8 years after ～8年後の世界～｜リアクション

8 years after ～8年後の世界～

☆STAY FOREVER ときめく度にもっと輝いていたい

　県外の大学へ進学した稲積柚春は、同窓会のため久しぶりに寝子島へやってきた。
（ウォルター先生、今は何をしてるかな。この同窓会に来てるかな）
　幼い頃から今日までの毎日、振り返れば色んな事に巡り逢った。
　泣いたり笑ったり喧嘩したり夢みたり。
　ちょっとハードな失恋も今となっては輝く想い出だ。
　
　同窓会の会場へ足を踏み入れた柚春は、息を飲んだ。
「……先生」
　一人前を歩いていた金髪の男性が振り返った。
　ウォルター・B先生。
　昔通りの短い金髪に青い猫目。
　８年たって少し精悍になったろうか。
　柚春の思いは高校生の頃に戻っていく。
　運命はあると思うか？、という子供っぽい質問に、あると言ってくれた先生。
　不思議な空間で恋人繋ぎをしてくれた時のぬくもり。
　想い出を少しずつ振り返る。
　柚春を見た先生が、昔のままの笑顔になった。
「やあ。稲積か。元気だったぁ？」
「はい。せんせ……」
　言いかけて、柚春は思い直す。
（学生時代の想いは幼い恋とも呼べない憧れだったけど）
「ウォルター『さん』も元気でしたか？」
　柚春の言葉に、ウォルターは一瞬きょとんとした顔になった。
「ああ、うん……元気だよ」
　その顔に微笑みかけながら柚春は小さな声で言った。
「あなたは今でも特別なんですよ、ウォルターさん」
（幾つもの出逢いと別れをくぐり抜けて、愛するあなたに巡り逢えた）

　８年前、柚春がぽろりと零した言葉。
「例えば……生徒と教師でも、生徒が卒業すれば先生と恋愛だってできる」
　先生は覚えているだろうか？

　柚春は、心に浮かんだ思いをまっすぐ伝える。
「もう、生徒じゃないし子供じゃない。だけどね、先生の隣に立てないって知っているよ」
　ウォルターは黙って柚春の話を聞いている。
「でも、お友達にならなれるかな？」
　そう続けた柚春の言葉に、ウォルターは優しく頷いた。
「ああ。先生って教えるだけじゃないからね」

　幸せは、明日にめぐり逢う力。
　信じる強さをいつも希望に。

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