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春は芽吹く/a hazy mirage was end
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足りていない、と
七枷 陣
は思った。
自分には人生経験が足りていない。
仮免許で大海原に繰り出したような心境だ。
まだわずか現在十七歳。八十年は生きるという人間の、平均からすれば四分の一にも満たない。長生きしているから賢いという道理はないが、だからといって価値があるというわけでもないだろう。やはり頼りなくはある。
でもむやみに臆したり、自分を小さく見せる必要もないはずだ。
陣はソファに腰を沈めて向かい合った。
ここまで来たんだ、覚悟はできている。
徹底的にやってやんぞ。
人生ここまで緊張したことがあっただろうか。頭の先からつま先まで、しびれるような感覚があった。
けれど陣は落ち着いていた。かけ算九九を末尾から逆に、全部言えと命じられてもとちらず言えるくらいには。
逃げるまい。
決めている。
だから逃げさせない。相手にも。
陣の隣にいるのは
紅
(くれない)だ。本名は
芋煮 紅美
(いもに・くみ)、どちらであれ同じだ。陣にとってはかけがえのない友達である。
改めてそう思う。
もちろん友達だからといって、超えていいラインとそうでないラインがあるのはわかっているつもりだ。
でも今は臆すべきではない。
芋煮家の応接室。革張りのソファの座り心地は最高で、きっと普通自動車一台分くらいの価格がするものと思われた。
陣の隣には紅美が座っている。目の前にいるのは紅美の両親だ。
母親(
真弓子
)はぱっと見、紅美の姉といっても通じるほど若々しい。おそらく外見には資金を投入してるのだろう。微笑を浮かべているものの硬い。不安そうな目をしている。
対して紅美の父親(
成二
)は自信のある顔つきだ。祖父と言ってもパスしそうなほど貫禄のある容貌、髪はなかば以上白く、眉間には峡谷のようなしわが刻まれている。度のきつそうな眼鏡をかけていた。
それで、と父親は前置きして告げた。
「どういうことかな?」
飛び込み取材でやってきたウェブメディア記者を相手にしているような冷ややかな口調だった。言外に「私は忙しいのだが」と語っている。母親のほうはそんな父親に追従するかのように、しきりと彼と陣の顔を見比べていた。
陣は唾を飲み込む。
失礼しましたとか言って、尻尾を巻いて出て行きたくなる。
けれど実際はちがう。
「お手間を取らせます、気分を害される事にもなるでしょう」
前置きして告げた。
「今日は娘さんのことで、お話があるんです」
わかっているよと言うかわりに、父親は鷹揚にうなずいた。
こちらを軽んじているという見方もできるだろう。だが陣はそこまで悪く考えなかった。
この話題に応じた。
つまり親も紅美の件を問題だと認識している、そう考える。
「どこまでご存じかわかりませんが」
言葉を選びながら陣は語った。
かつて紅美が、インターネットで知り合った男性に乱暴されたことを。もちろん表現は緩めたものの、それと通じるように説明した。
その後学習塾のメンバーとともに、やはりインターネット上で援助交際を誘う罠を張り、引っかかった男性たちを袋叩きにするといういわゆる『援交狩り』を行っていたことも。
後者の事件は陣も実際に目にしている。介入して一件を止めた。それが最後になったことも確認した。このあたりもすべて明かした。
もちろん相手が未成年者だと承知のうえで、援助交際のもちかけに乗ってくる男は悪い。そもそも援助交際を利用する男は全部悪い。最低だと思う。
だからといって、仕掛けた紅美たちに非がないとは言えまい。当然、こちらも悪い。
「けれど今日は善悪の話をしに来たんじゃありません。どこまで知ってらしたか、それを確認したいんです」
陣の隣で紅美は身をこわばらせた。
事件について紅美が、どこまで両親に明かしていたかは定かではない。ひょっとしたら詳しくは明かしていなかったのかもしれない。
「ごめん」
陣は紅美を見た。ここまでの道すがら、親に全部明かすことを紅美自身に了承を得てはいた。それでも実際に口にしてしまうと苦い思いがあった。
だが紅美は軽くうなずいた。
「いちいち確認しないでいいから」
小声で告げる。
うん、と言って陣は視線を両親に戻した。
母親は父親を見た。
父親は、紅美を見たまま視線を動かさなかった。
「差し出がましいことを言いますが」
唇を軽く噛んでから陣はつづける。
「ふたつの事件の後で、ご両親は何をしたか教えてほしいと思います」
「何をしたか、とは?」
父親が言った。
「フォローをしたかということです。彼女に対して、たとえば家族会議をおこして話し合ったかとか、ちゃんと叱ったかとか……そういったことを」
「七枷君と言ったね。きみに」
父親はソファに背を預けた。ふーっと深く息を吐く。
「明かす必要があるのかね?」
この反応は予想していた。陣は落ち着いて言葉を返す。
「ないと思います」
父親は仕事ばかりに注力していて母親は娘に無関心、そんな状況は紅美の言動から想像できていたことだ。
「でも一定以上かかわったことから僕は知りたい、そうも思っています」
援交狩り事件では危険な目にも遭ったのだ。全部語った。
父親は、母親に視線を移した。
母親は首を振る。コメントできない、そう言っているかのように。
ため息をつくようにして父親は告げた。
「都度ごと適切に対処はしてきた。非難されるようないわれはない」
どこかの政治家の答弁のような簡潔さだ。これ以上踏み込むことを躊躇させるようなところがある。冷たいコンクリートの壁のように。
ここで引き下がっちゃ駄目だ。
でも――と言いかけた陣より先に紅美が口を開いた。
「嘘よ! お父さんはろくに話を聞きもしなかったじゃない!」
「それは正確な話ではない」
また答弁口調だ。
けれども紅美は納得せず語気を強めた。
「だったら何をしたって言うの!」
「事態の収拾に動いた」
「ちがう! 警察やマスコミ対策はしたかもしれないけど……私には何も言わなかった!」
「その指摘は当たらない」
父親は冷静だ。冷静すぎるほどだ。顔色もほとんど変化していない。
だからこそ、責任逃れしているという印象を陣は受けた。
そもそも彼は何も語っていないに等しいではないか。
「最善は尽くしてきた」
ようやく父親は母親を見た。そうだろう? と同意を求めるように。
「そ、そうです。お父さんはできる限りのことを……!」
母親は慌て気味に回答するが同じだ。主語が『お父さん』である。自分は無関係だと主張しているばかりなのだ。
するべきことはしてきた、と言うばかりで具体的な回答はしない父親。
最初に「私は知りません! 知らないんです!」と断言してから一歩も進んでいない母親。
自分のことしか考えてない。
これは思ってた以上かもしれへんな。
陣は理解した。
芋煮家には何か、致し方ない込み入った事情もあるかもしれないと想像していたがどうやら違うらしい。
父親は仕事と保身ばかり、母親はそもそも娘に無関心。
これでは紅もつらかっただろう。
そうとわかれば――。
遠慮なく行く。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
ゲーム
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月11日
参加申し込みの期限
2020年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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