this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】逢ひ見んことは命なりけり
<< もどる
1
…
25
26
27
28
29
…
80
つぎへ >>
広い。部屋が広い。
あれだけあった段ボールがあらかた姿を消している。外に移動させたからだ。
紗月と理緒は午前中いっぱいかけて作業して、どうにかある程度片付けることができた。少なくとも壁は見えているし、今夜は寝袋じゃなくて組み立て式ベッドで眠ることができるだろう。
ぎっしりの衣装類は、部屋の規模からすれば大型の収納に大半を収めた。どうしても入らないものについては、リサイクルショップに持っていくなり友人にあげるなりして処分するという方針も定まった。
時間はとうに正午をすぎ、もう一時にちかい。
「じゃあ休憩にしない?」
「賛成! 腹ごなしだね」
朝は病人みたいだった理緒の顔色にも、薔薇のような血色が戻っている。
理緒の新居そばには、ちょっと名の知れたサンドイッチ専門店があった。島外の新聞などで紹介されたこともたびたびあるそうで、いつも行列ができている。
奮発してふたりは価格一位と二位のサンドイッチを購入し、近所の公園に入った。
「ここに来る途中で目星をつけておいたんだ」
紗月がベンチに腰を下ろすと、理緒は目を丸くした。
「すごい、よくこんな場所見つけたね! 私の部屋のすぐそばなのに」
ベンチが置かれているだけの小さな公園、目立つものといえば桜が一本ひっそりと立っているだけだ。けれど絶好の花見スポットであろう。座れば綺麗に花咲いた桜を仰ぎ見ることができるし、四方は雑木林に包まれているのでとても静かだ。住宅地にぽっかりと開いた隠れ家のようでもあった。
「理緒ちゃんはここのところ毎晩遅いじゃない? だから気づかなかったとしても当然だよ」
「たしかに……なんかずーっと寝るためだけに帰ってたようなもんだったからね」
でも激務は昨夜で一段落し今日はオフだ。明日もスケジュールは空いている。今後の見通しも常識レベルに落ち着いてきたので、しばらくは多少なりとも大学生らしい生活を送ることができそうだった。
「じゃ」
「とりあえず、明るい未来がひらけたことを祝って」
サンドイッチ店で買った紙カップ入りのカフェオレで乾杯というのも妙な話ではあるが、そっと重ねあわせてから食べ始める。
サンドイッチの中身はターキー、それにスパイシービーフだ。一口でたちまち夢中になった。ターキーはびっくりするくらい肉がやわらかく豊潤でソースは濃厚、ビーフのほうは少し辛いがエスニックなスパイスの刺激と香りがたまらない。はさみこまれたチーズやレタス、トマトもすごく味が濃いのだ。チーズはフランス製、野菜はすべて契約農家から直送されたものらしい。
一切れずつ交換しあって食べる。一生懸命作業して空腹だったせいか、あっという間に平らげてしまった。ふーっと、理緒はウェットティッシュで手を拭きながら言った。
「なんかバタバタしている間に大学生活に突入した感じだよね……まだ実感わかないなあ」
「履修登録はどうするの?」
「あー、一ヶ月くらい余裕あるから、一通り受けてから決めるつもり。紗月は?」
「私は、もうほとんど決めてあるから」
「うーん、リサーチ完璧だねっ、見習いたい」
「でも一二度聴講してみて、いまひとつだったら変えるかもしれないよ」
ここで、そうそう! と言って理緒はスマートフォンを取り出した。
「片庭(かたば)さん覚えてる?」
もちろん、と言いながらなんとなく紗月は頬を染める。先日、偶然ながらグラビアデビューしてしまった紗月である。片庭というのはそのとき撮影を担当した女性写真家だ。滅多にない経験ではあるが、できればもう勘弁願いたい経験でもあった。思い出すだけで汗をかきそうになる。
「ほらメール来たんだ。紗月のこと気に入ったからまた撮りたい、みたいなこと書いてる……」
「それはダメ! 顔から火が出そう!」
こりごりと言う紗月に、そんなこと言わずにと迫る理緒、しばらくそんなやりとりを続けていたのだけど、
「……ってことだったんだって」
「そうなの」
ちょっとした情報交換が終わったところで、会話が途切れた。
静寂が訪れる。
「……」
紗月は桜を見上げた。
満開になったと思えば散り始めるのが桜だ。けっして咲いた状態をたもつことはない。いまも断続的ながら、ひら、ひらと花弁が落ちてくる。
綺麗だな、と紗月は思った。
でもさびしいな、とも思った。
理緒はなにも言わなかった。紗月の名前すら呼ばなかった。
黙って紗月の両肩に手をかけ、抱き寄せて唇を重ねた。
紗月に抵抗などできはしない。する間もなかった。
甘い味がした。
唇だけじゃない。理緒の舌の味――。
「んんっ」
お互いの鼻息を感じる。重なっているのは唇だけじゃない。理緒はのしかかるようにして紗月に体重をあずけている。
理緒は目を閉じていた。
だから紗月も、閉じた。
紗月の手が、ブラウス越しながら理緒の乳房に触れた。なんらかの意図があったわけではない。偶然触れただけだ。
でも、それで、電気ショックを受けたように理緒は身を離した。唇も。
「……」
紗月にできることはうつむくことだけだ。
キスされた。
理緒ちゃんに。
頭で理解してはいる。だが、心でわかっているかと尋ねられたら、イエスと言う自信はない。
「ごめん、いきなりこんなこと、しちゃって……」
「理緒ちゃん……」
理緒はうつむいている。とりかえしのつかない罪でも犯したかのように。
「紗月……あたしのことを好きでいてくれてとても嬉しい。あたしも紗月のことが好き」
そのままの姿勢で理緒は言った。
「だから……だからあたし、嫉妬してるんだ。紗月には綺麗で汚れてなくて清らかなものがあって……あたしは、紗月と出会ったときにはもう綺麗じゃなかったし、身は汚れてたし、だからこうして……キスするたびに、抱きしめるたびに……紗月のことを汚してしまうことに罪悪感を感じて……」
どうしてだろう、泣きたくなってくる。
いや、理緒の目にはもう涙がたまっていた。こぼれていないだけだった。
「でもあたし紗月のこと嫉妬してるから汚したくて……自分でもわけわかんない!」
理緒が肩をふるわせていた。怒っているのだろう。ほかならぬ理緒自身に。
今日は理緒ちゃんの喜怒哀楽、全部を見た気がする――。
大丈夫、と言って紗月は理緒の背に両腕を回した。
しっかりと理緒の瞳を瞳でとらえる。目を逸らさない。逸らさせもしない。噛んで含めるように言った。
「……私は理緒ちゃんになら汚されてもいいよ。だって、私は理緒ちゃんが好きなの」
そして紗月は、理緒にキスを返した。
<< もどる
1
…
25
26
27
28
29
…
80
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】逢ひ見んことは命なりけり
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
67人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月16日
参加申し込みの期限
2021年01月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!