this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
茶処・微風庵
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
切りそろえた前髪が煽られて風に揺れる。
(微風庵という名の茶処にいたはずですのに)
愛猫 萌々子
は気づけば広々とした草原にいた。
刷毛で描いたような雲がたなびく青空。鼻腔を擽る草の匂いに惹かれ、思わず寝転がる。
ふと隣を見ると、幼さを残す琥珀色の瞳と踝までも長い黒髪に包まれたセーラー服の少女が同じように寝転んでいる。名前も忘れてしまったうさぎのぬいぐるみとクレヨンを抱えた彼女のことを萌々子は知っていた。
「『
ももこ
』……」
名を呼ぶ。
中学時代、母親との死別した萌々子が強権的な父親に怯えて過ごしたの日々を生き抜くために生まれた存在だと今ならわかる。閉じ込めた悲しみの具現。手を伸ばしその頬に触れる。
「……過去と向き合おう、と言ったのは私でしたね」
萌々子の囁きに、ももこは目線だけ寄越して瞬きする。
「でも、何から話しましょうか」
父のことか。母の死か。それとももっと前の思い出か。
浮かんでは消える暈けた感情は言葉にならず、お互い何も言わぬまま寝転んで空を見上げ続ける。沈黙はしかし孤独ではなかった。同じ過去を彷徨っているような共鳴感が少なくとも萌々子にはあり、それは悲しみとの接続を切り、結果的にももこに託すだけだった中学時代には感じえなかった心地良さを伴ってもいた。
すうと額に影が差し、やわらかなシルエットが視界に広がる。
「お二方、お茶はいかがれすか。いちご大福もどうぞれす」
「これはこれは微風庵のねこさん……ありがとうございます」
萌々子は半身を起こし、二足歩行の不思議なねこからお茶といちご大福を受け取る。
「お代は……」
言いかけて手持ちのお金がないことに思い至りあたりを見回す。揺れる草の中に素敵なものを見つけて引き抜くと、萌々子はねこに差し出した。
「このエノコログサでもいいですか? 大きくてふわふわ厳選です」
「ええ勿論。素晴らしいお代をありがとうれす」
ねこは嬉しそうにエノコログサを両手で受け取り、ふさふさふりふりしながら去って行った。
萌々子はももことお茶を啜って、ふと思い出す。
「そういえばまだ家族四人でいた時、お母様が一度いちご大福を作ってくれたことがありました。美味しかった記憶とお父様の笑顔を覚えているんです」
萌々子はいちご大福を食む。柔らかい餅の中から餡の甘さと酸っぱい苺の果汁が溢れてくる。
ももこもいちご大福を食む。表情はないままだが、無心に頬張り続けている。
萌々子はお茶を啜って気を落ち着かせ、それからももこに語り掛けた。
「貴女とひとつになったあの
決戦
の後、お父様に電話したんですよ」
ぽつり、ぽつりと。
「春に家を出てからほぼ一年ぶりに話しました」
暗い洞窟の中、長い年月をかけて育った氷柱のその先端から、雫が一粒ずつ落ちるように。
「お父様も私とお兄様が相次いで出ていって、自分のやり方に悩んでいたそうです。確かにお父様のやり方は間違っていましたが、私のことを思っていてくれていたのはずっと変わらなかったんです」
愛し方を知らなかった人。
強く正しいことが愛だと思い込んでいた人。
愛だと信じたものを押し付けることでしか思いを表現できなかった可哀想な人。
子どもだったからわからなかった。大人がこんなに不器用だなんて。
「ただただ恐ろしい存在だったお父様へ、初めて落ち着いて自分の気持ちを伝えました。『寝子島は大切な場所で、私はここで頑張ります』と」
ももこは瞬きもせずその琥珀色の瞳をまっすぐ萌々子へ向けた。
瞳に浮かぶ光に励まされ、伝えねばらなぬことを言葉にする。
「今まであなたを避けていてごめんなさい、あなたは私の中にちゃんといますよ。気づかせてくれてありがとう、ももこ」
それを聞き、ももこはふわりと花開くように笑った。
「もう大丈夫ですね、萌々子」
青空の下、言葉は風となって吹き抜け、萌々子は思わず目を瞑った。
目を開けるとももこの姿はどこにもなかった。
「もう大丈夫ですよ、ももこ」
萌々子は風の行き先へ笑み返す。
いちご大福は完食していた。
切り揃えた前髪が朗らかに揺れた。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
茶処・微風庵
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月12日
参加申し込みの期限
2021年01月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!