ライブラリ・ラビリンス３｜リアクション

ライブラリ・ラビリンス３

■発見
「……龍目くん、東館は調べたんじゃないの？」
　東館を調べようと歩き出した紫は、
後ろをついてくる豪に問いかける。
「見落としがあるかもしれないだろ？
それに、重い物動かすときは役に立つし、俺」
　元来面倒見の良い性格の豪は、
東館の探索に向かう紫を手伝うつもりらしい。
何を言っても、考えを変える気はなさそうだ。
「まあいいけど。私は本を取りに行くだけよ」
　紫が気になっていたのは、東館右の部屋。
一冊だけ違和感のある配置の図鑑だった。
右の部屋に入り、学術書が並ぶ棚をざっと見渡す。
「これよ」
本棚に収まった学術書に混ざった鳥の図鑑は
記憶と違わず、以前と同じ場所にあった。
図鑑を手にして、紫はすぐさま左の部屋へと戻る。
大量の蔵書に目を奪われていた豪も慌てて後を追った。
　足を踏み入れた左の部屋には、子供向けの書架。
図鑑が並ぶ下段の棚には、一か所だけ不自然に隙間がある。
「なるほど、ここに図鑑を戻すんだな」
「そう。以前は右の部屋に入れなくて試せなかったの」
　早速図鑑を戻そうとする紫を、豪が止める。
「それ、危なくないのか？
何か罠的なものがあったりとか……」
「あったとしても死にはしないわ。
私たちを呼んだ誰かが私たちを殺すつもりなら、
殺せる機会はいくらでもあったはずだもの」
　紫の言葉に、それもそうかと豪は納得して
一応は紫の背後を警戒しながらその行動を見守る。
「いくわよ」
　ごくりと唾を飲みこんで、紫は図鑑を本棚に収めた。

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