絶対に英語をしゃべってはいけない密室ホテル｜リアクション

絶対に英語をしゃべってはいけない密室ホテル

●災難多発

　土産屋で猫の置物を買い「イイ買い物シマシター」と喜ぶナンシーに対し、トワ・E・ライトフェロゥを除く他の面々は暗い表情をしている。
　【ラウンジ】に戻り【ソファ】に腰かけても落ち着かない。
　気を紛らわせようと佐藤英二が「しりとりでもしない？」と提案するが、ナンシーが「ソレ、ワカリマセーン」と言うのでやめた。
　説明する際、うっかり英語を口にしてしまいそうな危険があるので、じゃあ、やめようかと英二が言うと、トワがいいこと思いつきましたと手を挙げて思い付いたことを言った。
「喋らないように罰【game】もよいかもデス！」
　そう言った途端、水守流が反り返った体勢で「ウボァー！」と絶叫した後に大量の血を吐いた。
（こ、こんなことで……！　ガクッ）
　反り返った体勢のまま、流は死亡した。

　※水守流：大量の吐血による失血死

　2人目の犠牲者が出たのを直視し、英二と夜海霧楓は改めて英語を口にする恐怖を感じた。
（お嬢が起爆剤になってるじゃねえか。これ以上、余計なこと言わないでくれよ）
　そう思っているが、楓は解決を諦めている。
　そんな2人をよそに、トワは例えばと罰【ゲーム】はコレですとナンシーと話している。
「例えばエイゴを喋るとー【Japanese】セイザをするトカデス！」
　それを聞いた途端、土産屋の前に置いてあった２メートルほどある招き猫の銅像が倒れ、近くを歩いていた従業員がその下敷きになった。
　
　※従業員：招き猫の銅像の下敷きになって圧死　

「死に過ぎだろ、これ」
　ここで一気に2人死んだので、これは完全にトワが原因だと、楓は俯いて大きなため息をついた。
　そんな楓の側では、トワとナンシーが罰【ゲーム】をしていた。【ラウンジ】の床で。
　互いに正座し、動かないよう、じっとしている。
　正座数分後。
「これはダメデス、【give】デス。セイザはエイゴをしゃべらなくても死ぬ気がするマス。ニホンゴ、オソルベシってヤツデス」
　トワが足を崩すと同時に、近くを歩いていた宿泊客の中年男性が突然倒れた。

　※宿泊客の中年男性：死亡

「トワサン、ギ……」
「参ったんだね、トワさん」
　【ギブアップ】とナンシーが言いかけたのを近くにいた英二がトワに駆け寄って【フォロー】した。
「参ったデス。トワの負けデス。ナンシー、すごいデス」
　足を崩して、痺れた足を擦りながらトワはナンシーを褒めた。

　英二がしりとりをやろうと言ったので、楓は横文字の少ない何かに没頭するのが最善の方法が良いと提案。
　トワはともかく、ナンシーがうっかり英語を口にしかねないので。
　会話も最小限で時間も潰せるが、それ以外で……と辺りを見回すと【ラウンジ】に置いてある将棋盤を見つけた。
（……将棋かな）
　誰かを誘って盤面で打つか、と、将棋ができそうな相手を探す。
「僕で良ければ、相手するけど」
「それじゃあ、お相手願うぜ。待ち時間多めの対戦でいいか？」
「いいよ」
　初めて見たのか、ナンシーは将棋の駒に興味津々。
「コレは何というモノデスカー？」
「将棋という日本の遊びだよ。この駒を動かして遊ぶんだ」
「チェ……」
　似たようなものかな、と、ナンシーが【チェス】というのを英二は食い止めた。
「面白そうデース。見ていいデスカー？」
「トワも見るデス！」
　観戦中はじっとしてほしいと思いつつ、英二と楓は見ていてもいいと言った。
　2人が静かに観戦していたら、死ぬことはないだろう……多分。

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