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【お花見】逢ひ見んことは命なりけり
旧1-4の担任、久保田美和もこの集まりに呼ばれているものの、まず教師や卒業生、飛び入りの現役生たちとのバーベキューに顔を出してからくるとのことだった。
なのでとりあえず、六人は輪になってレジャーシートを広げる。
「任せときなさいって、商店街のイベント用のを借りてきたから」
真魚が広げた大きなブルーシートは、『参道商店街』と大きく印字されている広大なものだ。みなで手分けして広げる。大きいのなんの、ちょっとしたテニスコートくらいあるのではなかろうか。
「弁当はちゃんと覚えてたんだがな。シートはうっかりしてた。助かる」
庚は座り、「さっそくだが」とコンビニ袋を開けた。
タッパーにがっつり詰まっているのは唐揚げだ。
しかもタッパーはひとつではない。大きいのが三つもでてくる。だがいずれも唐揚げだ！ 唐揚げ、唐揚げ、唐揚げがぎっしりなのである！
「唐揚げと米さえあれば誰だって満足する。俺だって満足する」
豪快である。なお、塩おむすびを入れたタッパーと、申し訳程度のサラダも付属している。
「これだけたくさん唐揚げを目にするの初めてかもしれませんねーふっふ」
五月も唐揚げは好物、遠慮なくひとついただいた。
「おいしい！ やるじゃない」
ひとつ食べて即、真魚は合格の太鼓判を押した。
しっかり下味がついていた。濃い口のニンニク醤油が香ばしい。高温でさっと揚げたものらしく、冷えているのにカリッとしているのもいい。
「いけるアル！ これはいくらでもいけそうアルネ」
「まだ先は長いので食べ過ぎないようにしないとな」
華菜子と久雨は顔を見合わせる。見た目はゴツゴツだが味は最高、いわゆる高級店風味ではないか。
「唐揚げは誰だって好きだろうがよ。そうそう、タンブラーでみそ汁も持ってきた。具は豆腐とわかめだけだがな」
「唐揚げに振り切れているのがカッコイイのヨ！」
じゃあつぎはワタシのを開けるワ！ と花の妖精みたいなセレッソが包みをほどく。リュックサックにつめてきたものだ。
パステルカラーのカラフルな弁当箱が顔を出した。
「お弁当、頑張って作ったノ！ 小さくてカワイイのヨ」
ぱかっとあけると指で作った輪くらいの、ちいさなお寿司がたくさん顔を出した。
「手まり寿司ナノ！ 皆で食べられるよう色んな味を沢山作ったワ！」
おお、と驚嘆の声を上げたのは久雨だ。
「これは玉子でこれはイカ、こちらは鮪か、それにこれはバッテラというものだな。なんとウナギの寿司もあるのか。すべて小さい。それに可愛い……」
さすが久雨、セレッソのカワイイもの大好き仲間だけはある。まず見た目に魅了されたらしい。
すごいねセレッソさん、と五月は言った。
「種類ごとに分けてあるのがいいよね。色とりどりだし、どれを食べるか迷っちゃうよ」
「玉子のお寿司は細い海苔のベルトまでしてるアル！ 芸が細かいアルナー」
醤油を付けて華菜子もほおばった。しっかり握られていて型崩れしない。それでもガチガチではなくすっきり口溶けするシャリ具合で、言うまでもなくネタの味もおいしい。こんなにたくさんの種類の寿司を、しかも少しずつ食べられるとは、なんとゴージャスなことだろう。
「たしかに寿司も、誰でも満足するメニューだな」
実にうまいと庚が言ってくれたので、セレッソは内心ガッツポーズである。
これでグルメな庚クンの舌をうならせることができたワ！
「つぎは……そうか？ 私か」
まずはこれだ、と言って久雨は荷を広げた。
最初に出てきたのはスープジャー、いわゆる魔法瓶の筒である。といってもお茶を入れる魔法瓶よりはずっと大きくて太い。
「そして、これだ」
炊いた米が出てきた。しかし普通の白米ではない。ほの黄色いターメリックライスだった。こちらもステンレスの保温容器に入っており湯気を上げている。
「あっ」
わかったと真魚が膝を叩いた。
「この準備、ずばりカレーね」
「真魚が正解だ。通常の花見弁当のようなものは、皆持参するだろうと思ってな」
定番のビーフカレーだが、じっくり一晩掛けて煮込んだものだという。牛肉は頬肉をつかい、タマネギは完璧に溶けていた。人参だって原型がなくなるくらいトロトロになっている。
「カレーは味が強い。今は少しずつにしてくれ」
ほんの味見程度よそって全員に渡した。
「これは予想できなかったネ！ びっくりしたアル！」
「アイデアの勝利ですね……とってもおいしいですし」
「そういえばカレーも、誰でも満足するメニューだ。案外そういうものって多いのかもな」
華菜子、五月、庚とたてつづけに味わい、セレッソもうっとりしたようにスプーンを口に運んだ。
「みんなアイデアが豊富ですばらしいノ……！」
なのでとりあえず、六人は輪になってレジャーシートを広げる。
「任せときなさいって、商店街のイベント用のを借りてきたから」
真魚が広げた大きなブルーシートは、『参道商店街』と大きく印字されている広大なものだ。みなで手分けして広げる。大きいのなんの、ちょっとしたテニスコートくらいあるのではなかろうか。
「弁当はちゃんと覚えてたんだがな。シートはうっかりしてた。助かる」
庚は座り、「さっそくだが」とコンビニ袋を開けた。
タッパーにがっつり詰まっているのは唐揚げだ。
しかもタッパーはひとつではない。大きいのが三つもでてくる。だがいずれも唐揚げだ！ 唐揚げ、唐揚げ、唐揚げがぎっしりなのである！
「唐揚げと米さえあれば誰だって満足する。俺だって満足する」
豪快である。なお、塩おむすびを入れたタッパーと、申し訳程度のサラダも付属している。
「これだけたくさん唐揚げを目にするの初めてかもしれませんねーふっふ」
五月も唐揚げは好物、遠慮なくひとついただいた。
「おいしい！ やるじゃない」
ひとつ食べて即、真魚は合格の太鼓判を押した。
しっかり下味がついていた。濃い口のニンニク醤油が香ばしい。高温でさっと揚げたものらしく、冷えているのにカリッとしているのもいい。
「いけるアル！ これはいくらでもいけそうアルネ」
「まだ先は長いので食べ過ぎないようにしないとな」
華菜子と久雨は顔を見合わせる。見た目はゴツゴツだが味は最高、いわゆる高級店風味ではないか。
「唐揚げは誰だって好きだろうがよ。そうそう、タンブラーでみそ汁も持ってきた。具は豆腐とわかめだけだがな」
「唐揚げに振り切れているのがカッコイイのヨ！」
じゃあつぎはワタシのを開けるワ！ と花の妖精みたいなセレッソが包みをほどく。リュックサックにつめてきたものだ。
パステルカラーのカラフルな弁当箱が顔を出した。
「お弁当、頑張って作ったノ！ 小さくてカワイイのヨ」
ぱかっとあけると指で作った輪くらいの、ちいさなお寿司がたくさん顔を出した。
「手まり寿司ナノ！ 皆で食べられるよう色んな味を沢山作ったワ！」
おお、と驚嘆の声を上げたのは久雨だ。
「これは玉子でこれはイカ、こちらは鮪か、それにこれはバッテラというものだな。なんとウナギの寿司もあるのか。すべて小さい。それに可愛い……」
さすが久雨、セレッソのカワイイもの大好き仲間だけはある。まず見た目に魅了されたらしい。
すごいねセレッソさん、と五月は言った。
「種類ごとに分けてあるのがいいよね。色とりどりだし、どれを食べるか迷っちゃうよ」
「玉子のお寿司は細い海苔のベルトまでしてるアル！ 芸が細かいアルナー」
醤油を付けて華菜子もほおばった。しっかり握られていて型崩れしない。それでもガチガチではなくすっきり口溶けするシャリ具合で、言うまでもなくネタの味もおいしい。こんなにたくさんの種類の寿司を、しかも少しずつ食べられるとは、なんとゴージャスなことだろう。
「たしかに寿司も、誰でも満足するメニューだな」
実にうまいと庚が言ってくれたので、セレッソは内心ガッツポーズである。
これでグルメな庚クンの舌をうならせることができたワ！
「つぎは……そうか？ 私か」
まずはこれだ、と言って久雨は荷を広げた。
最初に出てきたのはスープジャー、いわゆる魔法瓶の筒である。といってもお茶を入れる魔法瓶よりはずっと大きくて太い。
「そして、これだ」
炊いた米が出てきた。しかし普通の白米ではない。ほの黄色いターメリックライスだった。こちらもステンレスの保温容器に入っており湯気を上げている。
「あっ」
わかったと真魚が膝を叩いた。
「この準備、ずばりカレーね」
「真魚が正解だ。通常の花見弁当のようなものは、皆持参するだろうと思ってな」
定番のビーフカレーだが、じっくり一晩掛けて煮込んだものだという。牛肉は頬肉をつかい、タマネギは完璧に溶けていた。人参だって原型がなくなるくらいトロトロになっている。
「カレーは味が強い。今は少しずつにしてくれ」
ほんの味見程度よそって全員に渡した。
「これは予想できなかったネ！ びっくりしたアル！」
「アイデアの勝利ですね……とってもおいしいですし」
「そういえばカレーも、誰でも満足するメニューだ。案外そういうものって多いのかもな」
華菜子、五月、庚とたてつづけに味わい、セレッソもうっとりしたようにスプーンを口に運んだ。
「みんなアイデアが豊富ですばらしいノ……！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年01月16日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年01月23日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年01月23日 11時00分
