琥珀色の霙降る日　――出会いを取り戻せ――｜リアクション

琥珀色の霙降る日　――出会いを取り戻せ――

修復完了：黄昏時にもう一度

　――現代の寝子島：旧市街・牛瀬家

　霙が降り出した事に気づき、洗濯物を入れるイオリ。彼女は過去を思い出し、ふふ、と笑う。
「こんな日やったな。巧さんと出会ったんは。まるで野良犬みたいな巧さん、今思うとちょっとかわいかったわぁ」
　ねぇ、巧さん？　と言えば転寝から目覚めた巧は少し頬を赤くし、ばつが悪そうにしながら身を起こした。
「言わんといてぇな。ワシにとってあの頃の事を思い出すんはごっつ恥ずかしいねんて」
　巧がぽりぽりと頭をかきながら言うも、イオリは嬉しそうに言葉を続ける。
「あの時の巧さん、本当にかっこよかったわぁ。うちらを助けてくれたときの背中、今思い出してもきゅんとしますわ」
「あ……、なんかそういわれると照れるわ……」
　おっとりとしつつも頬を赤く染め、懐かしそうに語るイオリに、巧は酷く顔を赤くしてコタツにつっぷす。
（名前を聞きそびれたあのおいちゃんに、あのコートを返えさなあかんのやけどなぁ。ずっと会えずじまいや。もうええ年やろうけど元気やろか？　それに露草の兄貴も）
　ふと、港での喧嘩を思い出し、クローゼットに目をやる巧であったが、ややあって身を起こした。
「あの人らの言葉、ワシは守れとるんやろうかな」
　小さな呟きは、イオリには聞こえなかった。だが、巧は不思議そうに首をかしげるイオリに暖かい眼差しを向けるだけだった。
「そういえばポン酢なかったな。ちょっと買ってくるわ」
　巧はそういうと、クローゼットからコートを取り出し羽織るのだった。
　

（無事に終わってよかったな）
　そう思いながら曖浜鴻は霙ふる中を歩いていた。すると、丁度買い物に出た深縹露草と出くわす。
「あぁ、数時間？　いや、ちょっと前デースか？　お疲れ様デース」
「お互いにな。まぁ、これで牛瀬先生夫妻もこの島も丸く収まった。もう大丈夫だろうな」
「えぇ」
　と、嬉しそうに頷きあう２人。疲労はあれど、それすらも妙に心地よい気がして、表情は明るい。
　２人はその時のことを思い出しながらいろいろ話していると、ふと見覚えのあるコートが視界に入った。纏っているのは、すらりとした男性だ。
（あれは……？！）
　鴻が目を見開き立ち止まる。露草もまた驚いていると、ふと、巧も振り返る。

　僅かな間、３人の時が止まった。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

どうも、菊華です。
まず、花厳望春さあん、ガイド出演ありがとうございます。
つぎに参加してくださった皆さん、お疲れ様でした！
結果についてはリアクションの通りです。

多少変化はありますが大規模でも致命傷でもなく、こうなりました。
皆さんの目でご確認ください。

そしてあの堕天使については……いずれ再び会うかもしれませんね。

それでは今回はこれで。
また、縁がありましたらよろしくお願いします。

蛇足
芝くんは、いつか出します

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