プールびらきはサニーデイ｜リアクション

プールびらきはサニーデイ

　さんさんと降り注ぐ太陽は、まるで祝福してくれているよう。
　夏の訪れを。それを知ってはしゃぐ椿美咲紀を。
「わーい、プールだぁ！」
　抱き上げた仔猫のような笑顔で、やっほーと美咲紀は更衣室から躍り出ました。
　今年はゴールデンウィークごろから暑くて、早く水遊びしたくてうずうずしていました。いざ水着になってみるとちょっと肌寒いところはありますが、動いているうちにすぐ忘れるでしょう。
「とくに今日はボールで遊んでも怒られない魅惑の午後なのです！　このチャンス、逃しちゃ駄目だもんね」
　すぐに美咲紀は、プールから上がってきた七夜あおいを見つけて声をかけます。
「あおいちゃーん！」
「美咲紀ちゃん！」
　あおいは指定水着、美咲紀も指定水着。お互い、「似合ってるね」と褒めあいます。
　スクール水着が似合うとはどういうことか！？　ええ、そうです！
「胸控えめさんでもそんなに目立たないっていうか……むしろ控え目タイプの方がこのデザインは似合うよね！」
　思わず口走ってしまいましたが、あおいも開放的です。
「だよねー！」
　といって両手を上げました。
　二人でハイタッチ、これでナカーマ！　いいのいいの、気にして小さくなっているより、堂々としているほうがずっと楽しいから。
　あおいは綾辻綾花に泳ぎを教えている途中ということで、手を振って去って行きました。
「さて誰か知り合いは……っと」
　美咲紀はすぐに御巫時子を見つけました。けれど、呼びかけるのはやめておきました。彼女は、生徒会長の海原茂に水泳を教えているようです。なんだか、邪魔しちゃいけない気がしました。
「市橋さんもいるけれど……」
　彼も同学年の子（顔はよく見えませんが）に水泳を指導している様子です。
　しかし大丈夫、まもなくして美咲紀は鷹取洋二を見つけました。彼はどことなく眠そうな目をして、プールサイドを闊歩しております。
「鷹取先輩！」
「おお、椿くんか。これは奇遇」
　洋二はいつだって洋二らしいのでした。だって、紫のラメ入り水着だったのですから。おなじみワカメ頭は、水に濡れてぺたっとしております。
「先輩らしい水着ですね～。個性的で素敵ですぅ」
　他意なく美咲紀は言いました。似合っているのは事実です。あんなアバンギャルドな水着を着こなせるあたり、鷹取洋二はやはりただ者ではない。
「はっはっは、そうかい？　椿くんこそ可愛いよ」
「こんにちは、先輩、美咲紀さん」
　そこに森蓮もやってきました。脱いではじめてわかったのですが、蓮はなかなか体格がよろしい。
　三人そろえばなかなか賑やか、美咲紀は「ちょっと待ってて」と言って、持参したアイテムを披露しました。
「ボール遊びＯＫなので大きめのビーチボール持ってきたんです。これで皆で遊べると楽しいでしょ？」
「それはいいアイデアだ。森くんもやろうよ」
「華やかですね。もちろん賛成です」
「じゃあプールに入って、水の中で楽しくぽんぽん☆って遊びましょう！」
　というわけで三人楽しく、水遊びとあいなったのです。