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春は芽吹く/a hazy mirage was end
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初めて入る店。
それもゲーム&ホビーショップだという。
ファミリーレストランを改造したと思わしき店内は、趣味の店という言葉から受けるイメージをはるかに超えて広大だ。普段ならもっと客がいるのだろうけど、いま店内にあるのはまゆらだけである。
店員の女の子(小学校高学年から中学生くらいに見えた)は「ごゆっくり」と言っただけでつきまとったりしない。おかげでまゆらはひとり、それこそゆっくり見て回ることができた。
足音が響く。こだまする。
宇宙戦闘機が出払ったあとの帝国軍基地に迷いこんだ気分だった。
「ふぅん」
入ってすぐにプラモデルの展示コーナーが見えた。制作例や改造例がたくさん展示してある。大半がアニメのロボットだが戦車や飛行機もあった。変わり種はワーテルローの戦いを再現したという緻密な歴史ジオラマだ。よく見るとすごく時間がかけてあるのがわかった。たくさんある兵士の表情がすべて異なっているではないか。
そこを抜けるとトレーディングカード、さらにボードゲームのコーナーとなる。
「わぁ……」
ため息が漏れた。
日本がメインだが世界各国、こんなの出てたの? と言いたくなるようなものまで含めた多様なトレーディングカードが並べてあったのだ。
「あっ、ミスティックアリア!?」
まゆらの人生を方向付けたアニメ『魔法少女ミスティックアリア』のトレカまでおいてある。可愛らしいストライプのパッケージだ。
後で買っちゃおうかな?
気持がはずんできた。今度はボードゲームを見てみる。
すぐに悟った。
すごい。
それほど詳しくはないものの、まゆらはその場から動けなくなってしまった。
プラモデルはたくさんある。トレカもぎっしりだ。
でもボードゲームのラインナップはいずれも凌駕する。大げさではなく国内最大級なのではないか。国産はもちろん、ドイツやアメリカ、フランスといったボードゲーム大国のゲームがふんだんに並べられている。欧米に限らずアジア圏、ロシアや南米のゲームまで散見された。将棋やチェスなどの一般的なゲームはもちろんのこと、簡単ルールのパーティゲームから本格的なゲームまで幅広い。
あ、これ知ってる。
ウォーゲームの積んであるあたりに、見覚えのあるパッケージを発見し手にする。
懐かしさを覚えた。ひとつに限らない。他にもちらほらと知っているもの、遊んだことがあるものを見つけた。こぼれ落ちる砂のように、思い出がさらさらと降ってきた。
実家のミリオタの兄貴がウォーゲームをやってて、半ひきこもりの中学時代に何度か相手をしたんだよね――。
駒を動かしサイコロを振って計算して、やたら細かい判定表とにらめっこしたものだ。非常に面倒くさい作業ではあったものの、現実の光景を想像しながら遊ぶのは心躍る経験だった。盤上に紙製のチップを滑らせる感覚、プラスチックの駒を動かす感覚もよみがえってきた。
「これ、クルスク戦車戦じゃない」
口に出してしまう。まゆらの最後の記憶では『日本語版近日発売予定!』とうたわれていたものだ。あれから何年もたっているのでとうに発売になっていたらしい。
「ご存知なんですか?」
カウンターの向こうで、女の子の店員が顔をあげた。
店員はぱたぱたとやってくる。大きなメガネでポニーテール、髪を束ねる大きなリボン、中央に『G』の文字が白抜きされた緑色のエプロン姿だ。胸の名札には『店長代理;
三佐倉 千絵
(みさくら・ちえ)』とあった。
「『Unternehmen Zitadelle』、邦題『クルスク戦車戦』ですね。これをご存知とはお目が高い!」
一見おとなしそうな少女なのだが、よほど嬉しいのか目をキラキラさせている。
「いや……ご存知、というほどのことはなくて、遊んだことはおろか知ってる程度で……」
それでも十分です、と千絵は声を上げた。
「発売されたのは何年も前ですが、今やスタンダードのウォーシミュレーションゲームですよ。初心者でも入りやすい簡略化されたルール、遊ぶたびに新たな発見のある深み、独ソどちらの陣営を選んでも勝ち目のある絶妙なバランス、風格のある駒の造形まで含めて傑作のひとつといえるでしょう!」
もしご興味がおありでしたら、と千絵は拳を握りしめた。
「いかがでしょう? 私の私物ですが店においていますので試遊してみませんか? 今日はお客さんもいませんし、お相手しますよ。大丈夫、プレイ時間は短いです!」
目のキラキラ具合はさらに高まり、メガネから星がこぼれ落ちそうなほどだ。
「ああ、じゃあお願いします……」
この勢いでは断れまい。暇だったし興味もあったのでまゆらは首を縦に振った。
ウサギのように千絵はカウンターに飛んでいき、『クルスク戦車戦』の箱を抱えて戻ってきた。
「まずは陣営を選びます。天候カードを並べて……と」
結果から言う、完敗だった。
最初優勢だったまゆらのドイツ軍は、最終的には北の大地に飲み込まれ叩き潰された。退路まで断たれ限りなく壊滅に近い状態となったのである。あとには雑草も生えないくらいに。
「どうです? 陣営を逆にしてもう一戦しますか?」
千絵は菩薩のような笑みを浮かべている。けれどこの子には『初心者相手なので手加減』という概念が存在しないことをまゆらはよく理解できた。
「待って。このゲームたしかに面白いけど……次は私のやったことあるゲームでいい?」
ふりかえって「これ試遊できる?」とまゆらが示したものは、『それは吾輩の魚だにゃん』というゲームであった。
「ありますよ」
しかれど二戦二敗、これまたまゆらはこてんぱんにされた。
うぬぬ……。
負けず嫌いの血が騒ぐ。燃え上がる。ごうごうと。
「じゃあリバーシで勝負よ!」
リバーシならまゆらは、兄に負けたことがない。コンピュータゲームでも最高レベルと互角以上の勝負を演じてきた……はずだったが。
「私の逆転勝利ですね」
邪気のない目で千絵は笑っているが、どことなく得意げだ。
こうなったら。
まゆらは声を上げた。
「次は魔法少女ミスティックアリアのトレカで勝負よ!」
「あ……でもそれ試遊の用意がないので……」
「大丈夫」
まゆらの右手が『魔法少女ミスティックアリア』TCG(トレーディングカードゲーム)のスターターパック2箱をわしづかみにしていた。
「買うから」
千絵はこのゲームのルールを知らないという。まゆらも同じなのでルールブックを読むところから開始した。
これなら条件は五分と五分……いや、ミスティ愛が強いだけ私が有利なはずっ!
「世界に大いなる神秘の輝きを! 魔法少女ミスティックアリア!」
だがしかしこの決めゼリフを先に決めたのは、なんたること千絵のほうだったのである。ゲーム内表現を使うのであれば星マーク三個分のダメージだが、まゆらが受けた衝撃はそれ以上だ。
「あ……あなたもしかして……?」
あ然とした表情でまゆらは問いかける。
「少し、たしなんでおりましてね」
鏡のようになった眼鏡を、くいっと人差し指で千絵は直した。
「ミスティのフィギュアは当店の定番商品ですから」
でも今の口調は、本当にただ業務上の必要があって身につけたものだろうか。
否。まゆらにはわかる。
抑揚の付け方にアクセント、ほぼ完璧……!
ちゃんと観ていた人でなければそなわらない表現力だった。
この決斗(けっとう)はミスティ愛を競うものだというのか。
なら負けるわけにはいかない! 絶対に!
初見初プレイのゲームながら、またたく間に試合(デュエル)は華麗にして過激な魂のぶつけ合いとなったのである。
「春は私の大好きな季節だもんっ」
「ミスティさん、気高さが足りなくってよ」
「ふがもがふがもほわー!」
作品中の名台詞が飛びかう。ライバルやメンター的なキャラのセリフもマスコットキャラの意味不明な口癖すらも!
最終的に勝利の星は、
「だいじょうぶ! あなたはもっと、ずっと、自由でいられるから。そう、あなたらしく!」
まゆらの上に輝いたのだった。この台詞とともに。
「負けた……完敗、ですわ」
がくりとうなだれ千絵は両手をボードについた。この言葉すらライバルキャラの台詞をなぞっている。
「いい勝負だったね」
まゆらは手をさしのべた。
「自己紹介してなかった。私、落合まゆらって言うの。寝子島アニメーション学院声優科1年生。実はね、今年の春アニメ『春の音を奏でるのは君』で声優デビューの予定!」
まゆらの手を握ったまま千絵は目を丸くした。
「ええっ! まさか聖ユーリア学園の生徒役!? キミカ先輩役とか!」
「えらく掘ったところついきてきたね……」
恐ろしい子、と内心動揺しつつもまゆらは苦笑いしたのであった。原作序盤にちょとだけ出てくるキャラ名である。キミカ先輩の名がさらっと出てくるあたり、ただ者ではない。
「残念、役名すらないの。ガヤだから」
「でもすごいですよ!」
デビューはデビューだと千絵は言う。
かもしれない。そう言ってもらえて嬉しい。
世に言うではないか。千里の道も一歩から、主演の道も通行人Aからと――言わないか。
この店、また来ようとまゆらは思った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
ゲーム
定員
3人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月11日
参加申し込みの期限
2020年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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