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時に天井も壁もなく、まるで重力の昏迷に
八神 修
はかぶりを振る。
(あるいはこの混沌も何かの暗喩だろうか)
思考を巡らせながらも足取りは迷いない。板張りの廊下を踏み込むときしきしと哭いたが足元は確かだ。視界を埋める和の趣きはどこか馴染み深く、修は無意識ながら記憶の中にその源流を求めた。
(! 縁側か)
天地も曖昧な構造の奇怪に目をつぶるなら、ひと言で言って日本家屋のそれだ。ここはその外周部であり、板敷きの縁を越えれば枯山水の石庭が波紋を演出し、古木の風合いを残した東屋が密やかに佇む。
見上げれば落陽の空へ鰯雲がたなびく。しかし天の風流は半ば巨大な壁に遮られており、修はその高さが己の心の頑なを表すと推察を巡らせた。
侘びも寂びも大様にして時の流れが形作るものだ。特有の美意識とて本来は厭われる概念であり、人々がそこへ価値を見い出すまでには大仰な回り道があった。
若干十七歳にして修はその境地を垣間見る。完全であれ、完璧であれと志しながらも、真に肝要なものは不完全にこそ宿るのだ。
踵を返し再び家屋へ踏み込んだ。この場で探すべきは深奥にあるのだろうと予想はつく。
かさりと耳慣れない奇異な音に振り返る。
「……これも……俺の」
母の顔をした蜘蛛が天井に営巣しながら、ききと鳴いて修を見た。
魑魅魍魎が表すのはつまるところ自己を除く他者や事象であろうと修は考える。漂う鬼火。腕の先が鎌に変じた獣。雨傘を広げた爺。赤子を抱く蒼白の女性。大百足。いずれもが何らかの人間関係を示唆しているようだ。
では時折見かける襖の隙間に覗く、あれらは一体何であろうか。
「……前は……継……政……として……」
「僕は……医……を……母の……」
落ち着いた低い声は多分に聞き覚えのあるものだ。幼い声にはどこか懐古を覚えつつも違和感が付きまとうが、空気の震えを介して聞く自分の声なのだと悟った。
「……病を……療法……が、僕の……!」
修はその途切れた断片を容易に繋ぎ合わせることができた。古い記憶が欠損を補い埋めたのだ。
まだ幼気な自分と父の議論を修は半ば呆けて見つめた。それを嘲笑うように、蜘蛛がきききと歯を鳴らして壁を這っていった。
思えば修という個の形成はこの時に方向を定めたのだろう。そこかしこを這いまわる蜘蛛たちがその証ではないか。亡き母を奪った病を根絶したいと願うのは確固たる決意にほかならず、同時に修の心へ巣食う治療法のない病巣でもある。
心の傷と、ある者はそう表すのかもしれない。
父と幼子の声は途切れず漏れ聞こえてくる。修は襖を通り過ぎ、軋む階段を下った。
家屋はまるで迷宮を成し、その構造には一分の遊びもない。
思えば修の娯楽は堅い。無論自分としては日々の鬱屈を適度に発散し満ち足りているが、潜在意識では別の何かを求めていることも否定はできない。
例えばそれが他者との繋がりであり、そこに紐づく安らぎなのだろう。
ストイックであれと立ち居振る舞いを正すたび、知らずに餓えてゆく。
歩を進めるうちにたびたび幼き自分、今に至るまでの成長過程にある自分の鏡写しを目にするたび、その思いは強まった。
無理からぬことでもある。修自身には抗いようも無かったのだ。出自も、大仰な家屋も、厳格な政治家である父も修にそう在るべきと求めたし、元来修の責任感も強かった。重圧が背を肩を締め付けるほど修の精神もそれに耐えうる頑強を備えていった。その産物があの亭亭たる防壁でもあったろう。
しかしながら、それを恨む心までも修は胸に育てなかった。愛情はいささかに薄くも繋がっている。厳然たる事実をヒステリックに否定するような子どもを演じている余裕は無かったのだ。
(今なら、伝えられるだろうか。なあ、俺たちよ)
年齢ごとの自分を俯瞰し、修は薄く笑う。
父よ。義母よ。あなたの息子を、あなたは誇るのだろうか。
家屋の地下には自然が形成した空間が広がっていた。苔むした岩肌の起伏は奔放なダイナミズムを修へ感じさせ、天井を穿つ穴からは白無垢めいた光の帯が差し込み、波一つ立たぬ地下の湖水をきらめかせている。
そのほとりに少女は翼を休めていた。
(終着、か)
そう思ったのは、栗色の髪を二つに結った少女の面が見間違えようもなく知ったものだったからだ。
七夜 あおい
の顔をした天使は、上層に広がる日本家屋が重々しく擁する和の趣きからは明確に異質な存在と言えた。彼女は外界より訪れた賓客で、修を迎えに来た使者でもあるのだろう。救い主とても過言では無いかもしれない。
修の思考は凛と冴え、そして冷たく稼働している。羽根持つ彼女が自分をどこへ連れてゆくのか。晴れやかな空へ舞い上がり悠々たる飛翔を経た先に何が待つのか。先を見通した上で胸が躍るのは、稀有な経験だ。
純白を背に広げた少女が微笑み、手のひらをかざす。迷わず手を重ねれば、温もりが修を満たしてゆく。
「行こう。立ち止まってはいられない。人生は短いからな」
光条が照らす湖水の上で、抜け落ちたひとひらの羽根が揺れていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月29日
参加申し込みの期限
2020年07月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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