【節分】鬼は外、福は内、本物の鬼は内に有り｜リアクション

【節分】鬼は外、福は内、本物の鬼は内に有り

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　再び、四次元。
　豪を引きずりながら探索を続けていた深夜子は、豪と同じく四次元空間に囚われていた修と武道の二人を発見した。
「また居た！？　おーい、大丈夫！？」
　呼びかけてみるも、反応はない。揃いも揃ってボロボロな様子に嫌な予感が一瞬するも、きちんと脈はある。気を失っているだけのようだ。
「困ったわね……」
　意識のない人間を一人運ぶだけでも重労働、それが三人となると流石に深夜子の細腕では無理がある。
　かといってほっぽりだしていくわけにもいかないので、とりあえず声をかけつつ目を覚ますのを待つことにした。
　そのうちに、修が目を覚ます。
　跳ね起きて辺りを見回したかと思うと、爪が食い込みそうなほどに拳を強く握りしめる。
「止められなかったのか……」
油断したつもりなどなかったし、戦うと決めてからの『分解』は間違いなく最速の一手だった。
金棒に損傷は間違いなく与えたはずで、それはきっと無意味ではない。
　強いて手を誤ったとすれば、目的を語らせようとしたこと。駆け引きをしようとしたこと。
　はじめから『分解』で奇襲をかけていたならば、あるいは。
　次があるとするなら、その時は最初から全身全霊で――
「もしもーし、大丈夫？」
「――えっ。あ、ああ……はい」
　後悔混じりの思索に沈みかかっていた修は、深夜子の声にようやく気がついた。
「よかったー。起きたきりじっとしてるから、操られでもしたのかと思っちゃった」
　頭を下げる修。豪と武道を横たわっていることに気づく。
「助けてくれたんですか？」
「あたしはただ、あなたたちをここで見つけただけよ。でも良かったわね、出口もわかってるわよ。……うん、まだついてるみたい」
　深夜子は先ほど露草と接触し、彼のろっこんで『出口』も教えてもらっていた。指差す先に本当に微かに見える光がそうだ。
「動ける？」
「ええ、なんとか」
　意識を失ったままの豪と武道を連れて、二人は一ドットばかりの光を目指して進み始めた。
　
「ダメデースか……」
　のろっこんの不発に、露草は小さく唸る。
　推測に基づいて『何らかのエネルギーの塊』を光らせようとしたのだが、豆電球ほどの光も見えなかった。
　四次元空間が広すぎて見えない可能性もなくはないが、そもそも存在しないのだと思ったほうが身のためだろう。
「ということは、目的はエネルギーの類ではない？」
　だとするとやはり鬼の目的は、『誰かを四次元に入れることで何かを起こす』ことなのだろうか。
「なら――」
　条件を変えてみよう。念じるのは、『鬼が見つけられて困る物、あるいは者』。
　するとどうだろう、露草のすぐ近くで紋章の光が灯る。
　急いで向かってみると、そこに理事長とフィリップ、紫と蒼の四人がバラバラに横たわっていた。
　そして理事長に、ろっこんの紋章が浮かび上がっていた。
　それが意味することはつまり、
「鬼の目的は……彼女……？」
　露草の疑問に答えられるものは、当の鬼を除いては誰も居ないのだろう。

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