携帯戦記カプセルギア　愛光島日記｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　愛光島日記

【そして】

「おーーーっほっほっほっほ！」
　ぴんと晴れやか。気持ちの良い朝だった。
　喜屋武璃愛奈は今朝も取り巻き連中をずらと引き連れ、人波を切り裂くように歩く。なんとも胸がすくではないか。
「璃愛奈さま、おはようございます！」
「今日もなんて美しいのかしら、璃愛奈さま！」
「璃愛奈さまの登校姿を見られるなんて……ああっ（失神）」
「ええ、おはよう皆さん、ごきげんよう！　さあ、今日も私の華麗なる一日の始まりですわぁ！」
　意気揚々と校門をくぐったところで、
「あら。仲がおよろしいこと」
　御津星凛と鷹司玖音が並んで前を駆けてゆく。玖音のお説教から逃げる凛だが、そんなやりとりからは互いの信頼が伝わってくるようだ。
　微笑ましく見送ると、今度は恵御納羨音と蒼凪ミオが、三人ほどの学生に呼び止められているところが目に付いた。
「？　なにかの相談かしら」
　よく見ると三人は緑林透破、環ネオム、宿名撫子で、なにやら真剣な彼らの眼差しが、なぜだか璃愛奈の胸をちりりと波立たせた。
「璃愛奈さま？　どうかしたんですか？」
「あれ、璃愛奈さま、教室はこっち……」
「いいえ、何でもありませんわ。私はこちらに用事がありますから、先に行っていてくださいな。ではごきげんよう」
　会話をいささか強引に断ち切り、璃愛奈は早足に廊下を歩む。
「あら？　あれは」
　風紀委員、月上蘭とすれ違うが、彼女は璃愛奈に気づかなかった。隣の男子生徒との会話に夢中なようだった。彼はたしか、岸崎竜。
「ふうん。月上さんも、隅に置けませんわね……」
　自分は孤高を歩む者。トップに立つ人間とはそうしたものだと、常に自身へ言い聞かせてきた。だからなんだかささくれ立った今の気分も、取り巻きを撒いてひとりになりたいと思ったのも、自分の孤独を思い出すためだ。
　友や仲間などという存在に浸っていては、自分は凡庸に堕ちてしまう。
　そう、思っていたのに。
「……これ、は？」
　小さなオモチャのロボットを見つけた瞬間、止まっていた璃愛奈の時は動き出した。
「これは……私の」

　私立愛光島高等学校。
　愛光島。
　何気ない日々は、今しばらく続くことだろう。
　けれどその裏では、真実を求む者たちが常に闘いを繰り広げている。
　……ギアバトルは、終わらない。

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷です。
　お待たせいたしました。『愛光島日記』リアクションをお届けいたします。

　素敵なイラスト企画をシナリオとさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
　カプセルギアたちが通う学校……なんて素敵な設定でしょう！　きっと楽しい学校だろうなあとずんずん想像が広がってしまいますね。
　愛光島は作られた世界とはいえ、幸せな学校生活を送っていてほしいなと思います。
　カプギアにはバトルももちろん、欠かせませんけれど！

　それでは、今回もご参加いただきましてありがとうございました。
　また次のシナリオでもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
　お疲れさまでしたー！

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