊はべしんと叩く。
一行はナディスの私服を選ぶ為、洋物の衣服を扱う店舗に着ていたのである。
「もうっ、轟ちゃん、貴方この子の師匠さんなんでしょう? もっと気の利いたウェットに富んだ言い回しとかも教えてあげなくちゃ」
気の利いたウェットに富むコメントとはどういうものだろうかと考えながら轟は一生懸命に脳をフル回転させコメントをひねり出す。
「あー、うん。なんか可愛いから良しッ!」
ちょっと恥ずかしそうにしながらも尊敬する師匠に素直に褒められ喜ぶナディスとまだまだねぇという蛇那伊の笑い声が楽しそうに響いた。
そしてちーあはというと珍しくダストの店舗にやってきていた。
ダストという女性は以前寝子島の者達と激しく争ったが現在は和解し、ちーあの監視の元で普通の生活を営むに至っているのだ。
普通といっても彼女は『夢魔』であり、人間のそういうエネルギーを拝借しなければ生活ができない。
それ故にマッサージ店という名目で寝子島のとある場所に店舗を構えているのだ。勿論、ただのマッサージだけする店ではないが。
「ちゃんと無理させるような生命力の吸収はしてないんですよね? もし嘘言っていてもこのちーあアイは見逃せませんよ!」
「あー、ないない。無理して取ったとしても継続しないから稼ぎ的にはマイナスですからねェ。それだったら定期的に来てもらえるように別のサービスで……」
にやっと妖しく笑ったダストは胸元をちらりと見せてみる。女性であるちーあには意味はないがその行動の意図するところは彼女もなんとなく察した。
変幻自在でどのような身体も取れるダストは現在好んでツクヨの色替えバージョンとも言える姿をしている。
黒く長い髪に白色の触手のような髪が二本長いアホ毛のように生えている。褐色肌な体つきはツクヨと同じようにばいんばいんでないすばでーとはちーあの談。
当人が言うには口の中やいろんな所がツクヨと同じなので受け手の感覚はツクヨにされた時と同じだとか。
彼女がいうにはこの姿の方が客が多いらしく、中にはツクヨさんにされている感じがして妄想はかどるという客もいるようだ。
「ほーん……まあ、ちゃんとやっているのならいいのですよ、それじゃ私は帰――」
「待ってェ。ちゃんとやっているかはァ……体験してみないとわかりませんよねェ? さあ、体験入店ということでェ……こっちきてくださいねェー」
「うわぁぁぁああ、やめっ離すのですぅううっ! 私はこんなイカガワシイ店なんかああぁぁ、ああぁぁぁああーーっ」
じたばたしながらちーあはダストに引きずられ……店の奥へと消えていった。
そしてまた別の場所では。
そこは白い空間にあるキッチンである。周りにはあらゆる調理に必要な調理器具や果てはオーブンやかまど等も完備していた。
そのキッチンには二人の女性が立っている。一人はサイドテールに髪を纏めた女性、イヴァである。
「そうじゃないです、ちゃんと指を丸めて猫の手。いいですか、それをしないと手を切っちゃいますからね」
「わ、わかってるわよ! そんなこと言われなくたって大丈夫なんだからっ」
そうは言うもののイヴァに教わる少女イザナの手はプルプルと震えている。どうみても危なっかしい。
その包丁捌きは、いまにも指を切ってしまいそうで見てるこっちがハラハラする。
それぞれが好きなことをして、好きなように過ごしていく。
それは戦いの最中にある確かな日常であり……束の間の休息といえるだろう。
お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
今回は実に平和的なお話となります。戦闘はありません。
戦士にも休息は必要なのです。
ですので、皆様は過ごしたいNPCの同行するルートを選んでいただき、自由に過ごしていただければと思います。
ツクヨさんと美味しい物食べ歩きしてもいいですし、ナディスと一緒に服を選んでもいいです。
ダストさんのお店にお客として訪れてみるのもありです。店員として体験入店するのもありだと思いますよ。
我こそはと思う方はイザナの作る料理の試食係になるのも……OKです。
なお、過去のシナリオを読まれていない方、登場するNPCをご存じない方など、
初めての方でもまったく問題なくご参加いただけます。どなたでもお気軽にどうぞ。
アクション
◆予想されるルート
・ツクヨと一緒に食べ歩き 同行者:ツクヨ
:ツクヨさんと一緒に寝子島の美味しい物を巡ります。おすすめの物がない場合、
ファーストフード巡りとなると思われます。
・ナディスの私服を選ぶ 同行者:ナディス
:胸が大きくなり、服を新調しなくてはならなくなったナディスの服を選びます。
おすすめの服があった場合、ナディスちゃんが着てくれますよ。ただしあんまりセクシーなのは拒否されます。
最終的にナディスが皆様が選んだ服から一着選びます。
・ダストちゃんのお店に行く 同行者:ダスト、ちーあ
:ダストのお店に客か体験入店の店員として訪れます。
客として訪れた場合はダスト、ちーあのいずれかを指名してマッサージをしてもらう事ができます。
裏マッサージメニューが存在するので希望する場合は申し出てください。(別の意味でアブナイので要注意)
・イザナと一緒に料理する 同行者:イザナ、イヴァ
:イザナ、イヴァと一緒に料理します。
自分で好きなように作って二人に食べさせてあげるという形でもいいですし、
一緒に一つの料理を作るのもありです。
なお参加者はもれなくイザナの『つたない技術で作った料理』を食べることになりますので覚悟の上どうぞ。
更に注意事項として何も教えない場合、イザナの料理は『壊滅的な味』の料理となりますのでご注意を。
◆登場人物
ちーあ
:皆様を非日常に放り込む張本人。絶壁ロリで元気いっぱいな機械生命体。でも見た目は人と変わらない。
ありとあらゆるコンピューターにハッキングできるが割とポンコツの為、よく失敗する。
日夜怪しい研究品を開発している。それらが役に立つかどうかは皆様しだい。
ツクヨ
:わがままボディを持つ金髪紅眼の女性。戦闘狂であり、三度の飯より戦闘が好き。
中距離では赤い鎖を鞭のように扱い、近距離では二本の赤い長剣で戦うオールラウンダー。
攻撃魔法も扱える万能さ。
最近、回復魔法も使えることが判明したがもっぱら敵への拷問にしか使っていなかった模様。
寝子島のファーストフードにハマっており、気が向けば訪れている。
なお味の濃い料理が好みで、味噌や醤油を好む傾向。魚よりは肉派。
ナディス
:異世界アルカニアから勇者修行のために寝子島へ来ている少女。
この世界で出会った師匠に追い付く為に一生懸命努力中。
近接格闘と魔術を組み合わせたスタイルが特徴。高威力の魔法の命中率はいまだ低い。
なお最近胸が大きくなってきており、戦闘の邪魔だと悩み中。
私服すら更新が必要となり今回は買い物に来たようだ。
ダスト
:夢魔の少女。変幻自在の身体を持ち、どんな姿にも変化できるが
現在はツクヨの色替えとも言えるボディーを使用中。
基本的に人の生命力を糧に生きており、それらをマッサージの報酬として少量頂くお店を営んでいる。
ちーあの監視の元、人に害さないことを条件に生活している模様。
当人としても『利がない』とのことで寝子島と敵対する気はもうないらしい。
なおマッサージ店には違う意味でアブない『裏マッサージメニュー』が存在する。
イザナ
:ちーあの仲間の一人で何事にもやる気がないめんどくさがり屋。
ただなんだかんだ放っておけない性格であり、文句を言いながらも面倒見はいい。
雷の剣術と雷のビームやレーザーを扱うが現在はある事情により弱体化し雷の剣術のみしか使えない。
だが待っているのは性に合わないとリハビリも兼ねて参戦。
なおちーあに次ぐちっぱいの持ち主。料理の腕は壊滅的。
イヴァ
:ちーあの仲間の悪魔の少女。ツクヨには劣るがなかなかいいスタイルをしている。
癖のあるメンバーの中では一番の常識人であり、みんなのオカン的存在。
得意な事は料理家事全般と家庭的だが、ひとたび戦場に出ると身の丈程もある大鎌を高速で振り回す戦士となる。