新雪とともに日が昇る｜リアクション

新雪とともに日が昇る

☆新しいことを

（今日は寝子高の３学期始業式……いよいよ、僕にとって２年目の３学期が始まるんだ）
　恵御納夏朝は気合を入れた。
　講堂での始業式後、久しぶりのクラスを見回すと、空席があった。
（あれ……、お休みかな）
　誰の席かは思い出せなかったが、確認すると椎井莉鳥の席だった。
（風邪でも引いたのかなあ）
「みんな、宿題はやってきたー？」
　久保田美和先生がやってきて、夏朝も宿題を提出する。
（ちゃんとやってきたよ。出された宿題が全部終わってるかと、全部持ってきたかと、合間に猫さんの毛やひげが挟まってないかは確認してある）
　もっとも美和ちゃん先生は猫のひげなど気にしないことだろうが。
「ちょっと聞いてよ～、今年も初詣に行っておみくじを引いたんだけど……」
　先生のいつものコイバナ、というか愚痴が始まったが、ほどなくしてチャイムが鳴った。
「掃除の時間だね」　

　３学期も頑張るって気合いを入れる意味合いも込めて、夏朝は張り切って大掃除をした。
　今回の掃除場所は昇降口だった。
　ゴミを捨てに行こうと外へ出ると、白いものが舞っていた。
「あれ、雪……かな？」
　触れてみると。
（何となく何かをやってみたい気持ちに……）
　何かって、なんだろう？　
　考えると、頭の中に本が浮かんだ。
（小説……以前、１回だけ書いた事があるけど、あれ以来書いてなかった）
　絵本風の同人誌なら何冊かネコミケに出したのだけれど。
（……何かしら、書いてみようかな）
　勉強などの合間に、少しずつでも書けるといいな、と思う。
　今も夏夜との交換日記を書いているし、その延長でなら気軽に書けるかもしれない。
（実話をフィクションとして、夏夜ちゃんとのことを書くとか、それとも猫さんを主人公にするのも面白いかも）
　帰ったらさっそく書いてみよう、と夏朝は思うのだった。