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春は芽吹く/a hazy mirage was end
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「失礼を承知で言いますよ。家族じゃない自分だからこそズケズケときっちり」
陣はソファから腰を浮かせていた。
「どうしておふたりとも娘の……紅美さんのことを考えないんですか第一に!」
おかしいやろ! と断言する。
「事情把握してたならなんで、まず娘と向き合わなかったんですか! 動いたとおっしゃいましたが、自分に累が及ばないように動いたとしか思えないんですけどね!」
ついに父親の顔色が変わった。
「私には仕事があるんだ。部下を抱える経営者なんだよわかるかね!?」
強烈な居直りだ。
立ち上がった父親は陣よりずっと長身だが陣はひるまない。
「
わかりませんよ!
でも
そんな言い訳が通らないことくらいわかります!
娘が性被害にあったと知った時点ですぐに、部下に仕事任せて家庭に戻らんといかんだろ!」
仕事を任せられる部下を育ててなかった、というならそれは自分の落ち度でしょう! と言い加える。
「それにお母さんも! 娘の様子が明らかにおかしいとわかっていたでしょうに……!」
反射的に母親も立ち上がった。真っ赤になって叫ぶ。
「
私は知らないんです! 全然! まったく!
」
またそれか。もしかしたら『知らない』と言えばすべて許されると思ってないかこの人。
「
わからないとか知らないとかじゃねぇでしょ!
お腹痛めて生んだ娘だろ親の義務やろがい!」
「まったく当たらない指摘ばかりだ! 不愉快だ!」
父親は陣を指さす。
「なぜ赤の他人の君に、そこまで言われないといかんのだ!」
冷静さを保とうと努力はしているのだろうが、父親のこめかみにはエナメル線みたいな血管が浮いている。興奮したせいか髪がひろがり、生え際の後退した額があらわになっている。
負けじと陣は言い返した。
「僕はどうでもいい他人にこんなこと言うためにわざわざ実家凸するほど暇でもお人好しでもないんですが? 本来なら、無関係な人なら家庭崩壊でも何でも好きにやって、どうぞって思う性質です!」
息を吸い込んでさらに言う。
「でも紅……娘さんとは出会いの経緯がほんと重くてアレだけど、関わって、アホなことで言い争って遊んだ……悪友ですから! ソイツが家庭がしんどいって凹んでたら……なんとか助けになってやりたい、そう思っただけです!」
内容は未整理かもしれない、それでもこれが陣の思いの丈だ。思いっきり吐き出した。
このとき陣は軽くのけぞった。
紅――紅美が袖を引っ張ったからだ。
「座って」
紅美は言った。
「三人とも」
この状況下、着席したままなのは紅美だけだった。
冷水を浴びせられたように、陣と成二、真弓子は顔を見合わせて腰を下ろした。
「……すいませんでした」
「いや、我々もだ」
居心地悪げに父親は咳払いした。
陣は言葉を荒げることなく言う。
「僕らは紅に肩を貸したり、後押しすることはできます。でも、どうもならないときに子供が頼れる最後の砦はアンタら両親なんですよ」
また少しずつ言葉が熱を帯びていった。
「親なら、他人に丸投げして逃げずに……娘と向き合って! 話して! 傷ついてたら慰めて! 悪いことしたら叱って! その上で守ってあげて下さい!」
声は大きくなったが今度は、投げつけるような口調ではなかった。熱を込めただけだ。伝わってほしいと。この意味をわかちあってほしいと。
このとき陣の頭をよぎっているのは、自分の母の姿だ。背が低く童女みたいな外見で、子どもみたいなことを無邪気に口にする。だから冗談抜きで陣の母親どころか妹と間違われることすらある。
でも、かーさんが――。
陣は思う。
かーさんがこの場にいて、僕のかわりに話していたとしたら、きっと同じことを言うだろうな。
もうちょっとソフトな口調かもしれないけど。
それにもうちょっと、関西弁きつめだろうけど。
でも説得力なら僕の倍以上あるはずだ。間違いない。
だってあの人は言葉だけじゃなくて、向き合うのも話し合うのも慰めるのも叱るのも守るのも、全部、まちがいなく全部やってきた人だから――。
ぽん、と陣の肩に手が置かれた。
「ありがとう、七枷。もういいから」
紅美だった。
「あと、涙ふいて」
なんで僕がと言いかけて、自分の目が潤んでいることに陣は気付き、袖でごしごしと拭った。
「でもね、逃げてきたのは私も同じ。私だって、親と向き合ってこなかったと思うんだ。お父さんに愛人がふたりもいること、知ってたけど見て見ぬふりしてたし」
えっ、と声にこそ出さなかったものの、父親が息を呑むのが聞こえた。
「お母さんが変な投資ファンドにお金をつぎ込んでいることも」
紅美ちゃんそれ、とまで言ったところで母親は口をつぐんだ。つづく言葉は「どうして知ったの?」あたりだろうか。
紅美は笑った。いつものように口元だけで。
「ちゃんと話そう、三人で。それが今一番必要なことじゃない?」
父親と母親は、押し黙ったまま目配せしあう。けれど数秒ほど間を開けて、
「そうね」
先に母親が言い、
「そうしよう」
父親も続いた。最初の威厳はどこへやら、今は肩を落としている姿がどことなく哀れだ。逆に母親のほうが鼻息が荒い様子である。
芋煮一家は家族間コミュニケーションが下手くそ、もっと言えば家族間コミュ力皆無なのだ。この一言に尽きると陣は思う。
これにて一件落着、とはさすがにいかないだろうけど、いやむしろここから一波乱あるだろうけど。
だけどきっかけ作りはできたかな、コミュニケーション作りの。
「まずは家族間でNYAINグループでも作って軽い会話からはじめたらいいんじゃないでしょうか……?」
ぽつりと告げて陣は席を立った。
「じゃあ僕はこれで」
父親も母親も陣を見ない。見ることができないようだった。父親の視線は足元に落ちたままで、母親はそんな彼を注視したままだ。
「七枷」
紅美だけが彼を見上げた。
「先に行っといて、『クラン=G』に。後で行くから」
紅美は笑顔だった。陣のよく知る紅の、不敵で挑発的なあの笑みだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
ゲーム
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月11日
参加申し込みの期限
2020年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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