「ここは……?」
不思議な感覚を覚え、
御薗井 E セレッソはあたりを見回した。
鈍く虹色を映す靄に包まれている。
「綺麗ナノ……」
セレッソはふらりと歩みだす。
一歩ごとに生まれるのは色とりどりの風船たち。
手を伸ばして赤の風船をつかまえてみる。
「あ、パーパ!?」
風船の表面には今より若い父の姿が映っている。これは子どもの頃の記憶。イタリアを拠点に世界中を転々としていたころの想い出だ。
「忘れてたノ……たしかにこんなこともあったノ」
またべつの黄色の風船には、チェロを練習しているときの自分が映し出されている。
あちらのピンクの風船にはバレンタインの日に赤い生地のテディベアを貰ったときの……。
「この風船たちはワタシの記憶ナノ……?」
手を伸ばしかけたそのとき、もやの中から大好きな人の声がした。
「あら……セレッソちゃん?」
「恩センパイ!?」
恋人の
早坂 恩センパイ。
不思議な場所でひとりで心細く思っていたセレッソは、思わず彼の胸に飛び込む。
「ここっていったいどこなのかしら?」
「わからないノ。でもこの風船たち、想い出が詰まっているみたいナノ」
「まあ……。あら? 何か聞こえない?」
恩はそう言って耳を澄ます。
風船の群れの中から、幽(かそけ)き声が聞こえる気がする。
けれど何と言っているかはわからない。
「なんとなくダケレド、あの声がする風船を探し出せたら、ここから抜け出せる気がするノ」
「私もそんな気がするわ。みつけて聞いてあげたら、きっと……」
ふたりは想い出の詰まったカラフルな風船の群れをかき分ける。
それは色とりどりな自分の年代記を掘り起こすような作業であった。
声をさがす。
いつか伝えたかった、あるいは今伝えたいと思っている、たいせつな言葉を聞いてあげたくて。
こんにちは。ゲームマスターを務めさせていただきます笈地行(おいち あん)です。
ちょっと不思議な世界で、想い出に浸ってみませんか?
概要
冬のある日、あなたは気づけば虹色の靄の中にいます。
いっしょに登場したいPCさんがいれば【GA】を組んでください。
それ以外は基本的にひとりでその場所にいることになります。
一歩、歩くごとに色とりどりの風船が浮かんできます。
風船には過去の記憶や忘れていた想い出などが映っています。
・想い出
・想い出の品
などのエピソードを教えてください。
自分が忘れていたもの・ことなども思い出したりします。
風船に触れたり記憶を覗いたりしているうちに、あなたも幽(かそけ)き声をきくでしょう。
「伝えたかった/伝えたい言葉」「誰に」「今の気持ち」
なども教えてください。
声を見つけると、また元の日常に戻ることができますが、想い出の記憶は残っています。
登場できるNPC
NPC、Xイラストのキャラクターを登場させることもできます。
この場合、風船に映るのはPCさんの思い出・エピソードとなり、
それを一緒に見ることになります。
(例:PCさんの子どもの頃の思い出をNPCと一緒に見る、等)
◆プロフィール登録のあるNPCについて
特定のマスターが担当しているNPCでなければ、基本的にどなたでも登場可能です。
アクションで同行を希望するNPCをお書きください。
NPCの行動はご希望に添えない場合もあります。
◆Xイラストのキャラクターについて
このシナリオではXイラスト(パーソナル)のキャラクターは、
基本的にアクション準拠で登場させることができます。
Xキャラとの交流をお楽しみいただくこともできます。
それではご参加お待ちしています!