ウィンター☆ 部活動のお時間です！～文化部編～｜リアクション

ウィンター☆ 部活動のお時間です！～文化部編～

☆演劇部：日常

　今日の演劇部は、基礎トレーニングの日です。
　芸術科２年の青山絢は、白地に昔の地図っぽい意匠をあしらったＴシャツに、寝子高のジャージを合わせています。
「寒い……」
　講堂は冷え切っていました。
　皆と一緒に講堂の壇上に上がり、基礎練習を始めます。
　演劇はかなり体力を使うので、筋トレは欠かせません。
　まずは円になって全身ストレッチを15分。
　首周りや肩やお腹のストレッチは特に念入りに行います。
　それから、丹田（たんでん：へそ下にある体の中心）を意識した腹式呼吸を15分。
　さらに丹田を意識した下半身筋トレを15分です。
　次にボイストレーニング。
「あ、え、い、う、え、お、あ、お！」
　腹式呼吸で、頭・鼻・口・喉・胸・肩・顔全体を振動させる大きな声での発声を15分。
　広い講堂にみんなの声が響き渡りました。
「あめんぼ、あかいな、あいうえお」
　それから滑舌練習を15分です。
　そこでいったん休憩となりました。
「身体を動かしたり声を出したりしているうちに寒さも感じなくなったわ。むしろ暑くなってきたかも」
　首にかけたタオルで汗を拭いたり、合間にスポーツドリンクを飲んで水分補給をしたり。

　休憩が終わると、台詞集を取り出して。
「ここはどこなのでしょう？」
　同じ台詞に様々な感情をこめて、不思議そうに、困ったように、興味津々というように。
　何度も何度も、同じ台詞を繰り返します。
　そうやって気分を高めていって。
　隣にいた恵御納夏朝と目を見かわすと、夏朝が即興でツッコミを入れました。
「可愛いお嬢さん、ここは、猫の国だよ！」
　それを聞いて絢は即座にアドリブで返します。
「まあ素敵！　それでこんなにたくさん猫たちがいるのね！」
　まるで本当に猫たちがいるかのように、目を細めて周囲を見回しながら。

　そんな風に熱を込めて皆と練習に励んでいると、あっという間に時間がたっていました。
「あ、もうこんな時間。下校まで２０分しかないわ」　
　絢たちは急いで後片付けをし、制服に着替え、ギリギリで学校を出ました。
「おつかれさまでしたー」
　今日も充実した一日だった、と満足しながら、絢は家路につきました。

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