絶対に英語をしゃべってはいけない密室ホテル｜リアクション

絶対に英語をしゃべってはいけない密室ホテル

●そして生存者はいなくなった

　夜海霧楓と佐藤英二の対局中、ナンシーとトワ・E・ライトフェロゥは、その様子をじっと見ていた。
「カエデ、どっちが勝っているデス？」
「今のところ、夜海霧さんのほうが優勢かな」
　代わりに、英二がどっちが勝ちに近いかを教えてくれた。
「なかなか強いね、夜海霧さん」
　これでどうだ、と言うように駒を動かしつつ英二は2人の様子を窺う。

　これまで英語を口にしそうな危機を回避してきたが、そろそろ限界に近い。
　待ち時間多めの対戦でいいかと言ったものの、沈黙の時間が長いとトワが退屈して何を言い出すかわからないと楓は落ち着かない。
「ショウギ、難しくてわかりマセーン。チンプンカンプンデース」
　将棋は日本の【ゲーム】だから、日本語なんだろうな……とナンシーの言葉を聞いた楓は少し安心した。
「トワもわからないデス。【othello】のほうが面白いデス」
　次の手を考えていた楓は、突然、強い衝撃を受けた。
「この盤面で龍を落とすのが最善手だぜ。自分の直感を信じて……見えたぜ……王手……」
　そう呟いた後、楓は将棋盤に突っ伏した。その拍子で頭部を強く打って血が出たので、盤が赤く滲んだ。
「頭から血が出ている……」
　死因は頭部強打によるものだな、と突っ伏したままの楓を見て英二がそう判断する。
　
　※夜海霧楓：将棋盤で頭を強く打ち死亡

「カエデサン、死んだデスカー？」
「カエデー！　死んじゃイヤデスー！」
「落ち着いて。朝まで英語を喋らなかったら生き残れますから」
　このままでは【パニック】になりかねないので、英二はどうにかして2人を落ち着かせようとしたが……。
「ココ、【パニックホテル】だったデスネー！」
　頭を抱え【オーマイガー！】とナンシーは【パニック】状態に。
「英語を喋ってはいけないと、あれほど言ったのに……」
　もう駄目だ……と、英二はめまいが。くらついた拍子で倒れたまま、彼は動かなくなった。

　※佐藤英二：ナンシーが英語を喋ったことによるショック死

「エイジも死んだデス！」
　生き残ったのはトワとナンシーの2人だけとなった。どちらかが英語を口にした途端、死ぬことになる。
「コワイことになりマシター……」
　今まで明るかったナンシーだったが、次々と人が死ぬ様子に恐怖をおぼえた。
「大丈夫デス、ナンシー。トワ達が何もしゃべらなければいいデス！」
　朝まで無口でいれば助かるデス、とトワはナンシーを励ます。
「わかったデース、何も喋りまセん。朝まで【サイレント】デース」
「言ってるソバからコレデスカー！」
　黙っていようと言った途端、これである。
　ショックを受けたトワは、その場に倒れ込んだ。
「【To be continued】……」
　ナンシーとは思う存分英語で話し合ってみたかったので、死に際の台詞も英語に。

　※トワ・E・ライトフェロゥ：ナンシーのうっかりによるショック死

「オーノー！！」
　トワの死を目の当たりにしたナンシーは、頭を抱えてパニクった。
　そして、そのまま固まり動かなくなった。

※ナンシー・ジャービス：自爆によるショック死

　異様な光景に喋ることができず、終始無言だった【フロント】係は、この【ホテル】辞めたい……と思った。
　その後、猫待荘は朝まで静まり返っていた。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。

英語をしゃべってはいけない、という縛りルール。
密室状態のホテルでの緊張状態と心が休まることがなかったと思われます。
誰かお一人でも生存するかも、と思いましたが、残念ながら、ナンシーさん含む全員が死亡という結果となりました。
死因はつい、うっかり。他人の巻き添え的なものによります。

今年の大晦日も、やってはいけないなお笑い番組が放送されるのかが気になります。
この番組っぽくなるよう、リアクションを書いてみました。

それっぽい出来になり、参加してくださった皆様に楽しんでいただければと思います。
ありがとうございました。

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