ファンタジーDay★｜リアクション

ファンタジーDay★

～九夜山。展望台～

「円、たしかサンマさんがここで異変を感じたのよね？」
「ブリちゃんそうだよー、ねーにゃーくん」
「にゃむにゃむ……」
　ボススライムを倒した後、依然として変化の解けないメンバー達は展望台に移動してきた。
　にゃーくんは既にオネムのようで、円の肩で丸くなっている。
　依然として九夜山は眠ってしまったかのように、静まりかえっていた。
「まだ……戻っていませんわね……」
　れみが誰にともなく呟く。
「うふふ、そおね。まああたしはこの世界もそこそこ気に入ってるわ」
　尾鎌がしなを作り、笑う。
「あ、あはは…………つつ……」
　海斗が苦笑いを浮かべる。
「あら、無理しては駄目ですよ、まだ完全にキズは癒えていませんからね」
　レティシアがほんわかと言う。

「北条、その、大丈夫か？」
　刀が横目で見ながら、冬華に言葉を掛けた。
「ふふ、平気ですよ……それより、良いんですか？　ふふふ」
　口元に手を当てて、くすくすと笑う冬華。
『えっち』
「すけべ」
　海と能美子が憮然とした表情を浮かべていた。

「そろそろ１２時だよ～」
　ゼンマイ式腕時計を見ていた円が皆に告げる。
　サンマさんの証言によれば、丁度このぐらいの時間に異変があったらしい。
　不意に７月とは思えない、冷気を孕んだ風が吹いた。

「お、見ろよ、宝石が光っていやがるぜ！」
　マウルの良く通る声に、メンバー達が振り返る。
　展望台のテーブルの上に置かれた宝石が七色の光を発し始める。
　最初はぼんやりとした蛍のような光だったのが、段々と輝き増し、辺りを照らし始める。
　暗闇に慣れた目に、眩しいほどの光。
……キィイイイイイイン！
　甲高い音を立てながら光量を増していく。

「な、な、な！？　まぶしい～～～～！」
　ブリジットが両目を前足で塞ぐ。
　キュュィイイ～～～～～～～～～～～～～！！
　シュバァ～～～～～～～～～～～～ン！！
　耳を劈くような音。
「きゃああ！」
　悲鳴を上げたのは誰だろうか？
　眩しすぎる光でそれすら分からなかった。

　どれくらいの時間が経ったのだろうか。
　恐る恐る目を開けるメンバー達。
「あ、鈴虫の声が……聞こえますわ」
　れみがそっと呟く。
　もわっとした７月の空気が辺りを包んでいた。
「……ほんと。ってあれ、毛がないわね」
　ブリキャット改め、ブリジットが自分の体を見回す。

「どうやらもどれたようだな……ふぅ……なんとも大変な騒ぎだったぜ」
　刀が肩を竦める。
「そう？　私は結構楽しめたけどね。あの体も気に入ってたし……なんて言っても、貴方が案外エッチだってことも分かったし」
　腕組みしながら能美子が言う。
　長身が長い影を作った。
　夜空には月が見えている。射手座の星々も元の色を取り戻しているようだ。
　長い髪が風に揺れていた。
「……あれは不可抗力だって……勘弁してくれよ～」
「……なんてね。ま、いいわ、今回だけ許してあげましょ」
　鋭い眼光を緩め、微笑む能美子だった。

～完～

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あとがき

担当マスター：甲二
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、甲二です。

ファンタジーＤay★如何でしたでしょうか？
エルフやドワーフ、猫獣人達の活躍する様子、楽しんで頂ければ幸いです。
自分は大好きなファンタジー世界を書けて満足でした！
（自分だけ楽しんでいたらどうしよう……）

個人的な事ですが、今回は急病で病院に担ぎ込まれるなんて騒ぎがありまして……
運営の方にもご迷惑を掛けてしまいました。
やっぱり健康第一ですよね＞＜
年末だったものだから、おせちもあまり食べられなかったし……（トホホ）
出来るだけ個別のコメントを書くようにしているのですが、入院が迫っており、今回は無理でした＞＜

それでは皆様、失礼します～。

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