布袋猫の感情変化な贈り物｜リアクション

布袋猫の感情変化な贈り物

●お菓子を拾い集めよう

「これも、もらっちゃおう！」
　今日はホワイトデーのイベントでもやってるのかな？　と考えつつ白石龍樹はマシュマロを拾う。
「いただきまーす！」
　マシュマロを食べると、今度は重い気分に。
　先程までの熱い視線はどこへやら。今は冷たく突き刺さるような視線を感じた。
（え、まさかこれ、このお菓子のせいなのか？）
　キャンディーを食べると熱い感じになり、マシュマロを食べると重い気分に。
　お菓子により感情が異なることがわかったので、中には、機嫌が良くなるお菓子があるかもしれない。
「機嫌が良くなるお菓子がわかれば、かあちゃんに食べさせて、何かやっても怒られずにすむな！」
　それだけでなく、ホワイトデーのプレゼント代が浮く。
「かあちゃんの機嫌が良くなる。プレゼント代はタダ！　んー、オレって天才！　よし、手あたり次第に食べて探そう！」

「ややや！　お菓子が空から降ってきたッス！」
　アウトレット付近に着ていた古尾桐子は、空から降ってきたお菓子に大はしゃぎ。
「うひょー！　お菓子がいっぱいッス！　これって、もらっちゃっていいんスかね？」
　キョロキョロ辺りを見て、拾っていいのかどうか確認。
　辺りを見ると、多くの人がお菓子を拾っているので問題なさそうだ。
「拾ってもよさそーッスね！　じゃあウチも集めるッス！」
　さっそく、と拾ったのはシュークリーム。
「んふー！　これはシュークリームッスね！　あっちにはチョコレートにキャラメルが……。お菓子、選り取り見取りッス！」
　いろいろ拾い集めているうちに、桐子はハッピーな気分に。
　拾い集めている人の中には、ホワイトデーのプレゼントを買いに来た南波太陽がいた。
「あ！　たいよーッス！　たいよーもお菓子を拾って集めてるんスか？」
「そうッス。いろんなお菓子があるから、ホワイトデーのお返しにはもってこいッス」
　拾い集めたものは可愛い紙袋に詰め、リボンを付ける等して……と太陽は熱く語る。
「ふむふむ、集めてプレゼントにするッスか！　いいアイデアッスね！　ウチもいっぱい集めて、とーちゃんにプレゼントするッス！」
　ふんす！　と桐子はやる気を漲らせた。
「そうだ！　せっかくッス、どっちが多くお菓子を集めれるかしょーぶッス！」
「面白そうッス！　その勝負、乗った！」
　負けないッス！　と太陽も勝負に乗り気だ。
　こうして、2人のお菓子拾い勝負が始まった。

　桐子が集めたのはキャンディー、キャラメル、マカロンといった洋菓子が多かった。
　良い気分になる効果があるものが多いからなのか、お菓子集め勝負前とあまり感情変化はない。
　それに対し、太陽は泣きだしたり、重い気分になったり、元のチャラさに戻ったりと変化が目まぐるしい。
「オレはモテないッス……オレなんて……オレなんて……」
　天真爛漫なアホの子な太陽がこうなったのは、拾ったお菓子がマシュマロ、グミ、クッキーといったお菓子が多いからだろうか。

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