蒼い月の夜｜リアクション

蒼い月の夜

「おおっ！？　何故かボクのおっぱいが大きくなったよ☆」

　ある蒼い月が浮かぶ夜。その蒼い月を見ていた鬼河内萌の胸が突然巨乳へと変化した。いや、寧ろその大きさは爆乳と言った方が良いかもしれない。
　最初に言っておくが、本来の萌のおっぱいは無乳と言えるレベルである。
　例えば、良く漫画やアニメなんかである当ててんのよ展開をやろうとすれば、ん？　今何かした？　と言われかねない程の無乳である。いや、無乳というよりかは虚乳なのかもしれない。
　だがしかし、この夜だけは違う。当ててんのよ展開をやろうものならば、背中にその凶器となった胸が押し潰されてる感触が広がる事だろう。
　萌はすっかり普段とは違う胸の感触や重みに大興奮である。

「これなら巨乳好きのユウくんも喜ぶかな？」

　と、呟く有様だ。
　そこでこれは間違いなくあの蒼い月による効果だと萌は推測した。そして、ピキーンと脳裏に閃く。
　萌には胸が大きくなると言う変化が現れたわけだが、それならばユウ君は一体どんな変化が現れたのだろうかと。

「よし、ユウくんの変化を調査しにＭＭＲ出動だよ☆」

　だがしかし、萌は興奮のあまり考えが欠落していた。そもそもユウに変化が訪れていない可能性がある事を。

「うーん、ちょっと走り難いなー」

　ユウの元へ駆けつけるべく走り出した萌だが、直ぐに巨乳となった事の弊害が現れていた。
　爆乳と呼べる程の大きさを誇る今の胸に萌はすっかり翻弄されていた。走る度に縦揺れ横揺れを起こし、それにバランスが持っていかれそうになるのだ。
　それに縦揺れの時はちらちらと萌の視界に入ってきたりして有体に言って邪魔になっていたりもする。
　そして、それ故に起こる悲劇。

「うごっ！？」
「遠藤ー！？」

　萌が曲がり角を曲がった時、丁度向かいから男子高校生二人組が来ておりその一人と正面衝突したのだ。
　正面衝突した男子高校生――遠藤健はまるで車にでもぶつかったかのような勢いで飛んでいき、連れの八神修がそれを見て叫ぶ。

「あっ、いっけなーいぶつかっちゃったー☆」
「ぶつかっちゃったーじゃなくて！　そもそも何だ今の！？　一体何が起ったらあんなに飛んでいく！？」

　修には健がどうして吹き飛ばされたのかはきちんと見えていたのだが、脳がそれを認識する事を拒んでいた。
　まさか爆乳と言える程の大きさを持つおっぱいが横揺れした瞬間に健がぶつかり、まるでプロレスラーみたいなビンタになり健を吹き飛ばしたなんて。

「うーん、ごめんね☆　でも、ボク、ちょっと急いでるから！」
「遠藤、しっかりしろ！　傷は深いぞ！」

　修のそんな声が聞こえるものの多分大丈夫だろうと萌はユウを求めて再び走り出す。
　そして、ついにその姿を見つけた。

「ユウくーん！　ボクの胸がこんなに大きくなったよ☆」
「その声は……って、ぐほっ！？」

　野菜原ユウへと迷うもなくおっぱいからダイブする萌。

「な、何だこりゃあ！？　何でこんなおっぱいになってんの！？」
「ふふ、胸に埋まって喋るとくすぐったいよ？☆」
「いやだから、何で！？　何か入れてんのか！？」
「パッドじゃないよ！ホンモノ（？）だよ☆」
「そんなわけねぇだろぉおおおおっ！？」

　萌の普段の胸の大きさを知っているユウは、半ば埋まった胸から何とか脱出してそう叫ぶ。
　この後、萌の爆乳がユウをビンタして物理的に沈めたりと色々なトラブルが起きたりする事をこの時のユウはまだ知らなかった。

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