ライブラリ・ラビリンス３｜リアクション

ライブラリ・ラビリンス３

■探検部、東館へ
　ひとり東館の探索を始めた豪は、
まずは情報通り、左の部屋の絨毯の下を確認した。
「なるほど、ここか？」
　足で強めに踏んでいくと、
一か所だけ他の場所とは音が違っている。
中に空洞があるような、虚ろな足音が響く。
「確かに絨毯が邪魔だが……
何か方法があるんじゃねえかな？」
　床の扉を使って出入りする行動動線を予測して、
周囲の壁や本棚を手当たり次第に叩いたり擦ったり。
調べていくうちに、
豪は扉の真横、壁の隅に小さな穴が空いているのを発見した。
豪の指より僅かに太い、棒状の何かが差し込めそうな穴だ。
「このサイズ、どこかで見たような……」
記憶を辿ってワイン箱の中の黒い木製の鍵の存在に思い当たる。
あの鍵が使えるかもしれない。
探検部の勘がそう告げている。
急いでエントランスに戻り、豪は鍵を持って再び部屋へと戻った。
「ま、モノは試し、ってやつだな！」
　豪は手にした鍵をえいっ、とばかりに壁の穴に差し込む。
予想通り、壁に空いた穴は鍵穴だったようだ。
ぐいと捻れば僅かな手ごたえと共に、シリンダーが回る音。
絨毯敷きの床の一部が僅かにへこんだ。
爪先でつつけば、扉は開いて下に空間があるのがわかる。
「あとは絨毯を引っぺがすだけ、か」
　とはいえ、刃物の類は持っていない。
豪は考え込んだ後、そうだ、と呟き部屋を後にした。

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