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まかい探訪記 第二集
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──輝く熔岩よりも熱いまなざしと美しい姿を持った竜族の女たち、
──可憐な彷徨う屍人と玲瓏とした美貌の魔女、
──死霊女王の墓所に於いて悪夢集う大樹を育む羊の執事と蛍とその主、
嘆きの妖精の黒髪を弦とするリュートを幽けく爪弾き、時に勇壮にかき鳴らし、いくつかの物語を詠っていた、そのとき。
嵐の色孕む雲に覆いつくされた空に、火山の爆発に似て蒸気が白く噴き上げられた。
フードの下から驚いた視線を上げる私に、詩に耳を傾けてくれていた機械仕掛けの少年少女たちがくすくすと親し気な笑みを浮かべる。
いつものことだよ、と背から幾本もの銀の腕を生やしたまものの少年が笑う──そう、この機械仕掛けの町に於いて、街路に張り巡らせられた数千もの管から何を素とするやも知れぬ蒸気が煙が吐き出されるは日常茶飯事。時には気体のみにあらず、得体の知れぬ極彩色の液体でさえも排出される。
あちらこちらからの廃棄物に汚れた混成土の道を行くは、身体のどこかしらに機械をつけたまものたち。
そのまものたちの足元を、灰色の卵じみたナニカが歩いてきている。カチ、カチ、と時を刻む振り子のような鳴き声をたてるそれは、銀色の機械肢を器用に動かし、白い蒸気が空も路傍も吹き流れる街を、迷う風もなくこちらに近づいてくる。
拍節器(メトロノーム)よ、と機械の翼を負う少女が教えてくれた。
ついて行けば面白いものが見られるよ。
そう言うくせに行ってらっしゃいと手を振るばかりの少年少女たちに背を押され、拍節器の後を追う。機械仕掛けのそれは、カチカチと歌いながら機械仕掛けのまものたちの雑踏をすり抜けて行く。
壊れて破棄されたガス灯が死海の森の如く立ち並ぶ路地を抜け、鏡の如き鉛の地面が広がる通りを渡る。カチ、カチ、カチ。規則正しい音を刻む拍節器が目指していたのは、ささやかな庭に囲われた小さな家。
カチ、カチ。拍節器がその家の前で肢を止める。玄関ドアの前でうずくまって動かなくなる。
見上げた空は夜の色をしていた。
ただし機械の街に夜の闇はない。街の街路や屋根に掲げられた魔道燈やガス灯の眩いばかりの光に照らされ、空覆う蒸気が赤紫の色に染め上げられているばかり。
窓の向こう、白いレースに隠れた室内に柔らかなランプの光が灯った。
光を帯びて映し出されたのは、長く艶やかな黒髪の少女。黒髪や薄い胸や、フリルに飾られた衣を幾つも飾るは、時計をモチーフにしたアクセサリー。
少女の名を私は知っていた。
遠い昔にか、それとも指折り数えられるほどの近い年月かに、少女と言葉を交わしたことがある。幼くいとけなく笑うその漆黒の瞳の深さに慄いたことがある。
彼女の名は、
時の魔女
──少女のかたちをした、まもの。
足元に蹲る拍節器の音よりも、更に精巧に、恐ろしく正確に時を刻む音を、少女の、少女とは思えぬほどに静謐な横顔に聞いた気がした。
目を凝らす。
時の魔女は一心不乱に自身の手元を覗き込んでいる。遠目に見えるのは、金色の懐中時計。時計の周りには、それ自体が魔力を帯びているのだろう小さな螺子や歯車や発条の類が散らばっている。
彼女のまなざしを浴びている机上の時計の他にも、部屋中の壁という壁に大小もかたちもさまざまの時計が掛けられている。何の変哲もない壁掛け時計も、今にも可愛らしい鳥が時を告げて窓から現れそうな鳩時計も、銀色の簡素な懐中時計も、──おそらくは、そのすべてに私などには到底想像もつかないような強力な時の魔力を秘めている。
一度、その力を借りたことがある。
時を緩やかにも光の速さにも変え、果ては止めることさえ可能とする時の魔法の媒体となる時計を縁あって譲り受け、別の縁を結ばせてもらった。
譲り受けた時計は、時の魔女の膨大な魔力がゆえに一度きりでそのかたちさえ失くしてしまったが、過去に受けた恩は忘れていない。
カチ、カチ。拍節器が急かすように鳴いた。
窓の向こう、時の魔女は白い頬に黒い睫毛の影を落としている。その幼い横顔が、ほんの少し困っているようにも見えて、思わずその名を呼んだ。
黒い瞳が瞬く。その奥で精緻な歯車が何万何億と動いているかの如き深淵たる漆黒の瞳が、私を見る。そうして、あどけなく笑う。
「こんにちは」
小さな掌で窓を開け、時の魔女は私の来訪を予見していたかのように微笑んだ。
足元でカチカチと拍節器が笑う。おそらく、私は彼女に招かれたのだろう。
「歓迎してあげたいところだけれど、今はそんな気分じゃないの」
そう言う彼女の掌の上には、精巧な基盤が剥き出しとなった金色の懐中時計。
「この時計は、決して世に出してはならない欠陥品」
本来は一度きりの使用しか叶わぬはずの時の魔法が、二度可能となった『時計』なのだと魔女は言う。
「それは偶然の作用ではあったのだけれど……」
それと引き換えに、『時計』の使用者は元の時の流れには戻れなくなる。
例えば、時の流れを緩やかにすればその流れの中でしか生きられなくなる。
例えば、時の流れを早くすればあっと言う間に老化して死を迎えるに至る。
例えば、時を止めれば永遠の静止状態の中に留め置かれる。
いくつもの恐ろしい現象を何でもないように指折り数えた挙句、
「実験したあたしも危うく時の落とし穴に陥りかけたんだもん」
ねえ、と魔女は──時という絶対の支配者を御すること敵わぬ身であることを知るまものは、深淵の瞳で私を見遣る。
「この欠陥品、どうやって始末したらいいか、何かいい方法ない?」
「……破壊は」
「出来るに越したことはないけれど、……この中に封じた時の魔法が暴走して、どんな思わぬ結果を生み出さないとも限らない」
魔女の声に誘われるように、拍節器が思わぬ身軽さで魔女の窓辺に跳んだ。カチカチと得意げに鳴く拍節器の卵のような頭部を、時の魔女は白い手で撫でる。
その様子を眺めながら、私は思いを強くする。ああ、やはり。
私は、時の魔女に招かれたのだ。
であれば、『欠陥品』の封印にはどうあっても付き合わねばならないのだろう。その顛末を記さねばならぬのだろう。
──けれど、その物語はまた、別の物語。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
まものなみなさまの物語、お届けにあがりました。
三年ぶりの『まもの』のお話でしたが、おかげさまでとても楽しく描かせて頂きました。幻想風景やそこに生きる不思議な人々、大好きなのです。
いつものみなさまも素敵ですが、『まもの』なみなさまも素敵ですねえ!
少しでもお楽しみ頂けましたらさいわいです。
お読みくださいまして、ご参加くださいましてありがとうございました!
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年12月26日
参加申し込みの期限
2021年01月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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