【マラソン大会】着ぐるみで仲良く走ろう♪　～妨害旅情編～｜リアクション

【マラソン大会】着ぐるみで仲良く走ろう♪　～妨害旅情編～

「何でご褒美がカレーでなく、善哉なの！？」

　マラソンがスタートする前。そう言ってご立腹なのは鬼河内萌だ。
　カレーが大好きな萌からすると、カレーをご褒美にして欲しかったのだろうがマラソンの後にカレーは中々に苦行ではないだろうか？　人によったらもはやただの罰ゲームである。
　しかし、野菜原ユウとマラソンを一緒に走る約束をしている事を思い出し直ぐに機嫌は直る。
　そんな萌が着ている着ぐるみは段ボール箱を模した物のようだ。誰かが萌を見たならば直ぐにその段ボール風着ぐるみにnyandamと書かれている事を見つけた事だろう。

「ボクがガン……ニャンダムだ！」

　萌がそう言ってビシッとポーズを決めていると、彼女へと近づく野菜ジュースの姿が。

「いや、何やってんのよ」
「あ、ユウ君！」

　そう。何と野菜ジュースの正体は萌と一緒に走る予定のユウであった。正確には野菜ジュース風の着ぐるみを着たユウだが。

「ユウ君は野菜ジュースかー」
「シンプルで良いっしょ？」
「うん。ユウ君らしくて良いねっ」
「で、鬼河内は……スニーキングでもすんの？」
「しないよ！？　マラソン大会でスニーキングしてどうするの！？」
「いやだってなぁ……」

　頬をかくユウの姿からは、段ボール風の着ぐるみときたらスニーキングだろうと言う声なき声が聞こえるようだ。

「まぁ、それは兎も角。そろそろスタートみたいだからスタート地点に行こうぜ」
「うん。よーし、頑張ってなぎ倒すぞー」
「いや、マラソン大会だからな？」

　しかし、この言葉が現実になる事をこの時のユウはまだ知らなかった。

「萌、ニャンダム、いっきまーす！」

　と、言いながら勢い良くユウと共にスタートをする萌。
　暫くの間、萌とユウはお互いを励ましあいながら順調に走っていたが、唐突に普通ではないコースが出現したことによって様子が一変する。

「なんだこりゃ……」
「工事現場、みたいだね」

　そう。萌の言う通りに工事現場らしきところがコースになってしまっている。そもそもこの工事現場は一体どこなのだろう？　二人とも普通にコースを走ってきた筈なのに、何故こんなところに出たのか皆目見当もつかないようだ。

「良く分からないけど、コースアウトしたら最初に戻されてるみたいだなぁ」
「どうもここは妨害が有りみたいだね。ほら、走ってる人が横の人を妨害して落としてる。それに走者を妨害するギミックもあるみたい」
「げ、マジだ」

　萌の指摘にユウはどうするべきかと頭を悩ませる。
　しかし、そんなユウとは対極的に萌は荷電粒子ビーム竹刀という名の竹刀を取り出して即突撃していった。

「ボクとユウ君の邪魔者は悪、即、斬！」

　そして、有言実行とばかりに竹刀でひたすらになぎ倒していく萌。他の走者だけでなく、コースのギミックである鉄球すらも弾き飛ばしているのだが、その竹刀は果たして竹刀なのだろうか。

「OH……」

　思わずネイティブに驚くユウ。だが、これならば何とかなりそうだと走っているとふと声援を送っている若い女性の姿がユウの目に入った。元気良く手を振って声援を送っているその姿は微笑ましい。
　だが、ここで問題なのはその女性がとても巨乳であった事だ。ぶるんと揺れる胸。健康優良児の男であるユウは当然そこに視線がいく。
　しかし、それを見逃す萌ではない。

「カレーの呼吸　壱の型　スパイス斬り！！」
「グゲッ！？」

　一閃。ユウの頭が竹刀で叩かれた。
　因みに巨乳に見惚れていた罰はこれで終わったわけではない。マラソンを走り終えた後、ご褒美の善哉の口直しにカレーを食べるという行為にも巻き込まれるのだ。その後、ユウがどうなったかは萌以外知る人間はいない。

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