FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」｜リアクション

FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」

【遥かにゃる戦い、開幕潜入編（二）】

　エントランスの襲撃を知らせるアラートは神猫の社員通用門の裏口にも当然響いていた。
「エントランスに敵襲だ！　応援に行くぞ！」
　すでに兵士達は上を下への大騒ぎでバタバタと応援に動き始める。一人、また一人、兵士は減っていき、やがて表に出ているのはたった一人になった。
（ずいぶんと派手にやってくれてるみたいだね。今なら簡単に盗めそうだ……ん？）
　と、そのとき、裏口に新たな人影が現れた。
「む！　なんだ、貴様……！　ん、その顔、どこかで……ハッ！？　貴様、まさかカタナ・ミツルギか！？」
　兵士の一人が、その人影に気づき、驚いたような声をあげた。
　それに、
「……俺か？　確かに俺はカタナだけど……お前、誰だよ？」
　カタナと呼ばれた少年――カタナ・ミツルギ（御剣刀）は目を瞬かせた。
「悪いな！　今日はお前にかまっている暇はないんだ！」
「なっ……がは！？」
　次の瞬間、カタナは加速を完了させ、愛用の日本刀の峰で兵士を昏倒させている。
「悪く思わないでくれよ」
　勝利のポーズもそこそこに、カタナは兵士のポケットを探る。
　幸い、目的の鍵はすぐ見つかった。
「よし、急ぐぞ！　先輩、あと少し頑張っていてくれよ……！」
　カードキーを使って、地下室に急ぐカタナの背中をユズハは音も立てずに静かに追い始めた。
（……手間が省けたね、вор）
　心の中で相棒に語り掛けながら、ユズハは道を知っているらしきカタナの後を追う。
　程なくして、カタナは地下牢にたどり着いた。
「ここだな。おーい、フジコさん。助けにきたぞー！」
　カタナが呼びかけると、広い牢の薄闇の向こうからぬぅっとフジコが姿を現した。
「あら、遅かったじゃない、何でも屋さん。この子達も連れて帰るから、エスコートのルートは安全にね」
「え……？　猫？」
　カタナは目を瞬かせた。
　現れたフジコは両腕に猫を何匹も抱えていた。
「猫も一緒か。参ったな……」
　と、カタナが頭を掻いた瞬間、ユズハは名案を閃き、彼らの前に姿を見せた。
「だったら、私が先に彼女を屋上まで連れていくよ」
「え……？　誰だ……？」
　いきなり現れたユズハに戸惑いの表情を見せるカタナ。
「私はユズハ。何でも屋だよ。見ての通り、戦いは専門じゃないけど、素早さには自信がある。私に任せてくれれば、あなたたちが敵を引きつけてくれている間に、彼女を先に屋上まで連れていける」
　屋上には神猫のヘリコプターがあるはずだった。
　それを奪えば、フジコも猫も安全に連れて帰れるはずだ、とユズハはあわせて説明した。
「うーん。でも、そのヘリコプターって神猫以外の人間が乗りまわせるのか？」
『その心配には及びませんニャ』
　そのときカタナの足元に一匹のロボットネコ『ハルくん』が現れた。
『今、ニャークスのオフィスで、ヘリコプターのロックの解除作業中ですニャ。もう少し時間がかかりそうですが、それさえ終わればあとはほぼ自動操縦でフジコさんや皆さんをお家まで連れて帰れるはずですニャ』
　ハルくんに指示を出しているのは、ニャークスのオフィスで鋭意ロック解除中のカーサだった。
「この子の言うことは確かよ。前も助けてくれたもの」
　フジコとハルくんはいつのまにか深い友情（？）で結ばれていたようである。
「まあ、フジコさんがそういうなら大丈夫か。じゃあ、任せるぞ」
　カタナはユズハとハルくんとフジコを託し、自身はエントランスに加勢に行くことにした。
「ありがとう。フジコさんはきっと私が無事に屋上まで連れていくよ」
　後を託してくれたカタナににっこり笑いかけつつ、ユズハは心の中で小さく付け足した。
（私がリッカルドからお宝を取り返した、その後に、ね）
　かくして、一行はフジコ（と猫）を牢から連れ出し、次の行動を開始した。