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目覚めると枕元の時計は二時を指していた。昼の二時かそれとも夜か分からないまましばらくまどろむ。久々によく眠った気がする。
寝子島総合病院の勤務医である
深倉 理紗子
は常に多忙であった。出勤は朝の六時。帰宅は夜の十二時。非番でも、急患や受け持ち患者の容体急変で鳴る電話。睡眠時間が幾ばくも無いのは推して知るべし。眠りの要らぬ機械の体になりたいと願ったのも一度や二度ではない。ここ最近は「人間らしい豊かな生活を」やら「誰一人取り残さぬ世界を」なんてキャッチコピーを聞くたびに吐き気がするから重症だ。遣り甲斐を感じないわけではないが、摩耗している。鑢で削り取られていくみたいに。軽い力で折れそうな爪楊枝ほどまで削られて、涙のことすら忘れそうになる。感情って何だっけ。
(ああそうだ、今日は非番だった)
理紗子はのろのろと動き出す。遮光カーテンを開けて空の明るさに目を細める。医者の不養生という言葉があるように、他者の健康を守ろうとすればするほど自身は健康から遠ざかるのだからなんとも皮肉だ。職場と自宅の往復に終始する日々のままではいけないと無意識が訴えかけている。必要なのは理由も目的地もない時間であった。
ぶらぶらと散歩して、知らない路地を曲がり、見かけない喫茶店があった。
気の向くまま入ってみると二本足のねこに出迎えられた。
へ? と思ったが、自分が落ち着くところを聞かれて思い浮かべる。
吹き付ける風が優しく身体を撫でる。薫る初夏の風だ。纏うは涼し気なワンピース。なだらかに広がる草の原、薄水色の空をゆく雲。そこは高原で、柔らかな日差しをうけた麦わら帽子から麦のいい匂いがする。
(なんだか落ち着くな……)
日々の忙しさなどまるで嘘のような、時がゆったり流れるような感覚に身をゆだねる。音も、光も、匂いも、この風景のすべてが心潤してくれる。枯れた泉に清い水がこぽりこぽりと湧いてくるようだ。
(気持ちがいい……このままボーッとしていたい……)
目を閉じて、陽光を瞼に浴びたまま理紗子は無心の時を楽しんだ。
風が強く吹き付けた。
被っていた麦わら帽子が飛んだ。
「待って」
車輪のようにくるくる丘を転がり落ちてゆく麦わら帽子を、理紗子は無心のまま追いかける。
草波の向こう、誰かが麦わら帽子を拾い上げる。
白いワンピース。自分によく似た面差し。そこにいたのは。
「紗智子……お姉ちゃん……?」
あり得ない。理紗子は瞠目する。次姉の紗智子は6年前に突然、急性くも膜下出血で27歳で亡くなっているのだ。今では自分の方が姉よりも年上になってしまったというのに、姉は亡くなる前の記憶にある姿のままで微笑する。
「理紗子」
名を呼ぶ声も覚えているとおりのもので、もう疑いようがない。
「うそ……お姉ちゃん、なの……?」
意識はなかった。ただ身体が動いた。手足よもっと早くともどかしく。本当にそこに存在しているのか確かめたくて腕を伸ばす。肩を掴み、抱き寄せて、首筋に強く顔を埋めて。
「………………!」
ある。
姉の存在がそこに。
言葉にならない。
熱い液体が溢れ出て鼻筋を流れ落ちてゆく。姉の体を掻き抱きながらどこか冷静に思う。
(涙。感情。まだ私の中にあったんだ)
よかった。姉のことを想う心が削り取られて消えていなくて。
紗智子は幼い子を慰めるように髪を撫でてくれた。その手の動きに覚えがあって、また涙が滴り落ちた。
「理紗子、相変わらず泣き虫さんね」
本当の私は泣き虫。姉はそのことを良く知っている。
「ごめん……どうしても無理みたい……」
「謝らなくていいのよ。そんなところが理紗子らしくて、私は好きよ」
姉の手が頬へ、涙を拭うように撫でられる。止められない想いが涙になる。涙は次から次へと瞳から出てゆくのに、流れた分だけ自分の中に戻って来て心の器に溜まってゆく気がするのが不思議だった。
「人のことばかり優先してしまうのは理紗子の悪い癖よ。もっと心の声を聞いて。自分を大切にしてあげて」
「うん……うん……」
「いつも返事はいいのだけれど。すぐに忘れて無理しちゃうでしょう? だから、お姉ちゃんと指切り」
絡められる小指の柔らかさにまた熱い雫が込み上げてくる。
指切りげんまん、指きった。約束よ。
微笑む姉の顔は涙に滲み、遠くなる。麦わら帽子の白の向こうへ燦然と。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月12日
参加申し込みの期限
2021年01月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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