FINYALFANTASY7 RE Ep.2 「骨太のお嫁」｜リアクション

FINYALFANTASY7 RE Ep.2 「骨太のお嫁」

【服を買う者達】
　その頃、レオンは大変に困惑していた。
「すいません、おすすめのドレス教えてください。できればセクシー系で……」
　と、店主と思しきふくよかな女性――マダム・シラサワに頼んだまではよかった。
　が、そこから先がいけなかった。
「あらあら。セクシーなのがいいのね。あなたスタイルがいいから、きっと見違えるわよ」
　キラリとマダムの瞳が妖しく輝いたとき、レオンは身の危険を感じた。
「……あ、でもそんなにやりすぎじゃないので――」
「ええ、ええ。おばさんに任せておいて。あなたをとってもセクシーな女の子にドレスアップしてあげるからね。おほほほ」
　マダムはあれよあれよという間に大きく胸元の空いたブルーのマーメイドドレスをレオンに着せた。
　長い銀髪と鮮やかな青、メリハリのあるボディとマーメイドドレスの相性は抜群だった。
　ただ、やたら素材が透けがちなのがすごーーーく気になった。
「え？　ちょ、ちょっと待ってこれはさすがに……」
「うふふ。できたわよ。さあ、ト・ゲトーゲの馬車は呼んでおいたから、あとはあなた次第よ！」
「あー！？」
　レオンは有無を言わさずに馬車に押し込まれ、ニャルネオの屋敷にデリバリーされた。
　この強引さとエロティックなセンスが、マーケットでトップのブティックに上り詰めた秘訣であることなど、そのときのレオンは知る由もなかった。

　青いドレスを着た銀髪の少女が馬車に押し込まれる様子をタケミチとマサト、カーサ、そしてヤミは遠巻きに見ていた。
（いい女だったな。だが、俺の方がもっといい女だな）
　と、マサトは謎の対抗心を燃やし、
（ふーん。あの子もオーディション出るのか。ていうか、もしかして何でも屋仲間カナ？　要はフジコさん以外が選ばれればいいわけだし、ガンバ☆）
　なんてタケミチはエールを送り、
「……」
　カーサは目に焼きついた銀髪の少女の二つのたわわと自分の底上げした胸を見比べていた。有り体に言って、底上げしてもまだ向こうの方が2つぐらいサイズが上だった。

　ただ、ヤミだけが感情を動かされずにいた。それよりも早く着替え、変装したかった。
　そんな4人をマダムは満面の笑みで「あらあら」と出迎えた。
「もしかして、あなたたちもニャルネオさんのところへ？　ええ、ええ。わかっているわ。私がうーんとセクシーにドレスアップしてあげますからね」
　言うが早いか、マダムは瞬く間に4人のドレスを見繕ってくれた。
「ふふふ。みんな、とってもセクシーね。じゃあ、まとめて馬車で送ってあげるわね。どんなコーデかはオーディションが始まってからのお・た・の・し・み☆」
　マダムはカメラ目線でそう言うと、4人を無理やり馬車に突っ込んでニャルネオ邸に送った。
「うふふ。いい汗かいたわ。あら、あなた達ももしかして？」
　と、そこでマダムは端っこに隠れていたセイヤとシュンスケの姿を目ざとく見つけた。
　セイヤは、他の5人のセクシーな姿を見て、ひどくおびえていた。
　他方、シュンスケはわりとノリノリで、
「私達も同じように着付けをしてもらえますか？」
「え！？」
　とんでもないことを言い始めた。
「ふふふ。あなた達もオーディションに参加するのね？　いいわ。私があなたの眠れる才能を引き出してあげる」
　刹那、キラリと目を輝かせたマダムがシュンスケとセイヤに襲い掛かり、壮絶なお着換えタイムが始まった。
「いやあああああああああああああああああーーーっ！？」
　そのときのセイヤの叫びはニャールマーケットの壁の向こうにまで響きそうなものだったという。
　そして――

『ウホッ！　いい悲鳴！』

　そんなセイヤの悲鳴を、マーケットの裏路地をひそかに蠢く黒いゲル状の物体（ミッシェル）は聞いていた。
　その悲鳴はミッシェルのナニカを激しく昂らせ、ゲル状の身体の動きをニャルネオ邸に向かって加速させたのだと言う。

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