古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦｜リアクション

古今東西スーパーレキシ的ジンブツかるた大戦

　校内放送のスイッチが入り、司会役の楡宮遠海が第二ラウンドの始まりを告げる。
「これより、第二ラウンドを開始します！　フィールドは学校全体。注意深く探してくださいね」
　選手たちはまず、グラウンドにスタンバイする。

　あしびきの　山鳥の尾の　しだり尾の
　ながながし夜を　一人かも寝む

　歌が読まれると、選手たちはいっせいに動き出した。

「おい――札の大きさに対してフィールドが広すぎじゃねぇか？」
　御剣刀の叫びが、全員の気持ちを代弁していた。
「ヒントがないと、この広い空間から札を見つけるのは無理だぞ」
　チームを組む巫部紫苑は、背中の羽を揺らしながら、手近な物陰や隙間をのぞき込んで歩いている。
「札を隠してありそうな場所を探していきましょう。宝探しみたいで楽しいですね」
　紫苑はあくまでのんびりと構えている。
「僕、宝探し大好きだから楽しみだな～」
　響タルトは、上機嫌で回りをキョロキョロと見渡している。
（仮装してるから、ろっこんを使えないのが残念！）
「盲点になりそうなところは――と」
　ピンときたタルトは、手近な机を持ってきてそこに乗り、普段は目の届かない棚の上を探す。予想通り一枚の札が置いてある。その中身は……
「ビンゴ！」
「おめでとうございます～」
　一緒に探していた紫苑が祝福する。
「恋しい人を待ちながら一人夜を過ごす。僕の解釈では、これもBLでね……」
「響さんは、なんでもBLなんですね～」
　札が発見されると、校内にいるほかの選手にもわかるように「ピンポン！」と効果音が鳴り、次の歌が読まれる。

　有明の　つれなく見えし　別れより
　暁ばかり　憂きものはなし

「とりあえず走るぞ！」
　刀は、とにかく急いで探し回ることにした。とりあえず色々なものをひっくり返して回り、札を探すのだ。しばらく見つからなければ、ヒントが放送されるかもしれないので、それにも期待したい。
「運よくすぐに見つからないかなー！」
　刀が通った後は、空き巣が入った後のようにごちゃごちゃになってしまう。
「ここもダメか……スタッフさん、後で片づけますから、許して！」
　風のように走り去った後を、紫苑が通りかかる。開け放たれた掃除用具ロッカーの扉の裏側が、ふと気になってのぞき込むと……
「あっ。ありましたよ～！」
　紫苑が呼びかけたが、刀はすでに声の届かないところに走り去っていた……