FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」｜リアクション

FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」

【Epilogue】

　リッカルドは破壊されたザ・神猫のコックピットから空を見上げていた。
　空中都市ミッドニャルの一番高い場所にある神猫ビルから見上げた星空は綺麗だった。
　思えば、ずっと空を見上げる余裕などなかった気がして、リッカルドは自分が人々から奪おうとしていた景色の尊さに気づく。
「……私の夢は終わった、のか」
　ぽつりと呟いた言葉は不思議と爽やかな響きに満ちていた。
「いや、まだ終わってませんぜ、社長」
「なん……ですって……」
　投げかけられた声に、リッカルドは声の主――ゲンゾウの方を見やる。
「社長、もう一度市民に愛される神猫カンパニーとしてやりなおしましょうぜ。俺はついてきます！」
「……私を許すというのですか」
「ええ！　確かに、やり方は間違ってたかもしれねぇが、社長のお人柄は俺も知ってますから！」
　ゲンゾウがにっかりと笑う。
「そうそう。彼の言う通りですよ、と」
　いつのまにか着替えていたレインボー仮面もといシュンスケがゲンゾウの言葉を継いだ。
「神猫の技術は正しく使えば、もっと世界を良くできます。これからもっと世界を良くしていくことが、僕達の贖罪になるんじゃないですか、と」
「……僕もそう思います」
　ニャークスのオフィスから駆けつけたカーサもハルくんを抱きかかえながら、社長にそう言った。
「社長がこれから街の人のことを思って行動してくれるなら、僕も全力で支援します。僕は神猫の社員ですから」
「……ふん。ざまあないな、社長」
　と、そのとき、エントランスで気を失っていたマサトも屋上にやってきて、吐き捨てるように言った。
「……ホシヤマくん。NG細胞を移植した私を、あなたは許しはしないでしょうね……」
「……ふん。許すも何も、はじめから俺はお前に興味などない。俺はただソルニャーとしての矜持に従って動いただけだ」
　マサトは鼻を鳴らして、そう言い捨てる。
　そして、小さく続けた。
「……だから、お前がやり直すというなら、俺はその命令に従う。それがソルニャーの仕事だからな」
　その言葉はリッカルドのみならず、そこにいた同僚たちも少しばかり驚かせた。
「……あなたたち」
　リッカルドはしばし目を閉じて、それからしっかりと彼らの言葉に頷いて言った。
「……ありがとう。私は誓いますよ。これから神猫を立て直し、猫にも人々にも愛される会社にすると」
　その言葉に、神猫の社員達は、満足げに頷いてみせた。

　その様子を何でも屋達も遠巻きに見守っていた。
「――よーし！　これにて一件落着だNE！　いや、俺達良く頑張った！」
「タケミチ先輩、お疲れ様でした！　最後の一撃カッコよかったですよ！」
「いやいや、カタナくんこそお疲れ様だよ！　ニャピッドチェイン、キレッキレだったね！」
　タケミチがテヘペロな表情で親指を立てれば、カタナも同じようにして応じる。
「……何でも屋か。вор、私達も何でも屋を始めてみようか？」
　ユズハは、そんな二人をやや遠巻きに見つめながら、お宝を取り戻した後の進路を、何でも屋にしてもいいと思った。
　自分のように大切なものを取り戻したい人の手助けをしたいと思ったからだ。
　ミッシェルはもはや動かなかった。しかし、イケメンにキュンとさせられて、彼にとっては本望の最後だったと言えるかもしれない。
　かくして、物語はハッピーエンドを迎える――かと思われた。
「あら、何でも屋さん達、何か大事なこと忘れてなーい？」
「「え……？」」
　フジコの言葉に、カタナとタケミチが同時に振り返る。
「いつかの依頼の報酬のデート1回。忘れたとは言わせないわ」
「「……！？」」
　くねくねと言い放つフジコに、百戦錬磨の何でも屋のMPが一撃でマイナスに振り切った。
（タケミチ先輩逃げませんか？）
（うん、大賛成。でも、どこに？）
　二人は顔を見合わせ、そしてあたりを見まわす。
　ここは神猫本社ビルの屋上。逃げ場はなさそうだった。
「二人とも、今夜は寝かさないわよ？」
「「！？！？！？」」
　二人の何でも屋の明日を生きるための戦いは――あと少しだけ続くようだ。

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あとがき

担当マスター：水月鏡花
ファンレターはマスターページから！

というわけで、ご参加いただいた皆さん、お疲れ様でした！

MSの水月鏡花です。

そんなこんなで、シリーズ3部作をこうして無事に終えることができました。

皆さんのいきいきとしたアクションを拝読し、執筆中は昔憧れていた某社のシナリオライターになれたかのような、夢のような時間を過ごすことができました。

正直、難しい部分も多いシナリオでした。

というのも、そもそも水月の頭がスカッスカなので、ガイドの設定もスッカスカで、いったいどうやってアクションを書けばいいのか悩んでしまったPLさんも多いのではないかと思います。

しかし、そこはさすが優しさの詰まった「らっかみ！」プレイヤの皆さんと申しますか、こちらの妄想を上手く読み取り、素敵なアクションをかけて頂いてしまいまして、本当に感謝に絶えません。

自分の妄想が、たくさんの人の力を借りて立ち上がり、目の前でひとつの物語（リアクション）になっていく喜び、読了後の皆さんに少しでも伝わるようなリアクションがかけていれば幸いです。

また、今回は執筆が遅れてしまい、プレイヤさんのみならず、運営部の方々にも多大な迷惑をおかけしてしまいました。

本当に、多くの皆様のおかげで、ファイニャンリメイク三部作を無事に書き終えることができました。

改めて、参加して頂いたPCさんと、「らっかみ！」に関わる全ての方に深い感謝を。

それでは、またどこかのあとがきでお会いできることを祈って。

水月鏡花

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