布袋猫の感情変化な贈り物｜リアクション

布袋猫の感情変化な贈り物

●お菓子の雨が降ってきた？

　ホワイトデーも間近なある日。
　恵御納夏朝はホワイトデーにも友チョコ的な何か配れないかなと、シーサイドアウトレットをのんびり散歩していた。
「あ、そうだ……布袋猫さんの様子も見ていこう……」
　アウトレットには布袋猫が祀られているお社がある。
　布袋猫探しに関わっていたので、あれからどうしているのだろうと気になっていた。
　お社には、ソリに乗ったサンタ服を着た布袋猫が。トナカイ人形が一緒なのでサンタっぽい。
「サンタ服の布袋猫さん、可愛い……！」
　布袋猫探しをしていた他の皆と一緒に用意した衣装と人形、ソリを見ると、あの時の出来事を思い出した。
　お社の前には、お賽銭やお供え物のお菓子が。
「僕もお賽銭とお菓子のお供えしておこうかな……」
　お供え物のお菓子を買いに行こうとした時、頭に何かが当たった。
「何だろう……？」
　手に取って見ると、それはマシュマロだった。
（まさかフツウを壊す輩の……って、お菓子？）
　それを見た途端、急に「嫌い」と言われたような感じになった。
「……え、何で……何で皆が僕を嫌いって言ってるような気がするの……」
　そんな感情の中、これはフツウを壊す輩の仕業……という思いがますます強くなった。
「……殲滅する……フツウを壊す輩がホワイトデーをぶち壊す気なら事前に殲滅する……！」
　そういったものがまた降ってくるかも……と考えると怖い。
　空を見上げながら、怪しい輩がいたら対処しないと、とアウトレット周辺を警戒する。
「お菓子降ってきたら今度は避け……って、他の人にも影響が出てる！？」
　夏朝が見たのは、キャラメルを手にぽわ～んとした表情をしている同年代の少年。
　グミを手にショックを受けた顔をしたサラリーマン。
　バームクーヘンを持ったラブラブカップルがいたりと、様々な変化が生じた人々だった。
　そんな不思議な現象が、アウトレットの至るところで起きていた。
「仕方ない、アウトレット内だけど傘を差してガードするしか……！」
　雨が降るかもしれないと持ち歩いていた折りたたみ傘を使い、降ってくるお菓子が当たらないようにする。

　拾わなければ感情の変化が生じないことがわかったので、夏朝は落ちてくるお菓子に注意する。
　降ってきたお菓子は拾わず、無視。
「そうだ、布袋猫さんにも注意を促しておかないと……」
　布袋猫にもお菓子の影響が及ぶのではないかと心配になったので、お社へ。
　辿り着くと、ごめんね、お菓子も貰って楽しい時に……と謝った。
「何者かがお菓子を人に落として気分を悪くするような事態が起こってて……フツウを壊す輩が寝子島を脅かす為にやってるのかも……」
　どう思う？　と尋ねるも、布袋猫は何も答えず。
「布袋猫さんも気を付けて……何かあったら伝えてくれると嬉しい！」
　そう言うと、夏朝は、この原因を探るべくアウトレット周辺の警戒を続けた。

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