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早死にするのは善人だけ
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ううっ。
真白は鳥肌が立つのを覚えた。バスチーユ監獄に殺到する群衆とまで言うのはオーバーかもしれないが煮え立つような、目を怒らせ鼻息を荒くし、回答次第では襲いかかる気配をたたえた男たちが波濤のようにぐいぐいと押し寄せて来たのだ。
「れ……
列を崩さないでください!
」
千絵が絶叫じみた声を上げる。細かくビブラートがかかっているのは致し方ない。
「
『DIE YOUNG 2』限定版の販売は抽選方式で行います。限定三個となります! 抽選券を配り、その後結果を店舗入り口に掲示しますのでそれまでお待ち下さい
」
陣もありったけの声で告げた。
「
近隣の方の迷惑になりますので、騒ぐのはおやめください!
」
真白も大声だ。カラオケで絶叫するときだってここまではやらない。
「
騒ぎが目にあまる方、抽選券の複数枚所持など不正行為を行った方は当選番号をお持ちであっても販売はしません
」
ふたたび陣、腹から声を出すのなどいつ以来か。後方にも届くよう、プラカードをうんと掲げて進んでいく。さすがに『クラン=G』にも拡声器の用意はないのだ。
千絵と陣、真白を見て決意を固めたか、紅美も身を振り絞るようにして叫んだ。
「
抽選券はこちらです!
順番に……
順番にお取り下さい!!
」
年老いたゴリラみたいな面相の男が、ぶすっとした顔で抽選券を手にした。
次の青年はもう少し爽やかな見た目だが、疲れた表情で券を受け取る。
少しずつ列は動いていった。これならなんとかなるかもしれない。
しかし突然、一人の男が怒声を上げたのである。
「っざけんなよ!
俺は昨日の晩から並んでんだぞッ!
」
ひどい猫背、背中の丸まった男だ。首だけぎょろりとせり出している。汚いスポーツ新聞を丸めて工場の作業着じみたジャンパーのポケットに突っ込んでいた。ゲームファンどころかゲーム機に触ったことがあるかどうかすら疑わしいと真白は思った。
場が静まりかえったのを好機とみたか、猫背の男は煽るような口調で言った。
「お前らもそうだよなァ!? 限定三本? まだ隠してやがるだろう! 抽選なんざまだるっこしい。
店に突っ込んでいただくことにしようや!
」
「ちょっとお客さん……!」
とっさに紅美が抑えようとしたが、男にはねのけられてしまう。紅美の持つプラカードが宙に舞った。
「紅ちゃん!」
真白が飛び出し、よろめく紅美を抱きとめるようにして支えた。紅美はまだ、何が起こったのか理解できていないような顔をしている。
騒ぎ発生か!? まずい――!
振り返って陣はほぞを噛んだ。陣は店から距離を開けていたのだ。百メートルは離れただろうか。
今からダッシュしても男が暴れ出すのを止められないだろう。通報したところで間に合わないのは同じだ。あの男のかけ声が着火点となり転売ヤーたち、あるいはただ騒ぎたいだけの男たちが同調したらそれこそ山火事のような暴動になる!
紅美と真白をかばうように、千絵が両腕を広げ男に立ちふさがった。
「お引き取り下さい」
静かな、しかし有無を言わせぬ口調だ。
「乱暴を働く方、騒ぎを扇動しようとする方にお売りするものは当店にはありません。お引き取り下さい」
世には、非を指摘されて恥じ入る人間もいる。
だが恥じるどころか開き直り、逆上する人間もいる。
猫背の男は後者だった。骨張った拳を振り上げ千絵に殴りかかろうとした。
「なんだとこの……!」
ガキが、とでも言うつもりだったのだろう。
けれどそこまでだった。
男は、次の瞬間にはビニール紐で凧の糸巻みたいにグルグル巻きにされていたからだ。口までグルグルにされていたから二の句もつげない。
あークソ――糸巻の隣で陣は肩で息をしている。
立っているのがやっとだ。腕と膝、首まで電気が走ったように痛む。
久々に使った。陣の『ろっこん』クロックバーストは、一時的に常人の数十倍の速度で動けるようになるという強力な能力だが、あとから激しい筋肉痛をもたらすという反作用をもつ。
もしもに備えて梱包用ビニール紐をポケットに入れていたのは正解だった。
「え……?」
紅美は目を見張った。男が一瞬にして運搬用資材みたいに縛られたことにも驚いたがたじろぐ間もなく、誰か知らない人から「はい」とさっき飛んでいったプラカードを手渡されたことにも戸惑っていた。
しかもそのプラカードが、またたくまにパタパタと開いて巨大な、段ボールを何箱分も組み合わせたような大きさになったのだから戸惑わずにはいられなかった!
巨大化したプラカードは花に似ていた。ヒマワリだ、季節外れはなはだしい。
それでも段ボールのヒマワリは大輪で咲き誇ったのである。花びらを含めれば畳四畳分ほどはあろうか。中央に、陣が印刷して貼った紙の文字が引き延ばされていた。これならかなり後方からでも一目瞭然だろう。
「誰かわからないけど気の利いたことしてくれたね」
ふっと笑うと真白は、風でふるえる段ボール製巨大ヒマワリに手を触れた。力を流し込むイメージ、それだけでいい。真白の『ろっこん』鋼の如くはそれだけで、この段ボールを鋼鉄並の硬度に変える。
「大丈夫だった?」
真白は紅美、そして千絵に声を掛けた。ふたりは夢から覚めたように我に返って、
「ええと、じゃあ抽選券の配布を再開します」
「はい並んで並んで! 焦らなくてもたくさんあるから」
券の配布と声かけを再開したのだった。ひとたび殺気だっていた者たちも、冷水を浴びせられたように大人しくなり列に戻った。
「七枷君、顔色悪いけど大丈夫?」
真白が陣に声をかける。はじめて目の当たりにした……いや実際、高速すぎて目にもとまらなかったのが実際だが、彼が自分と同種の力を発揮して暴漢を止めたことは理解していた。今具合が悪そうにしているのもそれが原因だろう。
「……まあ、あとで湿布が必要になりそうだけど」
なんとか体は動く。苦笑いを浮かべ自分の腕を交互にもみながら、陣は糸巻男(巻かれたおかげで猫背は直っていた)を急かして店の裏手まで引っ張っていった。
手始めに警察に連絡しよう。証人なら何人もいる。この男もいきなり有罪とはなるまいが、たっぷり絞られることにはなるだろう。
「あ~~疲れたぁ」
濁点を『あ』につけたい感じで陣はつぶやく。
覚悟完了してなかった分、ある意味紅ん時よりも疲れたかもな。
真白と紅美が列を整え呼びかけて、千絵がひとりひとり確認しながら抽選券を手渡していった。
「抽選は配布終了後一時間程度で行い、ただちに発表する予定です」
「ダイスツールっていうのを使って抽選するから、恨みっこなしだよ!」
千絵と紅美が横並びで、お揃いの『クラン=G』エプロンで呼びかけている姿を見て真白は目を細めた。
こんな日が来るなんてね。
潮が引くようにして行列が消えていく。
一部始終を見届けると、段ボール芸術家
アルチュール・ダンボー
こと
香川 道太郎
(かがわ・みちたろう)はうなずいて、『クラン=G』とは反対方向へと歩み去って行った。
まさかのときの予備段ボール、そしてガムテープだ。
当選した者のうち一人は、先頭から二番目に並んでいた大学生だった。よほど嬉しかったのか、ソフトを受け取って涙ぐんでいたのが印象的だった。
もう一人は、はるばる隣県から駆けつけたというサラリーマン男性だった。当選とわかったとたん彼は、嬉しさのあまり上着を脱ぎ捨てた。その下に着ているTシャツにはでかでかと、『DIE YOUNG』のロゴとキャラクターがプリントされていた。
あと一人はそれこそ転売屋に依頼されてきた者だろう。こそこそと代金を払い、ソフトを受け取って小走りで去って行った。この人間には、例の猫背の男に再会できるかどうかという問題が残されているのだが、その結末は作者も知らない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年11月03日
参加申し込みの期限
2020年11月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年11月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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