ライブラリ・ラビリンス３｜リアクション

ライブラリ・ラビリンス３

■慣れたもの
「なんか……慣れてきたな？」
　夜海霧楓は洋館を見上げる。ここを訪れるのはもう三度目だ。
辺りの様子を確認するが、大きく変化した様子もない。

「今回も探索しなければ戻れないんだろう。
行こう。時間が勿体ない」
　楓の言葉に応じながらも、
八神修は既に扉に向かって歩き始めている。
この図書館の隠された過去と未知の謎は
変わらず修の知的好奇心を刺激し続けていた。

「龍目君、足元には気を付けてね。
割れたガラスとか落ちてるから」
　仙藤紫もまた、ここを何度も訪れている。
慣れた様子で龍目豪に注意を促した。
今まで探索してきた経験から
普段着で十分に歩ける場所であることはわかっている。
が、それでも特殊な場所だ。怪我などはできる限り避けたい。
けれど、豪は快活な笑みを浮かべて紫の心配を笑い飛ばした。

「大丈夫大丈夫、こういうの慣れてんだって！
にしても、初探索は俺だけか～。
俺ももっと早くから来たかったなあ」
　探検部として豊富な経験のある豪は、廃図書館に興味津々の様子。
それもそのはず、探検や山歩きを趣味とする人々の間では
この図書館の存在は早いうちから噂されていたのだ。
今回、初めて幻の図書館を目の当たりにして、
豪はやっと出会えた喜びと、未知への興奮が隠せない。
エントランスへと進み入る修の後を追って、足早に豪が、
それから楓と紫が図書館の中へと足を踏み入れた。

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