8 years after ～8年後の世界～｜リアクション

8 years after ～8年後の世界～

☆曖浜瑠樹、１８歳の高校３年生だよぉ

　すらりと足が伸び、身長180cm台になった曖浜瑠樹は、寝子島高校で気ままに高校生活を送っていた。
「色々あった寝子高生活もあと少し……ちょっと寂しい気もするねぇ」
　子供のころから縫いぐるみ好きは変わらない。
　８年位前からちょっとずつ縫いぐるみを作り始めて、最近は結構うまくできるようになってきた。

　８年の間に色んな事があった。
（縫いぐるみ材料を買う為に、アルバイトも色々したっけなぁ……）
　いろんなことが思い出される。
（島に来る前から飼ってた飼い猫のまちかを看取ってボロボロ泣いて……）
　まちかのふわふわの白いお腹、放っておけなくなる甘え声、今でも思い出すとちょっと悲しくなる。
　けれど、目に見えなくてもまちかは一緒にいてくれるって思える。
　しんみりした気持ちを振り払い、別のことを考えた。
(可愛い白猫着ぐるみさんと、追いかけっこした事もあったねぇ。最後はうっかりすっころんで、相手の背中のファスナーに手がかかって）
『ファスナーに触れないでくださーい！』って言われて、顔面に跳び蹴り食らってしまったのだ。
（友達に言ってもあんまり信じてもらえないけど、あれは夢じゃなかったと思うなぁ）
　悪いことしたなぁ、と思うけど、あれはけっこう痛かった。

「それにしても……縫いぐるみ、増えたねぇ」
　棚に並びきれず、床にもきちんと並べられ。
「部屋がぎゅうぎゅうだぁ」
　それでも、一体たりともいらない縫いぐるみはない。
　これからも作り続けたいし、貰ってくれる人を探した方がいいのだろうか。
「あ、そうだ。オレが作った縫いぐるみの事、サイトを作って紹介してみようかねぇ」
　ノートパソコンもバイト代で買ったものだ。
「えーと、ここをこうして……」
　今どきの若者にしてはカプギアくらいで、あまりゲームやパソコンに縁がなかった瑠樹だが。
　好きな縫いぐるみのためならばサイト作りにも身が入るのだった。

　進路は、もちろん決まっている。
（木天蓼大学に行って……縫いぐるみ作りの勉強をするんだぁ！　できれば寝子島キャンパスに通いたいねぇ）
「縫いぐるみ用のお洋服等の作り方も習得するよぉ」
　今からわくわくしている。

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