布袋猫の感情変化な贈り物｜リアクション

布袋猫の感情変化な贈り物

●お菓子の雨の原因は

　お菓子集めに夢中になっていた古尾桐子は、その最中に誰かとぶつかった。
「ごめんッス、って、りょーじゅッスか」
　ぶつかった相手は、カプギア仲間の白石龍樹だった。
「キリコも機嫌が良くなるお菓子を集めているのか？　オレ、こんなに集めたぜ！」
　拾い集めたお菓子を自慢気に桐子に見せる。
「おー、けっこう集めたッスね！　今、たいよーとお菓子拾い勝負してるッス。りょーじゅもやるッスか？」
「面白そうじゃん！　やるぜ！」
　感情変化しすぎて疲れ気味な南波太陽だったが、小学生に負けられないとお菓子を拾い続ける。

　勝負事に夢中の小学生2人と太陽を見かけた恵御納夏朝は、警戒前に見た人々の様子と同じだ……と思う。
　桐子と龍樹は変化がないように思えるが、太陽はいつもと違う。
（小学生には無害……なのかな……？）
　夏朝が見た変化が生じた人々は、自分と同じ年代、あるいは大人が多かった。
　子供も何人か見かけたが、太陽のようなオーバーな反応ではなかった。
「君達、お菓子を拾った時に何か変わったことなかった……？」
　協力してお菓子を拾い集めている桐子と龍樹に尋ねる。
「ウチは何ともないッスよ」
「オレはマシュマロを食べた時に、重い気分になったぜ。それ以外は何ともないかな」
　食べても感情が変化することを知ったので、拾っても食べても危ない……と夏朝は不安に。
　気を付けてね……と言おうしたが、特に害がない、楽しんでいるのを邪魔しては悪いと言わず。
　このことを布袋猫に伝えようと、夏朝は、お供え物のお菓子を買ってからお社に戻ることに。

　お供えのお菓子を大急ぎで買い、あと少しでお社に着くというところで佐藤瀬莉に会った。
　大黒猫以外の七福猫探しを一緒にしていたので、瀬莉も、この現象が布袋猫が原因だと思ったのだろう。
「お姉ちゃんも布袋猫のお社に行くの？」
「うん……。この騒動だけど……布袋猫さんが関係あるのかと思って……」
　正月に行われた七福猫スタンプラリーで酒を飲んで酔っ払った弁天猫が、楽しいのお裾分けと称して奇妙な現象が起きる音楽を奏でたことがあった。
　それと同じように、お供え物のお菓子を食べた布袋猫が、お菓子のお裾分けをしたと考えれば合点がいく。
「君……お菓子を拾ったり食べたりした……？」
「板チョコとイチゴ大福を拾って食べたよ。板チョコを拾った時はイライラムカムカしたけど、食べたら気分がスッキリしちゃった」
　イチゴ大福はチャラい気分になったけど、食べたら落ち着いた、ということも教えてくれた。
　弁天猫の時同様、効果には個人差があるようだ。
「あたし、これから布袋猫のお社に行ってメッ！　しに行くの。お姉ちゃんも行く？」
「……行く……布袋猫さんが原因かもしれないし……」

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