布袋猫の感情変化な贈り物｜リアクション

布袋猫の感情変化な贈り物

●甘いお裾分け
　
　布袋猫のお社に辿り着いた恵御納夏朝と佐藤瀬莉は、お供えされているお菓子が減っていないか確認する。
「減っていないね……」
「弁天猫の時に杯の中のお酒が減っていたから、布袋猫はお供えのお菓子を食べたと思ったんだけど」
　顔を見合わせて不思議がる2人の頭に、お菓子がコツンと当たった。

　――わしからのプレゼントじゃ。

　朗らかな声が、2人の頭の中に響く。

「このお菓子、布袋猫さんが降らせたの……？」
　夏朝の質問に「そうじゃ」と答える布袋猫。

　――たくさん貰ったから、お返しせねばと思うて。ホワイトデーという日にお菓子を贈るのであろう？

「ホワイトデーというのはね、チョコを貰った男の子が、そのお返しに女の子にお菓子を贈る日なんだよ」
　瀬莉がホワイトデーのことを教える。

　――まあ、何はともあれ、わしからの礼ということで受け取ってくれい。

「布袋猫さんのお礼なんだ……このお菓子……。気持ちは嬉しいけど……」
　こんなに食べきれない……と夏朝は気持ちを受け取りつつも、ちょっと困った表情に。
「ありがとう。でも、ちょっと多いかな？」
　瀬莉も気持ちを受け取ったが、お菓子を拾うと感情が変化する理由がわからない。
　夏朝は、それはホワイトデーの贈り物の意味が関係あるんじゃないかと推測する。
「ああ、そういうこと」
「……だと思う……。お菓子には、いろんな意味があるから……」
　夏朝が足元に落ちていたお菓子を拾った。拾ったのはマドレーヌ。意味は、もっと仲良くなりたい。
　これが布袋猫の気持ちなのだろう。
　十分に気持ちを受け取ったことを伝えると、2人は布袋猫に手を合わせた。

　古尾桐子と白石龍樹は、太陽からプレゼントする際の注意点を聞いていた。
　拾ったお菓子を送る時はそのままでなく、ラッピング袋に詰め、リボンを付けるとプレゼントぽくなると熱く語る。
「オレ、頑張ってそうする！　かあちゃん、喜ぶだろうな」
　もっとプレゼントっぽく見える方法はないのかと、龍樹は太陽にアドバイスを乞う。
　桐子は、とーちゃんにあげたら喜んでくれそうッス！　と話を聞いている。
　拾い集めたお菓子は一旦、龍樹が持って来たエコバッグに詰め込む。
　その後、3人はアウトレット内のお店でラッピング袋とリボンを買い、お菓子を包装してプレゼントの準備に勤しむ。
「プレゼントらしくなったぜ！」
　龍樹はカップケーキや赤い飴玉など、視線を感じる作用や好かれていると思いこむ作用、特別な存在だと思うお菓子を選んで詰め込んだ。
「とーちゃん、喜んでくれるといいッス」
　完成したプレゼントを見て、桐子はとーちゃんが喜ぶ顔を想像する。

　お菓子だが、降り続いたのはこの日1日だった。
　布袋猫の力と気持ちの効果がまだ残っていたのか、プレゼントを受け取った龍樹の母がホワイトデーに食べたりお裾分けをしたりして、いろんなことになるのはまた別のお話。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。
弁天猫のトラブルに引き続いての七福神騒動は、今回は甘い騒動となりました。
お菓子を拾った時の感情変化につきましては、ホワイトデーの贈り物の意味がわかった方は「そうか」と思ったでしょう。
美味しいお菓子を貰うのは嬉しいですが、たくさん貰うのも……です。
感情変化はお疲れだったことと思います。

他の七福猫の何かしらのトラブルは、いつか、起きるのではないかと。
どのようなトラブルが起きるかは、七福猫のみぞ知るです。

ご参加、ありがとうございました。

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