「お代はそんなに、いらないのれす。はい」
「はあ……」
ぽかんと口を開けた
白 真白の目の前でかしこまっているのは、一匹の『ねこ』だった。二本の足で立ち、小袖の簡素な着物を着込み、頭には手ぬぐいを巻いていた。
「にゃおにゅ~るなどとは申しません。お魚の切り身なんていうのも、ゼイタクれすし。もちろんいたらけるなら、嬉しいれすけれど……いえいえ、かつお節やカリカリを小皿に少しとかれも……」
「ははあ」
旧市街は参道商店街の、言うなれば「隙間」とでも表現しようか。人目につかない裏路地の奥のさらに奥。ねこの手招きに引き寄せらて訪れたそこは、どうやら喫茶店であるようだ。
神魂の不思議に満ちた寝子島だから、まあこんな店もあるだろう。とすっかり慣れっこな真白は考えた。
が、不思議なのは店内の様子だ。
和風の茶店といった意匠でなかなかに心落ち着く佇まいだが、そこにはテーブルはおろか椅子の一脚もない。
真白は首を傾げる。
「喫茶店なのは分かったけど、どこに座ったらいいの?」
「座る必要はありません。思い浮かべるらけれいいのれす。あなたの一番心安らぐ、心地良い風景を」
ねこの言葉に、真白の心象は想起された。
「……ふおおお」
気がつくと、緑の中に寝転んでいた。
いつの間にやら、猫を抱いている。「ねこ」ではない、本物の猫だ。身体をすり寄せてくるのもいれば、真白の頬をぺろりと舐めるのもいる。あたりを見回せばまるで、猫の楽園だ。奔放な猫たちが数え切れないほど、森の中に佇んでいた。
風がそよぐ。やわらかい芝が香った。鳥たちもぴいぴいちいちいと鳴いている。
「いかがれすか?」
先ほどの「ねこ」がトレイを手にやってきて、あたたかいお茶とようかんなど出してくれた。
もちろん真白は猫をにっこり笑って、猫をむぎゅう。ご満悦なのだった。
「最っ高」
こんにちは。網です。どうぞよろしくお願いします。
不思議なお茶処が舞台のお話です。
あなたが迷い込んだ裏路地に見つけたお店は、二本足で歩いてしゃべる『ねこ』が経営する喫茶店でした。
ただの喫茶店ではありません。
不思議な力で、あなたが潜在的に抱く、あなたが心落ち着く風景を現実のものとしてくれるお店です。
その風景は、実際には存在しない非現実的な場所かもしれません。
亡くなってしまった、大好きだった故人が出迎えてくれる懐かしい思い出の場所かもしれません。
あるいは普段から足を運ぶ、ごく見慣れた日常的な光景かもしれません。
<例>
・清々しい森の中、たくさんの猫たちに囲まれている
・ふわふわもちもちな雲の上で、鳥たちとお茶会
・たくさんの楽器がひとりでに演奏し、懐かしい音楽を聞かせてくれる
・寝子高の教室で、友人たちと賑やかなひと時
・故人のおばあちゃんと、田舎の民家の縁側でひなたぼっこ
などなど
自由に指定して、思い切りまったり、ゆったり。癒されてください。
ガイドにも登場した『ねこ』が給仕をしてくれます。
日本茶や和菓子のお茶請けが中心ですが、リクエストすれば洋風なものも用意してくれます。
服装も見合ったものに着替えてくれます。
対価として、猫が好きそうな食べ物や遊び道具などをプレゼントしてあげてください。
重要なのは気持ちなので、必ずしも高価なものや希少なものでなくて大丈夫です。
故人など、未登録かつPCさんと近しいキャラクターを登場させる場合、
性格や口調、PCさんとの関係など、必要な情報はアクションに記載してください。
登録PCさん同士で交流する場合は、GAを組んでください。
お店を訪れたAさんの思い浮かべた風景に、友だちのPCであるBさんが登場する、
といった形もOKです。
特定のマスターさんが扱うキャラクターを除き、NPCも登場できます。
また、Xイラストのキャラクターも描写することができます。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
それでは、ご参加お待ちしています。