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ンモ~っ♪ 新春☆初夢フェア2021! ~富士編~
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【野生の呼び声】
樹々のざわめきの変容を、
ハヅキ
は鋭敏に感じ取らずにいられない。それは長く森に寄り添うこの村に生きてきたことのみならず、ハヅキが森の申し子であるからだ。
「……?」
その日は朝から鳥たちが不安がっているのをつぶさに感じた。狐も、栗鼠も、猪も、一様に何かにおびえている。
ハヅキとて時に森へ分け入り、木の実を拾い果物を摘み、狩りもするが、敬意を見失ったことはない。今日の黒々として深く湿った森の様相は、そんなハヅキさえ拒むように刺々しく見えた。
「ハヅキ。森のおばあさんに、ワインとリンゴを届けておくれ」
母もまた同様に、樹々が報せる異変には気づいているだろう。彼女はめったに森へ入ろうとはしないが、それでも森と対話する術は心得ている。
森の奥のあばら家に一人隠れ住むハヅキの祖母へ使いをやるのも、彼女を案じてのことだ。
「ええ。分かったわ」
「すまないね。私は森が恐ろしい。もう足を踏み入れることはないだろう……」
「大丈夫よ。分かっているから」
弱弱しく縮こまる母の肩へ触れてから、持たされたバスケットを腕に提げ、耳のついた黒い頭巾をすっぽりとかぶり、ハヅキは家を出た。
見送る母が躊躇いがちに告げた言葉が、ハヅキの胸を鈍く貫いた。
「あの人が……お前の父が、森へ戻ったのかもしれない。忘れるのでないよ、森へ気を許してはいけない。忘れるのでないよ……」
樹のうろに潜む怪物を妄想した。子どもの頃だ。赤くぎらつく瞳と目が合った瞬間、そいつは毛むくじゃらの長い手足を伸ばし這い出てきては、子どもを捉え貪り食うのだ。
幻想と現実の区別を覚えた年の頃にはそうした空想も鳴りを潜めたが、父の姿や振る舞いがそれに取って代わった。
彼は森を牛耳る暴君だった。
「……!」
仰向けにそっくり返ったまま小さく痙攣を続ける栗鼠を見かけ、ハヅキは駆け寄った。
「爪の痕……」
森がざわつく。栗鼠は胴をほとんど両断され虫の息で、ハヅキが何かするまでもなく動かなくなった。
できれば埋めてやりたいと思うも、時はそれを許してはくれない。
「戻って……来たのね」
今にしてようやく、はっきりと感じ取れた。
森にけだものの主が戻ったのだ。
ひと際に鬱蒼として映る森は入り組んで、開けた道のはずが茂みはハヅキの白い手指を傷つけ、枝葉は明るい陽光が差し込むのを拒んだ。
樹々が打ち震えている。あるいは歓喜。あるいは畏怖。あるいは諦め。それらがない交ぜとなって渦を巻き、淡い霧となって立ち込めている。
主の帰還に樹々も草木も、動物たちも浮足立っている。
はっとしてハヅキは足を止めた。軽快に駆けていたがその拍子、ここまでの道程の疲労が両足へどっと押し寄せた。
足元に屈み込む。
「まだ新しい……」
村の若者の一人だ。話したことはない。名を聞いたことはあった気もするが思い出せないし、重要なことでもない。
彼は右足首と左腕を分かたれ、はらわたを抉られていた。首元には牙痕もくっきりと残されている。
なぜこんな奥深くに? 地面には赤黒く染みた血痕が尾を引いていた。傍らには弩と壊れた巻き上げ器、番え損ねた矢が散っている。おそらく狩りのために森へ踏み入り、捕らえられて引きずられ、解体される直前に最後の抵抗を試みたのだろう。
「逃げなきゃ」
感じる。黒い闇の向こう。ぬるく吐き出す荒い息。汚れた毛並みや波打つように揺らぐ尾、肉をナイフのように滑らかに裂く爪に牙まで見通せるかのように、肌が粟立った。
もつれかけた足に鞭打ち、ハヅキは駆け出した。
ハヅキのよく聞こえる耳へもかすかに届く。ごうるるる、けだものがこちらを見定め唸りをあげる。
樹々のざわめきは今や悲鳴のようだ。
その瞬間までつぶさに気配を感じ取る優れた五感を、ハヅキは誇るべきか、忌むべきか。
ぴたりついてくる。ハヅキが駆ければ同じだけ駆け、足を止めれば止まった。見定めているのか。隙を伺っているのか。
それとも、と思い巡らせながらもひた走る。茂みを突っ切り、川に頭を出した飛び石を跳ね、奥へ奥へ。
近づくにつれ濃くなる血の匂いに、変わらぬ面のままハヅキの胸へ焦燥は忍び込んだ。
「……おばあさん!」
赤い頭巾を深くかぶった祖母が倒れ伏す様を目の当たりにして、ハヅキの全身は総毛立つ。
瞬間、横合いからの激しい衝撃に、ハヅキは地を転がった。
祖母は生きているだろうか。事切れているのだろうか。いよいよもってけだものへと堕ちたのか。
闇から闇へ、赤い煌めきが糸を引き飛び込む。喚く樹々と一体化するように、ハヅキまでもざわついた。聞こえてくる、ごうるるる、ぐるるるう、唸り声は血の匂いをかぐわしく香らせる。
衝撃。ハヅキは吹き飛ばされ、袖口に三本の爪痕が赤くにじんだ。再度の襲撃に背中を浅く裂かれ、次には黒い頭巾が破り去られてハヅキは再び地に伏した。
バスケットは落ちやわらかい草にワインボトルが転がり、リンゴの一つは踏み砕かれていた。
ざわつく。ふつふつと湧き上がる感情が恐れであることも、怒りであることも、ハヅキにはもはや分からない。破られた血管、滴る血液、痛みさえ。
闇を破り、影を引いて跳び抜けるけだもの目がけ、ハヅキは交錯の瞬間、爪を突き立てた。甲高く鳴き声をもらし、影は森へと再び潜む。
喉元を熱い吐息が迸る。ぐうるるる、ハヅキの唸りはやがて叫びとなって、森を貫いた。
「私は、あなたの言いなりにはならない! 心までけだものにはならない!」
黒い頭巾は千々と千切れ、枝葉を揺らす風に紛れて消えた。ハヅキの耳を隠すものは失せ、腰には括りつけていた紐が解け解放された尾が揺れていたが、森の深淵はハヅキの領域でもある。何を憚ることがあろうか。
気配はやがてしょぼくれて、森を出ていった。
森の主、その古い血を引く祖母の生命は断たれていなかった。十分に眠り傷を癒せば、程なく覚醒するだろう。
父は血に屈したのだろうか。あるいは端からの気質であったのだろうか。
ハヅキには分からない。
かつて祖母に尋ねたことがある。
──おばあさん。おばあさんの口は、どうしてそんなに大きいの?
──それはね。お前を食べてしまうためだよ。
いつか再び、父は戻るだろう。対峙は避けられまい。
祖母の小屋を出ると、枝葉の間から届く青白い月がハヅキの目を射った。
風に乗って届くけだものの遠吠えに森は一瞬震えたが、やがてすぐに何事もなかったよう沈黙し、冷たく清浄な空気がハヅキの肌を撫ぜた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年01月01日
参加申し込みの期限
2021年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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