FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」｜リアクション

FINYALFANTASY7 RE Ep.3 「骨太の種族」

【遥かにゃる戦い、開幕陽動編（一）】

　神猫本社ビル1Fのエントランスは異様な雰囲気に包まれていた。
　まるで軍需工場のようなものものしい警備体制だったからだ。
「こちら、1Fエントランス。異常な――」
「いや、待て、何か聞こえないか？」
　無線連絡を入れる兵士の隣で、別の兵士が低い獣の唸り声のような音に気づく。
「――これは『ニャーディ・ディトナ（以下、ニャーディ）』のエンジン音？　まさか――」
　次の瞬間、エントランスの外に絶叫が響き渡った。
「敵襲！　敵襲！　敵は1人！　大型バイクで突っ込んでくるぞ！」
　響く同僚の声は驚きと、焦燥に満ちている。
　だが、かつて「何でも屋」と呼ばれる男達と相対したことのある男は驚かない。
　彼らは――依頼があれば文字通り「何でも」やってのけることを、身に染みて知っていたからだ――。

　　* * *

　風を切って、バイクが武装した兵士達のただなかに突っ込んでいく。
　5番街スラムの神猫支部に展示されていた神猫の最新型バイク――ニャーディは凄まじい最高速度を持って、武装した兵士達に肉薄していた。
「いらっしゃいました俺！！　ひゃっほーぃ！」
　バイクに搭乗していた何でも屋のタケミチ・シバ（志波武道）は兵士達に衝突する寸前で大きくハンドルを切り、挨拶がわりの「れいき」をぶつけた。
「ぐわっ……目がっ！　目がぁっ……！」
　思いがけない急襲に、神猫の兵士達は錯乱している。
「おいおい。天下の神猫の兵隊がそんなんじゃ、仕事が務まらねーんじゃねぇか」
　と、そこに悠然と一人の大男が歩いてくる。
「あ、あなたはニャークスの！　応援に来てくれたのですね！」
　やってきたのは、ニャークスの一員――ゲンゾウ・ウオヅカ（魚塚源三）。
「悪いな。応援じゃねーんだ」
「え……？　それはどういうこと――ぐはっ……」
　次の瞬間、諜報を専門とするニャークスの人間のそれとは思えないゲンゾウの鋭いボディブローによって、神猫の兵士が床に崩れ落ちる。
「なっ……！　ば、馬鹿な……！　あ、あなたはプレジデントを裏切るのですか！？」
　もう一人の兵士が銃を向けながら、ゲンゾウをなじる。
　だが、ゲンゾウはそれを裏切りとは考えていない。
　社長が間違ったことをしようとしているのなら、止めてやるが社員の務めと考えたまでである。
　だから――
「何でも屋ぁ！　今回だけは手を貸すぜ！　暴走して、やりすぎちまってる社長を止めるぞ！」
　天井を突き破らないほどの大音声で、ゲンゾウは一時的に手を組むことにしたタケミチに声を投げかける。
　それにタケミチはニヤリと笑って、しっかりと頷く。
「こーなったら何かの縁だ、最後まできっちり付き合おうじゃなぁい！」
　ゲンゾウに負けじと大音量でそう叫び返しつつ、タケミチは二度目の「れいき」を全体化して眼前に迫る敵の群れに放った。

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