this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
COLORFUL CHRONICLE
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
●色鉛筆、破られた絵、赤
まるで森のよう。
鈍い虹色の靄の中を歩きながら、私――
三宅 葉月
は漠然と思った。
ここには誰もいない。私を脅かす人は誰も。
そのことが森にいるときと同じ安堵を感じさせるのかもしれなかった。
ふわり、目の前に漂ってきた橙色の風船に触れる。
「……あ」
途端に、視界が揺れる感覚。18歳のおとなに近い視点から、低く……4歳のころの視点へ。
はじめに見えたのは小さくて柔らかい手。
橙色のクレヨンの色で握っている手。
四歳の私は真っ白な画用紙に色とりどりのクレヨンを塗りたくっている。
幾度も色を持ち変えて、指先が赤や青や緑色に汚れてゆく。
あの頃は毎日のようにクレヨンを触ってばかりだった気がする。
デッサンだとか遠近法だとか陰影だとか、そんなものはお構いなし。
目の前にあったものを自分の思うままに描きつけることが、ただただ幸せだった。
『葉月はお絵かきが本当に好きだね』
真上から降ってくるような優しい声は祖父のものだ。
「そうだったわ……祖父は私のことをいつも嬉しそうに見てくれていた……」
祖父の目元の皺が好きだった。
私は次に、赤い風船に触れた。
そこに映し出されたのは、祖父の書斎だ。椅子にゆったりと腰かける祖父と、その前に立つ私。
「懐かしい……あれは小学校に入ったばかりのころだったかしら……」
財界人として多忙な祖父が自分を書斎に呼んでくれたあの春の晴れた日のことは、強く記憶に残っている。
私はすでに絵画教室に通って基本的なことを教わり、4歳の頃よりも成長した絵を描くようになっていた。
あのときも、祖父の目元には、あの大好きな皺が浮かんでいた。
『葉月、おめでとう。入学祝をあげよう』
そう言って祖父は、包装紙に包まれた箱を私にくれた。
目顔で促され、大人びた柄の高級そうな包みを解く。
現れたのは七十二色の色鉛筆。
『わあ! すごい、色がたくさん!』
『これでもっといろいろな絵をお描き?』
『うん! ありがとうおじいちゃん!』
色鉛筆に刻印された色の名前を眺めるだけも胸がときめいた。赤だけでも、バーミリオン、スカーレット、ジェラニウムレッド、クリムソンレッド、カーマイン、ローズ――たくさんの色が揃っている。
色を持ち替え、紙の上にグラデーションを描く。
『すてき……』
同じ赤でも少し色調が異なるだけで様々な表情を与えることができる、と知ったのは、この色鉛筆に出会えたおかげだった。
さらに一歩、進んでゆく。ゆっくりと浮かび上がってきた青い風船に映る光景は一瞬で私の胸を痛ませたが、それでも私はそれを見た。
それは12歳の頃の、悲しい記憶だ。
私はあるコンクールに入賞した。
けれど、喜んでくれると思った父が見せたのは、眉間の皺と歪んだ唇だった。
父は散々に私の絵を非難した。
『この程度のものがなんだ! 入賞だと? 褒めてもらえるとでも思ったのか。幼稚なことだ。愚かしい!』
父は憎々し気に全否定した後、目の前で絵を破り捨てた。
私は声を出さずに泣いた。
父の剣幕に驚いたのだ。
大切なものを目の前で踏みにじられて動揺したのだ。
思えば父が私への悪意をあからさまにし始めたのはあのときからだったかもしれない。
「けれど……幼く、愚かなのは、あなただったわ……」
今なら判る。父が何を恐れ、何に嫉妬していたか。
痛む胸を押さえ、青い風船から視線を外す。
幽かな、けれど大切な声が聞こえた気がして、私は目の前に浮かび上がってきた虹色の風船に触れた。
『わたし、お絵描き大好き!』
幼い声が、一筋の光となって、貫くように心の中に飛び込んできた。
四歳のときの自分の声だ。
あの祖父の、優しい目元の皺に、私はそう告げたのだ。
ただ素直に、誰にも何も遠慮することなく、まっすぐに。
「――っ……」
ぽたりと手の甲にしずくが落ちる感覚で我に返る。
私は自分の部屋にいて、絵を描こうとしていたところだった。
溢れていた涙をぬぐい、机の引き出しを開ける。
しまい込まれていたのは、ちびた色鉛筆。バーミリオン、スカーレット、ジェラニウムレッド、クリムソンレッド、カーマイン、ローズ……どの色も短くなっていて、それだけ何かを生み出してきたということを教えてくれる。私の、大切な、何かを。
私はそれらを愛おしく手に取る。
「私は、今も、『お絵描き大好き』」
<< もどる
1
…
4
5
6
7
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
COLORFUL CHRONICLE
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年07月09日
参加申し込みの期限
2020年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!