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ンモ～っ♪ 新春☆初夢フェア２０２１！ ～富士編～
【千変万化の色模様】
白 真白の、喜♪
「えっ、帰ってこれるの？ いついつ？ やったね♪」
電話の向こうから届く幸せな声に、真白の声もトランポリンみたいに弾みます。
いつも忙しく海外を飛び回っている両親が、近く帰国するとの報告でした。いつぶりでしょう、はっきりと分からないくらいに久しぶりのことではありました。
「そっか、お休みが取れて良かったねえ。えっ？ 食べたいもの？ そうだなぁ……へへえ、考えとくー！」
シーサイドタウンの実家は、いつもからっぽ。真白はひとりぼっちです。
幸いにして真白にはひとりでも時間を使える趣味がありましたから、退屈はしませんけれど……テレビゲームを遊んでいてふと、画面が暗転する瞬間に。朝食の用意をして、テーブルに着いていざ食べようとしたその時に。友だちと楽しく騒いだ放課後、帰宅して鍵を開け敷居をまたいだ瞬間に。時どき、寂寥感がじわりと襲ってくることはありました。
だからこそ、たまに両親と顔を合わせて食事をしたり、近況報告をまじえながらの談笑はちょっとしたことながら、真白にとって嬉しいひと時なのです。
「うん、うん。分かった、楽しみに待ってるね♪」
白 真白の、怒！！
「そ……そんなー！？」
ころり寝転んでスマホをすいすい、ぺもぺもやっていたら、目に飛び込んできたとある記事。
がば！ 思わず立ち上がり、握り込んだ拳はぷるぷると震えました。
「あ、あの神カードが新環境でゴミ化……！？ ルール変更ってどういうことー！？」
対戦型トレーディングカードゲーム『エレメンツ＆ドレイクス』のリーク記事でした。
この手のゲームは環境が変わるたび、使えるカードが新カードの登場で相対的に使えなくなったり、意外なカードが突如として脚光を浴びたりするもの……なのですけれど、
「ううっ、私のデッキも大幅に構成を変えなきゃ。このままじゃ特定のエレメンツ相手に手札不足に陥る可能性が高いな……」
どうやら真白自慢のカードたちにも少なくない影響があったようです。むむむむっと形の良い眉は釣り上がり、真白はしばし開発元へ届かないうらみつらみを念じました。
とはいえ、状況に合わせてカードを入れ替え、新しいデッキを試行錯誤するのもカードゲームの醍醐味ではあります。
「仕方ない、代わりにあのカードを入れて、いや待てよ。このカードを入れれば全部解決するんじゃない？ いやいやいや！ それよりあっちをこうしてこっちを入れ替えて……」
なんだかんだで楽しんでしまう真白でした。
例えば鏡を見て、右目を覗き込む時。人知れずこっそり、おむつを替える時。障害者手帳を提示する時。
なんとも表しがたい、重たく冷たく湿った感情が胸を支配する瞬間が確かに真白にはありました。それら全てが、真白を事故の記憶へと導き否応なく想起させるので。
「…………」
生来明朗なたちで楽観的、立ち直りも早い真白であっても、言わずもがな人間です。あらゆる情念をコントロールすることはできないし、何もかもを笑って水に流すことはできません。人よりは確かに前向きでポジティブではありましょう、他者の目に映る真白とは大様にしてそんな姿なはずです、けれど。
けれど。
「まあ、ね。悪いことばかりじゃないよ」
バスルームで沸いたお湯にちゃぷんと手を入れ、独り言ちるこの一瞬。ゆっくりと湯船に浸かり、ひと息ついたあとにやってくる、この静寂。
「右目なんて、おしゃれ感覚で付け替えられて楽しいし、さ……」
明るく朗らかな彼女のこと、いつもそんな感情にとらわれているわけではありません。稀なことではありました。
けれど時おり襲い来る、重く、冷たく、湿った感情が……白 真白の、哀。
そして白 真白の、楽！
「ううっ。真白さん、そう来ますか！ 私のドレイクが～～～」
「ふふふ、環境トップのデッキは軒並み対策済みだよ千絵ちゃん！」
学校がお休みの日。早朝のホビーショップ『クラン＝G』です。
真剣な表情で手元に揃えたカードをにらむ三佐倉 千絵とはもはや、お店の店員とお得意さんを越えた間柄でして、なにかと彼女を訪ねてはゲームなどを通じて友情を確かめ合うのです……などと、もちろん口には出しませんけれど。照れくさいですもので。
千絵の店番がちょっぴりお暇な時は、こうして対戦ゲームで遊ぶこともありました。
「っし、私の勝ちい！」
「お見事でした、真白さん。あのコンボはもう通用しないみたいですね」
「そろそろメタゲームも一巡した感じだよね～。新環境への適応も研究中だし、なんだかんだで楽しみかな……あれ？ このゲーム、新しいやつ？」
カウンターの後ろに積まれている真新しいボードゲームの箱を目ざとく見つけて指差しますと、千絵はにんまり。
「最近入荷した新作ですね。エレメンツ＆ドレイクスはこのへんにして、遊んでみますか？ ふふっ、相手になりますよ」
「うわぁ、自信たっぷり。千絵ちゃんボドゲに強いからなあ。でもなんだか面白そう、やってみよっか！」
「はい♪」
他愛のないことを喜んで。ちょっとしたことに腹を立てて、一人に落ち込んで。かと思えばけろりとして、思い切り趣味を楽しむ。
高校生の日々を謳歌する真白も、もうすぐ三年生です。はてさて、来年度はどんな一年になるでしょうか？
きっと笑って、ぷりぷり怒って、時どき落ち込んで、そしてめいっぱいに楽しんでいることでしょう！
白 真白の、喜♪
「えっ、帰ってこれるの？ いついつ？ やったね♪」
電話の向こうから届く幸せな声に、真白の声もトランポリンみたいに弾みます。
いつも忙しく海外を飛び回っている両親が、近く帰国するとの報告でした。いつぶりでしょう、はっきりと分からないくらいに久しぶりのことではありました。
「そっか、お休みが取れて良かったねえ。えっ？ 食べたいもの？ そうだなぁ……へへえ、考えとくー！」
シーサイドタウンの実家は、いつもからっぽ。真白はひとりぼっちです。
幸いにして真白にはひとりでも時間を使える趣味がありましたから、退屈はしませんけれど……テレビゲームを遊んでいてふと、画面が暗転する瞬間に。朝食の用意をして、テーブルに着いていざ食べようとしたその時に。友だちと楽しく騒いだ放課後、帰宅して鍵を開け敷居をまたいだ瞬間に。時どき、寂寥感がじわりと襲ってくることはありました。
だからこそ、たまに両親と顔を合わせて食事をしたり、近況報告をまじえながらの談笑はちょっとしたことながら、真白にとって嬉しいひと時なのです。
「うん、うん。分かった、楽しみに待ってるね♪」
白 真白の、怒！！
「そ……そんなー！？」
ころり寝転んでスマホをすいすい、ぺもぺもやっていたら、目に飛び込んできたとある記事。
がば！ 思わず立ち上がり、握り込んだ拳はぷるぷると震えました。
「あ、あの神カードが新環境でゴミ化……！？ ルール変更ってどういうことー！？」
対戦型トレーディングカードゲーム『エレメンツ＆ドレイクス』のリーク記事でした。
この手のゲームは環境が変わるたび、使えるカードが新カードの登場で相対的に使えなくなったり、意外なカードが突如として脚光を浴びたりするもの……なのですけれど、
「ううっ、私のデッキも大幅に構成を変えなきゃ。このままじゃ特定のエレメンツ相手に手札不足に陥る可能性が高いな……」
どうやら真白自慢のカードたちにも少なくない影響があったようです。むむむむっと形の良い眉は釣り上がり、真白はしばし開発元へ届かないうらみつらみを念じました。
とはいえ、状況に合わせてカードを入れ替え、新しいデッキを試行錯誤するのもカードゲームの醍醐味ではあります。
「仕方ない、代わりにあのカードを入れて、いや待てよ。このカードを入れれば全部解決するんじゃない？ いやいやいや！ それよりあっちをこうしてこっちを入れ替えて……」
なんだかんだで楽しんでしまう真白でした。
例えば鏡を見て、右目を覗き込む時。人知れずこっそり、おむつを替える時。障害者手帳を提示する時。
なんとも表しがたい、重たく冷たく湿った感情が胸を支配する瞬間が確かに真白にはありました。それら全てが、真白を事故の記憶へと導き否応なく想起させるので。
「…………」
生来明朗なたちで楽観的、立ち直りも早い真白であっても、言わずもがな人間です。あらゆる情念をコントロールすることはできないし、何もかもを笑って水に流すことはできません。人よりは確かに前向きでポジティブではありましょう、他者の目に映る真白とは大様にしてそんな姿なはずです、けれど。
けれど。
「まあ、ね。悪いことばかりじゃないよ」
バスルームで沸いたお湯にちゃぷんと手を入れ、独り言ちるこの一瞬。ゆっくりと湯船に浸かり、ひと息ついたあとにやってくる、この静寂。
「右目なんて、おしゃれ感覚で付け替えられて楽しいし、さ……」
明るく朗らかな彼女のこと、いつもそんな感情にとらわれているわけではありません。稀なことではありました。
けれど時おり襲い来る、重く、冷たく、湿った感情が……白 真白の、哀。
そして白 真白の、楽！
「ううっ。真白さん、そう来ますか！ 私のドレイクが～～～」
「ふふふ、環境トップのデッキは軒並み対策済みだよ千絵ちゃん！」
学校がお休みの日。早朝のホビーショップ『クラン＝G』です。
真剣な表情で手元に揃えたカードをにらむ三佐倉 千絵とはもはや、お店の店員とお得意さんを越えた間柄でして、なにかと彼女を訪ねてはゲームなどを通じて友情を確かめ合うのです……などと、もちろん口には出しませんけれど。照れくさいですもので。
千絵の店番がちょっぴりお暇な時は、こうして対戦ゲームで遊ぶこともありました。
「っし、私の勝ちい！」
「お見事でした、真白さん。あのコンボはもう通用しないみたいですね」
「そろそろメタゲームも一巡した感じだよね～。新環境への適応も研究中だし、なんだかんだで楽しみかな……あれ？ このゲーム、新しいやつ？」
カウンターの後ろに積まれている真新しいボードゲームの箱を目ざとく見つけて指差しますと、千絵はにんまり。
「最近入荷した新作ですね。エレメンツ＆ドレイクスはこのへんにして、遊んでみますか？ ふふっ、相手になりますよ」
「うわぁ、自信たっぷり。千絵ちゃんボドゲに強いからなあ。でもなんだか面白そう、やってみよっか！」
「はい♪」
他愛のないことを喜んで。ちょっとしたことに腹を立てて、一人に落ち込んで。かと思えばけろりとして、思い切り趣味を楽しむ。
高校生の日々を謳歌する真白も、もうすぐ三年生です。はてさて、来年度はどんな一年になるでしょうか？
きっと笑って、ぷりぷり怒って、時どき落ち込んで、そしてめいっぱいに楽しんでいることでしょう！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年01月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年01月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年01月08日 11時00分
